今週末見るべき映画「砂上の法廷」

2016年 3月 24日 08:00 Category : Art

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 映画の法廷劇に傑作は多いが、ドンデン返しの法廷劇の大傑作は、ビリー・ワイルダー監督の「情婦」だろう。日本語のタイトルには不満があるが、原作はアガサ・クリスティの短編小説を自身が戯曲化した「検察側の証人」である。チャールズ・ロートンが老弁護士に扮し、練達な芝居をみせる。未亡人殺害の容疑者がタイロン・パワー、その妻役がマレーネ・ディートリッヒ。ラストは二重に仕組まれた、みごとなドンデン返しだった。この「情婦」と比べるのはいささか酷だが、このほど見た「砂上の法廷」(ギャガ配給)もまた、鮮やかなドンデン返しの法廷劇だ。


 映画には、背景の事情などの十分な予備知識があると、より深く広く理解できる場合が多い。逆に、ほとんど予備知識のないまま見るほうが、面白い場合がある。「砂上の法廷」は、あきらかに後者だろう。宣伝の資料には、最小限の概要しかなく、ストーリーの記述も少ない。コピーに「94分、あなたは騙され続ける」とある。多くの伏線が張られ、驚くべき告白があり、最後にドンデン返しがある。騙され続けるのも快感。まさに法廷ミステリーの王道を行く。「騙された、もう一度、よく見てみよう」、そう思う映画だ。

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