今週末見るべき映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」

2016年 6月 10日 08:00 Category : Art

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 2年ほど前、グレン・グリーンウォルドという人の書いた「暴露 スノーデンが私に託したファイル」(新潮社・田口俊樹、濱野大道、武藤陽生 訳)を買ったまま、本棚に入れておいた。このほど、この本の書かれる背景になる、じっさいにあった出来事を記録したドキュメンタリー映画「シチズンフォー スノーデンの暴露」(ギャガ・プラス配給)が公開される。公開に合わせて、引っ張りだして読んでみた。アメリカという国の、とんでもない恥部を、そっくり暴露した、痛快きわまりない本である。痛快ではあるが、これは、背筋が寒くなる、いやそれ以上、背筋が凍り付くような、ある意味、怖い、映画である。
 
 昨年の第87回アカデミー賞では、「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」や、「セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター」といった傑作を押さえて、長編ドキュメンタリー映画賞を受賞している。


 とんでもない恥部とは、アメリカが国家権力を濫用、NSA(国家安全保障局)が、一般市民の電話やメールなどの通信データを、秘密裡に収集、分析していたこと。あらゆる個人情報のほとんどすべてである。内部告発したのは、元CIAの職員、エドワード・スノーデン。スノーデンは、信頼できる女性の映画監督ローラ・ポイトラスに、「シチズンフォー」というハンドルネームでメールを送る。「政府の極秘事項を提供する」と。
 
 驚くべき告発である。同時多発テロ以降のアメリカは、通信全体の監視を強化する。このこと自体は当然かもしれない。だが同時に、これは一般市民の、プライバシーを犯すことになる。
 
 2013年6月、ローラは、旧知のジャーナリストで、ブラジルのリオデジャネイロ在住のグレン・グリーンウォルドに相談、一緒にスノーデンのいる香港に向かう。グリーンウォルドは、弁護士資格のあるジャーナリストで、イギリスの「ガーディアン」などの新聞に寄稿している。香港。ローラが、スノーデンにカメラを向けて、撮影を始める。
 
 スノーデンが暴露しようとした機密情報、文書は、ぼう大な量である。NSAや、いろんな国の政府や情報機関が、どのようなシステムを構築していたか、また、犯罪とかテロとの関係の有無を問わず、電話やメール、インターネットの閲覧をしたかなどの、あらゆる通信記録が含まれた文書群である。また、政府のこのような監視、情報収集に際して、多くのIT企業が協力、技術、情報を提供していたのである。


 香港に向かう前、グリーンウォルドは、あらかじめ、スノーデンから、暗号メールの扱いを学び、スノーデンの文書に目を通している。グリーンウォルドは、無作為にスノーデンの文書を読み始める。NSAの職員が、分析官に監視手段を訓練するマニュアル文書の次の文書に驚く。前掲書の第一章「接触」では、こうある。

 ――今度はパワーポイントで作成された最高機密文書で、タイトルは「PRISM/US-984XNの概要」となっていた。どのページにもインターネット関連最大手九社のロゴが描かれていた。<グーグル><フェイスブック><スカイプ><ヤフー>など。
 最初のスライドに、あるプログラムのことが説明されていた。NSAはそのプログラムのもと、彼らの弁を借りれば、「マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブック、パルトーク(訳注 同名のチャットソフトを開発している業者)、AOL、スカイプ、ユーチューブ、アップルといったアメリカのサーヴィス・プロバイダーのサーバーから、直接データを収集していた」というのだ。あるグラフには、これらの業者がこのプログラムに参加した日付も記されていた。

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