今週末見るべき映画「マネーモンスター」

2016年 6月 9日 08:00 Category : Art

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 「マネーモンスター」は、リアルタイムで進行する。その場に居合わせたような臨場感がある。女性ディレクターが、なんとか最悪の事態を避けようと、いろいろと画策する。どことなく軽薄な感じのキャスターは、スタジオで拘束状態になるが、男と接するうちに、徐々にではあるが、その考えに変化が生じてくる。あるいは、男に同情し始める、と言い換えてもいい。そんななか、スナイパーがスタジオの天井あたりに到着し、キャスターが身に付けさせられた爆破装置を狙って、銃口を向ける。


 テレビ局は、人間のお金への欲をあおるような番組で視聴率を稼ぐ。テレビを見た人のなかには、株のしろうとなのに、お金を増やそう、一発当てようと、株に手を出すこともあるだろう。株だから、売り買いのタイミングで、お金が儲かることもあれば、損をすることもある。だが、こういったこまめな株の売買は、たくさんのお金のある企業や投資家のすることである。

 男の怒りは、分からないわけではないが、男は、儲けたいがために、株を買ったのだろう。仕掛けた情報で、一般大衆に株を買わせることは、簡単に出来る。ある程度の大金で、ある株を買い占め、株価をつり上げる。まだまだ上がると煽りたて、さらに株を買わせる。いい加減、株価が上がったところで、買い占めた株を手放す。株価が下がる。しろうとでも、分かるはずである。しろうとが、少ないお金で株を買うというのは、お金をドブに捨てるようなもの。

 さて、映画では、武装した警官たちが、テレビ局をとり囲む。女性ディレクターが、放送中に、次々と指示を出し、いろんなところに接触、取材を重ねる。やがて、映画は、乱入事件の背景にある「真実」に近づいていく。

 映画は、1時間39分。コンパクトに、手際よくまとまっている。サスペンスの盛り上げ方も巧み。監督は、女優のジョディ・フォスターである。監督業に進出、テレビ演出も含めて、すでにいくつか、映画を撮っている。タイムリーな題材に、スリリングなフィクションを、うまく融合させた手腕は、なかなかのもの。

 俳優が豪華な顔合わせ。キャスター役がジョージ・クルーニー、ディレクター役がジュリア・ロバーツである。監督、俳優の3人の名前だけで、見たい、と思う。ただ、俳優のお二人は、あまりにも大スター。いろんな映画で、いろんな役柄をこなしている。もちろん、どのような役でも、実に達者にこなす。見ていて思ったが、本作の場合、テーマがテーマだけに、無名の、未知数の、俳優が演じたほうが、よりドラマに、リアリティを感じたかもしれない。

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