今週末見るべき映画「サウルの息子」

2016年 1月 22日 08:00 Category : Art

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ハンガリーの映画監督、タル・ベーラの「倫敦から来た男」(イズムで紹介)の助監督を務めたネメシュ・ラースローの長編デビュー作が「サウルの息子」(ファインフィルムズ配給)だ。第68回のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門でグランプリを受賞。無名の新人監督が、いきなりの快挙である。日本での公開を待ちわびていた一本で、昨年、カンヌ国際映画祭に出かけた、ある映画ライターさんから、たいへん優れた映画だと聞いていた。


期待通り、いや、それ以上の出来映えで、唸ってしまった。舞台は、1944年、ドイツが占領したポーランドのアウシュヴィッツにあるビルケナウ強制収容所。ハンガリー系ユダヤ人のサウルという中年男が、ゾンダーコマンドとして働いている。ゾンダーコマンドとは、ナチスが拘束したユダヤ系の人物を選び、死体を処理させる特殊部隊のこと。ユダヤ人が同じユダヤ人の死体を処理することになる。もちろん、役目が終われば、ゾンダーコマンドといえども、抹殺される運命にある。ただ、ゾンダーコマンドは、広い収容所のなかで、比較的、自由に動き回ることが出来たようで、現実に、収容所での現実を記録したメモを隠したりできた。そして、ゾンダーコマンドたちは、武装蜂起を企てることになる。


映像はほとんど、サウルの視点で描かれる。長回しで深度の浅いカメラが、サウルをクローズアップする。だから、画面の外の様子は、淡いフォーカスで、ところどころ見えるけれど、その詳細は、観客の想像力に委ねられる。それが、リアルな臨場感を生み、まるで同じ収容所にいるかのような錯覚に陥る。師匠タル・ベーラの撮った「倫敦から来た男」でのノウハウを、きっちりと踏襲、その語り口は緊張感がいっぱい、スリリングである。

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