今週末見るべき映画「緑はよみがえる」

2016年 4月 22日 08:00 Category : Art

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 エルマンノ・オルミは、イタリアのベルガモ生まれの映画監督。「木靴の樹」、「聖なる酔っぱらいの伝説」、「ポー川のひかり」、「楽園からの旅人」などを撮っている。第一次世界大戦からちょうど100年、2014年に撮った「緑はよみがえる」(チャイルド・フィルム、ムヴィオラ配給)は、オルミ監督の最新作だ。オルミ監督の映画は、どれも清潔で、真摯。美しい風景のなか、市井の一途に生きる人物たちを、静謐そのものに描いていく。熱狂的なファンの多い映画作家である。


 オルミ監督の父親は、第一次世界大戦に従軍、息子のオルミ監督に、その経験を語ったという。これを基にした映画だから、すべて、じっさいにあったことと思われる。1917年の第一次世界大戦のさなか、北イタリアの雪に埋もれたアジアーゴ高原が舞台である。この界隈は、ヘミングウェイの「武器よさらば」の舞台となったところでもある。これは、イタリア兵として従軍するアメリカ人フレデリックと、イギリス人の従軍看護婦キャサリンとの、戦場を舞台にしたラブ・ストーリーだった。「緑はよみがえる」は、塹壕にいるイタリアの兵士たちを通して、戦争の愚かさを静かに訴えかける。


 カラマツの茂る美しい山である。月が照っている。兵士の唄うナポリの民謡が聞こえる。ひととき、激しい戦闘は止んでいる。敵のオーストリア兵たちは、国境をはさんで、すぐ近くにいる。いつ、戦闘が再開するか、だれも分からない。塹壕での楽しみは、少ない量の食事に、兵士に届く手紙くらい。そんななか、まだ若い中尉がやってくる。兵士たちの心の闇が浮き彫りになる。戦地から母親に宛てた手紙が、出てくる。これまた、胸が痛むほど。

 いつの時代、場所がどこであろうと、いい戦争など、あり得ない。平凡な羊飼いでさえ、戦争の愚かさ、醜さ、無意味さを知っている。敵はいるが、真の敵は、ひょっとして、同胞たちかもしれない。

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