今週末見るべき映画「シアター・プノンペン」

2016年 7月 1日 08:00 Category : Art

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 2014年、第27回東京国際映画祭の「アジアの未来」部門で、「遺されたフィルム」というタイトルで上映、国際交流基金のアジアセンター特別賞を受けた「シアター・プノンペン」(パンドラ配給)が、やっと公開される。公開を待ち望んでいた一本である。


 クメール語によるカンボジア映画だ。1975年からの3年8ヵ月、ポル・ポト率いるクメール・ルージュの圧政が続く。2014年の7月に公開されたドキュメンタリー映画「消えた画 クメール・ルージュの真実」では、クメール・ルージュによる虐殺の実態が、土人形を使って、みごとに再現されていた。

 この映画を、本欄でレビューした際、映画監督でもあり、ノンフィクション作家の瀬川正仁さんの書かれた「カンボジア乳海攪拌」という紀行文を紹介した。「乳海攪拌」というのは、ヒンドゥー教の神話で、天地創造のことを指す。

 ポル・ポト率いるクメール・ルージュが虐殺したのは、人間だけではない。文化や芸術まで、カンボジアの地から、消滅させた。雑誌「暮しの手帖」の第4世紀4号から7号まで、4回にわたって掲載された瀬川さんの紀行文は、クメール・ルージュの爪痕が、いまなお、カンボジアに存在することを綴った、すぐれたカンボジア現代史でもある。4回のタイトルを再度、紹介すると、「プノンペン、リセットされた街を行く」、「キリングフィールドを巡る」、「掃き溜めで鶴に会う」、「難民二世の帰郷に立ち会う」。映画「シアター・プノンペン」を、より深く、読み解くための、好材料となる紀行文と思う。


 さて、本作「シアター・プノンペン」は、1960年代から、ポル・ポト時代をはさみ、現代のカンボジアまで、約40年間の歩みを、映画のなかで映画を作るというスタイルで描いていく。

 タイトルは、文字通り、映画館の名前である。1974年に作ろうとした「長い家路」という、最後の部分が消滅した映画を巡ってのドラマである。緻密な構成に、秘められた過去の謎解きが加わる。

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