イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2017 【今週末見るべき映画】

2017年 3月 10日 08:00 Category : Art

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雑誌「暮しの手帖」の元副編集長で、映画ジャーナリストの二井康雄さんが、多くの映画の中から「今週末見るべき映画」をレビューします

 長年、映画を見ていると、とんでもないほど懐かしい映画に、また巡り会えることがある。かつて、こころ震え、ときめいた映画ばかり。2017年3月11日(土)から4月7日(金)まで、恵比寿ガーデンプレイスにあるYEBISU GARDEN CINEMAで開催される「イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2017」という特集上映もそのひとつ。まだ高校生のころ、ロードショー崩れ、いわゆる名画座で見て、少なからぬ衝撃を受けた映画が、たくさん、いままた見ることが出来る。

 チラシにはこうある。「イタリア映画が誇る現代の古典(ネオ・クラッシコ)と永遠の古典(クラッシコ)。デジタル・リマスター版で一挙上映」。ラインナップを見て、驚く。まだ見ていない映画も少しあるが、ほとんどは、ぜひまた見てみたいと思う映画ばかり。5つのカテゴリーで、合計18作品。

「無防備都市」

 『ネオリアリズモの軌跡』が5本。ロベルト・ロッセリーニ監督の「無防備都市」(1945年)、「戦火のかなた」(1946年)、ヴィットリオ・デ・シーカ監督の「自転車泥棒」(1948年)、「ウンベルトD」(1952年)、フェデリコ・フェリーニ監督の「青春群像」(1953年)。どれも、イタリア映画という範疇を超えて、映画の歴史に残る傑作揃い。

 『わが青春のイタリア女優たち』も5本。マウロ・ボロニーニ監督の「狂った夜」(1959年)では、エルサ・マルティネッリとアントネッラ・ルアルディが。「汚れなき抱擁」(1960年)では、クラウディア・カルディナーレが。ヴァレリオ・ズルリーニ監督の「激しい季節」(1959年)では、エレオノーラ・ロッシ・ドラーゴとジャクリーヌ・ササールが。「鞄を持った女」(1961年)では、クラウディア・カルディナーレが。マウロ・ボロニーニ監督の「わが青春のフロレンス」(1970年)では、オッタヴィア・ピッコロが。いずれも、50年代から70年代にかけて、イタリア映画で花と開いた美女たちばかりで、その美しさに、ただただ、ため息をつくばかり。

「鞄を持った女」

 「鞄を持った女」のクラウディア・カルディナーレは、当時、22、3歳だったと思う。この世の中に、こんな美しい女性がいるのかと思うくらいの完璧な美しさ。カルディナーレを慕う年下の若者がジャック・ペランで、初々しい限り。パルマとリミニの風光明媚さにもうっとり。映画を見たのは、高校2年生だった。1歳年上の上級生にほのかな想いを寄せていた時期に見たものだから、浜辺やカフェでのシーンなど、いまでも鮮烈に焼き付いている。テーマ曲もヒットしたが、ミーナの唄う「幸せがいっぱい」、「月影のナポリ」といった少し前に大流行したカンツォーネが使われていて、すでに懐かしく、記憶に残る一本である。

「気ままな情事」

 『イタリア式喜劇の笑み』が2本。アントニオ・ピエトランジェリ監督の「三月生れ」(1958年)と、「気ままな情事」(1965年)。「三月生まれ」に出ていたジャクリーヌ・ササールの奔放さは、高校生の身にとっては、まぶしいくらいに輝いて見えた。ササールの写真を、映画雑誌から切り抜いて、教科書のあいだにはさんでいたら、教師に見つかって、没収されてしまった。

「愛の果てへの旅」(C)2004 Fandango - Indigo Film

 『現代の巨匠パオロ・ソレンティーノの初期傑作』が2本。「愛の果てへの旅」(2004年)と、「もうひとりの男」(2001年)だ。「もうひとりの男」は、日本初公開で、この2作品は未見である。「グレート・ビューティー/追憶のローマ」、「グランドフィナーレ」を撮ったパオロ・ソレンティーノの美学が、すでに読みとれるはずである。

「ゴモラ」

 『アンコール上映』は、2008年以来、過去の優れたヨーロッパ作品を配給しているマーメイドフィルムのラインナップからのイタリア映画が4作品。ロベルト・ロッセリーニ監督の「ロベレ将軍」(1959年)、ベルナルド・ベルトルッチ監督の「暗殺の森」(1970年)、フェデリコ・フェリーニ監督の「フェリーニの道化師」(1970年)、マッテオ・ガッローネ監督の「ゴモラ」(2008年)である。このほど、「暗殺の森」と「ゴモラ」を見直してみたが、どちらも、独自の美意識に貫かれ、時代と人間を、深く観察した傑作である。

 以上18本。どれも見たい作品ばかり。なんども見ているものもあるが、「激しい季節」、「鞄を持った女」、「三月生まれ」、「もうひとりの男」、「フェリーニの道化師」は、この機会に、また見るつもりである。(文・二井康雄)

<作品情報>
『イタリア ネオ+クラッシコ映画祭2017』  
3月11日(土)から4月7日(金)YEBISU GARDEN CINEMAにて開催
公式サイト

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