今週末見るべき映画「人生は小説よりも奇なり」

2016年 3月 11日 08:00 Category : Art

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「事実は小説よりも奇なり」というが、人生もまた然り。原題は「LOVE IS STRANGE」、「奇妙な愛、一風変わった愛」といったほどの意味だろう。「人生は小説よりも奇なり」(コムストック・グループ配給)は、39年も連れ添ったゲイのカップルが、同性でも結婚出来るという法律が出来、結婚式をあげるところから始まる。音楽教師のジョージと画家のベンは、ニューヨークのマンハッタンで、長年の同居、すでに気心はしれている。なによりも、ふたりは愛し合っている。


周りから祝福されての、結婚である。ところが、法律が出来たにもかかわらず、ジョージは、勤めている音楽学校から解雇される。たちまち、今までの生活が狂い始める。健康保険、年金、ローンの返済、不動産の処分などなどで、ふたりは、今までのアパートを出ざるを得なくなる。ベンは、ブルックリンの甥の家に、ジョージは、同じアパートのゲイの警察官の部屋に、それぞれ、居候の身となる。現実の厳しさが押し寄せてくる。ベンは70歳ほど、ジョージもすでに50歳代半ば過ぎだろうか。かつて幸せだったふたりの暮らしは、いったいどうなっていくのか。


法で認められても、ゲイをとりまく差別や偏見は存在する。それでも、ベンとジョージは、互いを思いやり、抱き合い、愛し続けようとする。

ふたりの愛を象徴する、すてきなシーンが続出する。互いに居候の身を嘆き、小さなベッドで抱き合う。また、ジョージが、ピアノを弾く幼い生徒に、ショパンの「雨だれ」を教えているシーンがある。ふと、ジョージは、解雇された学校の保護者あてに出した手紙を思い起こす。「男性と結婚したことで、学校での仕事が続けられなくなりました。これを機に、お子さんと正義についてよく話し合ってください。彼らが自分の真の姿を隠すような事態は避けたい。嘘のない世界は素晴らしい」。そして、手紙の結びに、新約聖書の「コリントの使徒への手紙 一の13章」から引用する。「不義を喜ばず、真実を喜ぶ」と。

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