今週末見るべき映画「偉大なるマルグリット」

2016年 2月 26日 08:00 Category : Art

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もうずいぶん前だが、レコードがステレオになる前、モノラルの頃である。大きな羽を背中に付け、ティアラをかぶった女性歌手のLPレコードを持っていた。歌手の名は、フローレンス・フォスター・ジェンキンスで、オペラや歌曲をソプラノで唄う。タイトルは「ザ・グローリー(????)オブ・ザ・ヒューマン・ヴォイス」という。「人間の声の栄光(????)」とでも訳すのだろう。「?」が、4つもついている。1曲目に、モーツァルトのオペラ「魔笛」の2幕目で唄われる「夜の女王のアリア」の「復讐の炎は地獄のようにわが心に燃え」が入っている。ソプラノでも、さらに音域の広さが要求される難曲である。


「魔笛」の夜の女王役には、かつてはルチア・ポップ、今ではナタリー・デセイの名唱があるが、ジェンキンスの歌唱を聴くと、思わず、ずっこけてしまう。ともかく、音程がはずれ、テンポがずれている。いわゆる音痴、である。時折、音程、テンポが、伴奏とうまくかみ合う部分があり、そこそこの訓練を経ている歌い手だと分かる。音源は、1938年ころの録音になるSPレコード。

ジェンキンスは、アメリカの裕福な銀行家の娘で、お金持ちである。さらに、離婚の慰謝料と、父の遺産が手に入る。生来のオペラ好きで、詳しいいきさつは知らないが、ともかく、カーネギーホールでコンサートを開くくらいだから、それなりに人気、人脈があるのだろう。1944年、76歳のジェンキンスは、カーネギーホールでのコンサートの1ヵ月後、亡くなる。


このジェンキンスの実話から構想されたフランス映画が「偉大なるマルグリット」(キノフィルムズ配給)である。着眼点のおもしろさもあるが、なにより、ヒロインのマルグリットをとりまく登場人物たちが、やや誇張されながらではあるが、実にきめ細かく描かれている。 

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