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女は二度決断する 【今週末見るべき映画】

2018年 4月 13日 08:00 Category : Art

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 愛する夫と幼い息子を、爆弾テロで亡くす。残された妻は、どうするか。犯人が判明するが、裁判で無罪となる。妻は、犯人を追い、復讐を目指す。あなたが妻の立場だったら、どうする?


 ドイツ映画「女は二度決断する」(ビターズ・エンド配給)は、映画や文学で、数多く描かれる復讐話である。緊張感いっぱいの、練られた脚本を書き、監督したのは、ファティ・アキンである。「そして、私たちは愛に帰る」や、「ソウル・キッチン」、「消えた声が、その名を呼ぶ」などの傑作を撮っている。期待し、見たいと思うのは当然だ。


 舞台はドイツのハンブルグ。トルコ系移民のヌーリと獄中結婚したドイツ女性のカティヤは、男の子が生まれ、幸せな日々を送っている。ある日、外国人相手のコンサルタント会社を営んでいるヌーリの事務所の前で、爆発事件が起き、ヌーリと6歳になる息子が亡くなる。当初、警察は、外国人同士の抗争として捜査を進めるが、やがてドイツ在住の外国人を標的にした、人種差別主義者によるテロと判明する。


 容疑者が逮捕され、裁判になる。ヌーリは、かつて麻薬売買の罪で刑に服していたこともあって、被告に有利な展開となる。証拠も不十分で、被告は無罪となる。司法の理不尽さに、カティヤの悲しみ、怒り、絶望が増幅されていく。裁判の後、カティヤは、侍のタトゥーを入れる。復讐への序曲を奏でるように。

 選ばれた音楽が、ドラマの進行を鼓舞する。ハッピーな曲、穏やかな曲、激しい曲、エキゾチックな曲が入り交じる。テンプテーションズの「マイ・ガール」、コートニー・バーネットの「Anonymous Club」、クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの「ザ・ブロンズ」、フェイス・ノー・モアの「スーパーヒーロー」、インディ・ザーラの「ザ・ブルース」、そして、エンドロールは、リッキー・リーの「I Know Places」。


 カティヤを演じたのは、ダイアン・クルーガーである。「トロイ」以降、日本で公開された映画は、ほとんど見ているが、本作では、妖艶な美から脱皮した成熟を、あますところなく披露する。同じ復讐劇でも、痛快な役どころを演じた「イングロリアス・バスターズ」に比べ、「女は二度決断する」では、悲劇に真っ正面から立ち向かい、絶望を乗りこえようとする。

 ほとんど、ダイアン・クルーガーのひとり芝居。ダイアン・クルーガーは、英語、フランス語での映画が多く、母国語ドイツ語での主演は、これが初めて。


 映画は、ネオ・ナチによる連続テロ事件の史実から着想されている。2000年から2007年にかけて、捜査の遅れから、ネオ・ナチによるテロ事件が続発した。監督自身、出自がトルコである。人種差別と偏見は、アメリカの専売特許ではない。日本はもちろん、いまなお、世界のあちこちに存在する。


 ファティ・アキンの演出したラストこそ、差別と偏見に満ちた世界が、直視するべき未来である。

●Story(あらすじ)

 ドイツのハンブルグ。獄中結婚が始まろうとしている。新婦のドイツ人女性カティヤ(ダイアン・クルーガー)は、学生時代に、トルコ系移民のヌーリ(スーマン・アチャル)と出会う。ヌーリは、麻薬売買で刑務所に収監されていて、出所を控えての結婚だった。

 数年後。堅気になったヌーリは、トルコ人街で、ドイツ在住の外国人相手のコンサルタント会社を経営、カティヤもまたヌーリの仕事を手伝っている。

 機械に詳しいカティヤは、6歳になる息子ロッソのラジコン修理は朝飯前。3人のしあわせな日々が続いている。
 ある日、ロッソを会社に預けたカティヤは、親友といっしょにスパに向かおうとする。カティヤは、会社の前に、鍵をかけないまま自転車を放置しようとする女性に声をかける。「盗まれるわよ」と。「すぐ戻るから」と女性。
 カティヤが会社に戻ってくる。パトカーがいる。会社の前で、爆発事故があったようだ。死者がいるらしい。男性と子ども、という。犠牲者が、ヌーリとロッソと判明する。愕然とするカティヤ。

 ニュースでは、被害者なのに、ヌーリの前科ばかりが報道される。カティヤは、友人の弁護士ダニーロ(デニス・モシット)に相談する。すでに、ヌーリは、麻薬から完全に足を洗っていたことを知る。

 どうやら、警察は、外国人同士の抗争と見当をつけているようだ。カティヤは推理する。現場は、トルコ人街である。爆弾テロを仕掛けたのはネオ・ナチに違いない。

 現場には、釘爆弾のせいか、あちこちに血痕が飛び散っている。絶望したカティヤは、ある決断をする。カティヤは、自ら、手首を切る。意識が薄れるカティヤに、電話が入る。ダニーロからである。「犯人が捕まった、ネオ・ナチだ」。

 裁判が始まる。死の淵からよみがえったカティヤは、やがてもうひとつの決断を下すことになる。

<作品情報>
「女は二度決断する」
(C)2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathe Production,corazon international GmbH & Co. KG,Warner Bros. Entertainment GmbH

2018年4月14日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
公式サイト

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