今週末見るべき映画「アンジェリカの微笑み」

2015年 12月 4日 08:00 Category : Art

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ポルトガルの映画監督マノエル・ド・オリヴェイラは、2015年4月、106歳で亡くなる。本欄では、「コロンブス 永遠の海」、「家族の灯り」、オムニバス「ポルトガルここに誕生す ギマランイス歴史地区」の中の「征服者、征服さる」の3作品をレビューした。このほど公開の「アンジェリカの微笑み」(クレストインターナショナル配給)は、オリヴェイラ監督が亡くなる5年前の2010年に撮った映画。本国のポルトガルに、スペイン、フランス、ブラジルが協力、舞台は、世界遺産のドウロ河の渓谷になる小さな町で、ブドウやオリーブの畑が連なる、緑豊かな場所である。


ユダヤ人の青年イザクが、死んだ若い女性アンジェリカの撮影を依頼される。撮影しようとしたイザクは、死んだはずのアンジェリカが、目を開き、微笑むのを見る。撮った写真のアンジェリカまでが、イザクに微笑む。さらに、アンジェリカはイザクの部屋のバルコニーに現れ、ふたりは抱き合い、空中を浮遊する。ただそれだけの、いたってシンプルな話なのに、観客は、夢か現実かの狭間を漂い、曰く言いがたい浮遊感のような感覚を味わう。


映画のなかで、「魂」、「エネルギー」、「反物質」といった言葉が出てくる。設定は現代なのに、農夫たちは手作業、イザクの持つカメラは、古いカメラ。まるで、時空を超えた「魂」の存在を、映像で伝えているかのよう。オリヴェイラ監督の構想した元の脚本は、1952年に映画化しようとしたそうである。多くのユダヤ人が殺されてから、それほどの時間は経っていない。イザクもまた、ナチスから逃れて、ポルトガルに移住したユダヤ人という設定である。

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