今週末見るべき映画「シリア・モナムール」

2016年 6月 17日 08:00 Category : Art

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 「2011年春――アラブの春に始まった民主化運動はシリアにも押し寄せ、アサド政権への自由を求める声が大規模なデモとなっていく。しかし政府軍による弾圧は、凄惨の限りを尽くす拷問と虐殺へと姿を変えていくのだった」。
 「本作は1001の映像から成る映画である。撮影したのは1001人のシリア人男性と女性、そして私である」。

 ドキュメンタリー映画「シリア・モナムール」(テレザとサニー配給)は、このような説明で始まる。1001とは、じっさいの数字ではなく、「無数の」、「多くの」といったほどの意味だろう。ジャズの教科書ともいえる楽譜集を「1001」と呼ぶようなものである。また、「アラビアン・ナイト」を「千夜一夜物語」というのと同じだろう。「シリア・モナムール」というタイトルは、もちろん、アラン・レネ監督の「ヒロシマ・モナムール」(日本語タイトルは「二十四時間の情事」)からのもの。


 いまなお、悲惨な状況の続くシリアである。二代にわたるアサド政権の政府軍と反政府軍の泥沼のような戦闘が続いている。他国が、それぞれの国益をかけて介入している。日本のジャーナリストまでが、複数、捕らえられ、殺されている。

 このシリアの状況を、映像に残そうとしている映画作家がいる。オサーマ・モハンメドという。オサーマは、2011年、シリア政府軍に拘束された政治犯の釈放を、カンヌで訴える。結果、オサーマは当局からの脅迫を受け、フランスに亡命する。多くの映像を抱えてパリにいるオサーマは、シリアのいまをネットで知ることになる。


 ネット上で、シリアのホムスに住むクルド人の女性で、映画監督のウィアーム・シマヴ・ベデルカーンと知り合う。「シマヴ」とは、クルド語で、「銀の水」を意味する。ふたりの交信が始まる。オサーマは、「シマヴ」と呼びかけ、シマヴはオサーマのことを「ハヴァロ」(友)と呼ぶ。

 作り手の情念が、ストレートに伝わってくる。あまたあるドキュメンタリー映画とは、その構成、叙述、編集が、かなり独創的、風変わりである。

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