「第18回東京フィルメックス(2017)」が開幕、今年の見どころは?

2017年 11月 2日 08:00 Category : Art

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 コンペティション部門を審査する国際審査員は、5名。審査委員長は、日本の映画監督、原一男。以下、日本の映画プロデューサー、國實瑞惠。韓国の映画祭プログラマー、映画プロデューサーのエレン・キム。ドイツのアルセナールの芸術監督、ミレーナ・グレゴール。そして、香港の映画評論家、クラレンス・ツィ。

 特別招待作品は、オープニングの「相愛相親」、クロージングの「24フレーム」のほかに6作品。

●「時はどこへ?」(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、中国・2017年) BRICSの5ヵ国の監督が5名、「時」をテーマに競作したオムニバス。監督は、ウォルター・サレス、アレクセイ・フェドルチェンコ、マドゥール・バンダルカル、ジャーミル・X・T・クベカ、そして、プロデューサーを務めたジャ・ジャンクーと、個性豊かな作家が揃う。

©22 HOURS FILMS
●「サムイの歌」(タイ、ドイツ、ノルウェー・2017年) タイのリゾート地。テレビ女優の夫は外国人で、仏教系の新興宗教に帰依したことから事態は一転、テレビ女優は、夫の殺害を計画する。監督は、ペンエーグ・ラッタナルアーン。

●「天使は白をまとう」(中国・2017年)
 女性プロデューサーとして実績のあるヴィヴィアン・チュウの監督第2作目。リゾート地のモーテルで、少女への暴行事件が起きる。夜勤でフロントにいた女性は、オーナーの圧力で、嘘の証言をする。しかし、女性は黙ってはいない。華やかさの裏にある、陰の部分をあざやかに描く。

●「ファンさん」(香港・フランス・ドイツ・2017年) ワン・ビン監督の待望の新作で、今年のロカルノ映画祭で、金豹賞を受けた。アルツハイマーで寝たきりの老女と、その家族や周囲の人たちの会話が、詳細に捉えられる。中国社会の抱える問題のひとつだが、辛い現実を見る監督のまなざしに注目したい。

©疾走プロダクション
●「ニッポン国VS泉南石綿村」(日本・2017年) 監督の原一男は、大阪・泉南のアスベスト被害をめぐっての国賠償訴訟を、8年間にわたって記録した。監督の目は、長引く裁判闘争の経緯や、原告たちの人間模様に注がれる。後半の盛り上がりが圧巻。

(C)2017 NIKKATSU
●「東京ヴァンパイアホテル 映画版」(日本・2017年) 園子温監督のネットでの連続ドラマ作品を、まったく別の作品として編集。新宿での大量殺人に出会ったマナミは、ある目的で、吸血鬼の一族が建てたホテルに監禁されてしまう。色彩美にバイオレンスが加わる異色作。

 特別招待作品で、「フィルメックス・クラシック」と題して、2作品、上映される。

2014 Bruce Posner-Sami van Ingen. Moana © 1980 Monica Flaherty-Sami van Ingen. Moana © ℗1926 Famous Players-Laski Corp. Renewed 1953 Paramount Pictures Corp.
●「モアナ(サウンド版)」(アメリカ・1926年、1980年) 1926年、「ドキュメンタリーの父」といわれるロバート・フラハティが、妻のフランシス・フラハティと共同で監督したのが、南太平洋のサモアに住む人たちを描いたドキュメンタリー、「モアナ」だ。1980年、フラハティの娘のモニカが、サモアの同じ場所で、音声を採り、デジタル復元したサウンド版を製作した。もちろん、日本で初の上映だ。

●「山中傳奇」(台湾・1979年) 若い僧が、死んだ兵士の霊を鎮魂する儀式に使う経典の清書を命じられる。若い僧は、シルヴィア・チャン扮する美しい幽霊など、奇怪な出来事に遭遇する。短いバージョンもあるが、3時間11分の大作。2016年のヴェネチア映画祭で上映されたデジタル修復版での上映で、監督は、キン・フー。

 今年もまた、特集上映がある。フランス・パリ生まれで、アメリカで多くの映画を撮ったジャック・ターナー監督の2作品が上映される。ちょうど、今年が没後40年になる。

●「私はゾンビと歩いた!」(アメリカ・1943年) ベッツィは、ホランド家の専属看護婦。ベッツィは、夜、屋敷を徘徊する奥方ジェシカの異様な姿を目撃する。ジェシカ役のシモーヌ・シモンが美しい。1942年、「キャット・ピープル」をヒットさせたジャック・ターナーの美意識が炸裂する怪奇映画の傑作。

●「夕暮れのとき」(アメリカ・1956年) さまざまなジャンルの映画を撮ったジャック・ターナーのサスペンス・ミステリー。ワイオミングの森をドライブ中、二人組の銀行強盗に出会った男が、強盗の大金を持ち逃げし、事件に巻き込まれてしまう。主演はアルド・レイ。

 以上、新旧とりまぜ、「固定観念が取り払われ」そうな映画がズラリ。同じ時間に、異なる映画が上映されるような大きな映画祭ではない。見ようと思えば、全21作品、見ることも出来る。チケットは、11月3日(金)からの販売だ。今年もまた、存分にお楽しみください。(文・二井康雄)

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