「第18回東京フィルメックス」閉幕ー最優秀作品賞は2作品に

2017年 12月 5日 09:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

 また、他の7作品のそれぞれに、審査員からのコメントが発表された。このことからも、かなりの激戦だったことが窺える。

 11月18日(土)の開会セレモニーで、原一男審査委員長は、あらかじめ、観客に、「審査員になったつもりで見てほしい」と挨拶した。コンペティションは9作品。残念ながら、7本しか見れなかったが、審査員になったつもりで、見た。

 正直、甲乙、つけがたい。それぞれ、ジャンル、テーマ、作風などが異なり、作家の個性がくっきり。最優秀作品賞を受けた2作品に、何の異存もないが、個人的に気に入ったのは、ホァン・シー監督の「ジョニーは行方不明」(台湾)と、ユー・グァンイー監督のドキュメンタリー「シャーマンの村」(中国)の2作品だった。

「ジョニーは行方不明」(台湾)

「シャーマンの村」(中国)

 「ジョニーは行方不明」は、同じ男からの間違い電話を受けた女性の、思いがけない過去が明らかになっていく。監督デビュー作とは思えないほど、サスペンスたっぷり。また、「シャーマンの村」は、中国・東北地方の寒村に暮らすシャーマンたちの一挙一動を追う。自らを神と位置づける人たちの上下関係が浮き彫りとなり、おおげさにいうと、人間存在とは何かを問いかけたドキュメンタリー。やがて消えていく文化への鎮魂歌でもある。

「時はどこへ?」(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、中国)

 特別招待作品では、ウォルター・サレス、アレクセイ・フェドルチェンコ、マドゥル・バンダールカル、ジャミール・X・T・クベカ、ジャ・ジャンクーの5人が監督した「時はどこへ?」(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、中国)が、おもしろかった。「時間」をテーマに、20分強の短編を、5人の監督が撮る、いわゆるオムニバス作品。「時間はすべて明らかにする」、「どれだけ俺には時間が残されているのか」、「時間は予測できない、その容貌を変える」、「過去は過去、未来はまだこれから」などの言葉がラストに添えられる。ジャ・ジャンクーがプロデューサーを兼任、全編をとりまとめる。これまた、一般公開時には、また見てみたい。

「ファンさん」(香港、フランス、ドイツ)

 映画を撮るたびに話題になる中国のワン・ビン監督の「ファンさん」(香港、フランス、ドイツ)も、特別招待作品だ。中国の湖州市近くの村。老女ファンさんのアルツハイマー病が進行し、寝たきりになる。だれがファンさんの介護をするかをめぐって、息子や親族たちの議論が続く。例によって、ワン・ビンのカメラは、被写体に密着し、ファンさんの親族の発言や振る舞いが、濃密に描かれる。今年のロカルノ映画祭で、金豹賞を受けている。

Related article

  • 全米ブーム「読書会」が題材『ジェイン・オースティンの読書会』
    全米ブーム「読書会」が題材『ジェイン・オースティンの読書会』
  • 大ヒット上映中「セックス・アンド・ザ・シティ」
    大ヒット上映中「セックス・アンド・ザ・シティ」
  • 今週末見るべき映画「3人のアンヌ」
    今週末見るべき映画「3人のアンヌ」
  • 今週末見るべき映画「収容病棟」
    今週末見るべき映画「収容病棟」
  • 今週末見るべき映画「フラワーショウ!」
    今週末見るべき映画「フラワーショウ!」
  • 今週末見るべき映画「世界一美しい本を作る男―シュタイデルとの旅―」
    今週末見るべき映画「世界一美しい本を作る男―シュタイデルとの旅―」

Prev & Next

Ranking

  • 1
    谷尻誠インタビュー:都心の広場に巨大なジャングルジムが出現
  • 2
    直接Ustream配信もできるMac、iPad、iPhone専用のワイヤレスWEBカメラ
  • 3
    「空気の港」テクノロジー×空気で感じる新しい世界
  • 4
    いったいどれが自分? 「“これも自分と認めざるをえない”展」
  • 5
    フォトギャラリー:アウディ「S4」「S4アバント」発表会
  • 6
    「WORLD SPACE CREATORS AWARD」受賞者発表
  • 7
    フォトギャラリー:リンカーン・ブランドのSUV「ナビゲーター」
  • 8
    フォトギャラリー:新型フェアレディZ
  • 9
    表参道で「WE LOVE MAGAZINE LIBRARY」
  • 10
    試乗レポート、第6世代目の新型ゴルフ

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加