今週末見るべき映画「すれ違いのダイアリーズ」

2016年 5月 13日 08:00 Category : Art

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 一昨年、2014年の東京国際映画祭の、「CROSSCUT ASIA」部門、「魅惑のタイ」と題された作品群の一本で、「先生の日記」というタイトルで上映されたのが、「すれ違いのダイアリーズ」(ムヴィオラ配給)だ。


 タイの山奥、静かな美しいダム湖にある水上小学校が舞台。出会ったことのない若い女性教師エーンと男性教師ソーンが、日記を介して、心と心を通わせる。あわや、エーンとソーンは出会おうとするが、すれ違ってしまう。かつて、「ワンダーランド駅で」という映画があった。これは、女と男が、同じ時間、同じ駅で、同じ電車に乗るのに、つまり、何度も知り合う寸前までいくのに、いつもニアミス。なかなか、女と男は出会わない。たぶん、女と男は、どこかで出会うはずだと思いながら、観客は映像を見続けることになる。ひょっとしたら、もう、出会えないのかもしれないとまで思わせる。本作もまた、いったい、いつ、エーンとソーンが出会うのかのサスペンスをはらみながら、ドラマは進行する。


 水上小学校のこどもたちが、みんなとても、いきいきしている。素朴である。住んでいる場所が場所だけに、汽車は見たことがない。ソーンは、水上小学校そのものを汽車に喩え、こどもたちといっしょに、湖で汽車ごっこをしたりする。ほぼ同時に、笑い、涙する、すてきなシーンだ。こどもたちは、みんな、やんちゃである。勉強熱心ではない。だが、好奇心は旺盛で、先生のことを敬っている。こども同士のいじめなどは皆無。こどもたちの描写から、ふだんの暮しぶりがどのようなものか、十分にうかがえる。

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