今週末見るべき映画「起終点駅 ターミナル」

2015年 11月 6日 08:00 Category : Art

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今年の東京国際映画祭での特別招待作品として、映画祭のクロージングを飾ったのが「起終点駅 ターミナル」(東映配給)だ。原作は、2013年、「ホテルローヤル」で直木賞を受けた桜木紫乃が、2012年に書いた同名の短編小説。

原作がいい。桜木紫乃の小説の登場人物たちは、たいてい、訳あり。ささいな犯罪を犯したり、不倫や離婚経験があり、心に傷を負った過去のある人たちや、孤独で、すでに人生を半ばあきらめた人たちである。しかし、悲惨な状況ながらも、ほんの一筋、未来への希望が垣間見える筋立てが多い。


「起終点駅 ターミナル」もまた、かつて愛した女性に死なれ、深い心の傷を負った裁判官の話である。釧路の地で、国選弁護人として、つましく余生を送ろうとしている初老の男、鷲田完治に、かつて弁護を受けた若い女性の椎名敦子が、ある頼みごとを抱えて訪ねてくる。それぞれ、辛い過去を抱えている。親子ほど年齢の離れているふたりは、寄り添うように同じ時間を過ごす。人生の終着駅と思えた土地だが、やがてここが、もうひとつの人生への始発駅になっていく。映画全体に漂う雰囲気は、静謐そのもの。それぞれの辛い過去、打開しようのない現実が、少ないセリフから浮かび上がってくる。鷲田、敦子は、半ば人生をあきらめかけていても、それでも、次の一歩を踏みだそうとする。映画と原作では、結末がやや異なるが、原作の骨格、結構を、映画はほぼ忠実に受け継いでいる。

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