ジャズ名盤講座第1回「ブルーノート~1500番台編」

2018年 9月 6日 00:00 Category : Art

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1500番台の魅力を味わう名盤15選


大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

ビギナー向け15選

1.『マイルス・デイヴィス Vol.1』(1501)B

★リリシズム溢れるマイルスの名演集
マイルス・デイヴィスは1952年から54年まで年に一度ブルーノートに吹き込みを残している。そのうちの52年と53年のセッションで構成されているのがこの作品。当時の彼は麻薬にのめり込み、体調は最悪だった。しかし「ディア・オールド・ストックホルム」で代表されるように、持ち味のリリシズム溢れるプレイは少しも損なわれていない。この時期のレコーディングは数が少ないだけに、この作品に収録された演奏は極めて貴重である。

2.『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.1』(1507)A

★初代ジャズ・メッセンジャーズ唯一のライヴ
このメンバーで活動を始めて丁度1年。この間にグループ名がホレス・シルヴァー・クインテットからジャズ・メッセンジャーズに変更され、それに伴いシルヴァーの存在感も薄れてきた。彼のオリジナルが姿を消して、メンバーの曲が中心になっていることからもそれはわかる。それにしても、この作品ではグループのサウンドが一体となった力強い内容が光る。それは個人名義のバンドではなく、グループであることの自覚が芽生えたからだ。

3.『セロニアス・モンク Vol.1』(1510)E

★モンクの初リーダー吹き込みを含む
無名時代のセロニアス・モンクにスポットライトを当てたこともブルーノートの功績だ。この時期に彼が代表作の大半を作曲していたことにも驚かされる。お馴染みの名曲の数々が、すでに十分個性的なプレイによって綴られていく。「ラウンド・ミッドナイト」や「ルビー、マイ・ディア」では美しいメロディが独特のタッチで表現されるし、「オフ・マイナー」や「エピストロフィー」では不協和音を用いたユニークなメロディが輝きを放つ。

4.『ホレス・シルヴァー・アンド・ザ・ジャズ・メッセンジャーズ』(1518)A

★これがジャズ・メッセンジャーズの出発点
10インチLPで発表されたホレス・シルヴァー・クインテットによるふたつの録音を収録。シルヴァーのオリジナルで固められた演奏のいくつかでは、のちにトレードマークとなるファンキーな味わいが認められる。そしてこの吹き込みを終えた直後にグループはジャズ・メッセンジャーズと名乗って活動を開始する。アルバム・タイトルはこのときの吹き込みが12インチLP化された際に、グループの人気を当て込んでつけられたもの。

5.『アート・ブレイキー/バードランドの夜 Vol.1』(1521)A

★ハード・バップ誕生前夜を記録した名盤
ハード・バップと呼ばれるスタイルの萌芽を記録したライヴ。アート・ブレイキーをリーダーに、やがてジャズの世界を背負って立つ若手オールスターズによる演奏は、フレッシュな響きの中にも強い勢いを感じさせる。とりわけ天才の名に相応しい迫力満点のプレイを繰り広げるクリフォード・ブラウンの存在感が大きい。そして、他のメンバーも彼に負けていない。ハード・バップ特有の躍動感に溢れた演奏が小気味のいい歴史的名盤。

6.『クリフォード・ブラウン・メモリアル・アルバム』(1526)A

★天才ブラウンの輝かしいモニュメント
アルフレッド・ライオンに才能を見い出されたクリフォード・ブラウンの初リーダー・レコーディングを含む。中でもルー・ドナルドソンとのセッションは、ブラウンの天才ぶりを遺憾なく発揮するものとなった。20歳を過ぎて間もない彼が、圧倒的なテクニックと円熟味さえ感じさせる完成度の高い表現を繰り広げる。3年後にこの世を去る彼は生き急いでいたのだろうか。それを思うと、どの演奏にも格別の思いを感じずにはいられない。

7.『ザ・ファビュラス・ファッツ・ナヴァロ Vol.2』(1532)E

★ビバップ時代に残された最良の演奏集
クリフォード・ブラウンやマイルス・デイヴィスにも影響を与えたビバップ史上最高のトランペット奏者ファッツ・ナヴァロによる名演集。中でもハワード・マギーと繰り広げた2トランペットによる白熱のバトルはジャズ史上の語り草になっている。当時は技術の限界から3分前後の演奏しか録音できなかった。その短い時間の中で、きちんと自己主張をしてみせたのもナヴァロの名人技である。きら星のようなメンバーの参加も聴きものだ。

8.『リー・モーガン Vol.3』(1557)B

★若き日のモーガンが真価を発揮する
リー・モーガンがその天才ぶりを遺憾なく発揮した歴史的名盤。しばらく前に交通事故でこの世を去ったクリフォード・ブラウンに捧げた「アイ・リメンバー・クリフォード」での切々としたバラード表現は、時代を超えて聴くものの胸を強く打つ。モーガンもブラウン同様の天才だった。それゆえ、よき先輩として彼のことを敬愛していた。その思いがフレーズの端々から伝ってくる。これは永遠に色あせない傑出したジャズ・バラードだ。

9.『ポール・チェンバース/ベース・オン・トップ』(1569)A

★すべてのベーシストに贈る聖典
このアルバムはあらゆるベーシストが発表した中で最高傑作と呼ばれているのではないだろうか。ポール・チェンバースはマイルス・デイヴィスのクインテットなどで名脇役として知られていたが、本作を含むブルーノートからの作品によって極めて魅力的なソロイストとしても注目されるようになった。強烈なアルコ奏法でダイナミックに演奏してみせる「イエスタデイズ」や「帰ってくれて嬉しいわ」など、聴きごたえ満点の内容である。

10.『ジョン・コルトレーン/ブルー・トレイン』(1577)A

★ブルーノートらしい寛いだ快演が聴ける
ジョン・コルトレーンがブルーノートに残した唯一のリーダー作。この時期の彼は、マイルス・デイヴィスと共にモード・イディオムを用いた斬新なプレイに心血を注ぐようになっていた。ところがここではトロンボーンとトランペットを加えた3管編成のアンサンブルを率いて、スリリングな展開の中にも寛いだ雰囲気の演奏を繰り広げる。ブルーノートならではのハード・バップ・サウンドが、とりわけ表題曲の演奏で色濃く反映されている。

11.『ソニー・ロリンズ/ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(1581)E

★ロリンズの豪快なブローが存分に味わえる
大御所の雰囲気を湛えるようになっていたソニー・ロリンズが、ピアノレスのトリオで奔放なブローを繰り広げる。スタンダードを中心に特徴的な《ロリンズ節》も冴えに冴え渡る壮絶なソロがハード・バップの極限を思わせる。即興演奏を突き詰めてみせることで、この時期のロリンズは創造性を全開させていた。そのことを一部の隙もない完璧な演奏で知らしめてみせたのが、ニューヨークの人気ジャズ・クラブで実況録音されたこの作品。

12.『ソニー・クラーク/クール・ストラッティン』(1588)A

★日本発の永遠のベストセラー
ソニー・クラークはアメリカより日本で人気が高い。それを決定的なものにしたのがこの作品だ。《うしろ髪を引かれる》と形容される強力なバック・ビートがブルージーな響きを醸し出し、同時にファンキーな演奏を効果的なものにしていく。共演者のジャッキー・マクリーンとアート・ファーマーのプレイもそんなクラークに準じたものだ。それらが一体となってマイナー調の素晴らしい演奏が連続する。そしてそこにファンは魅了される。

13.『ルー・ドナルドソン/ブルース・ウォーク』(1593)C

★ドナルドソンのブルージーな魅力が横溢
チャーリー・パーカーから出発したルー・ドナルドソンだが、彼の死後はビバップから脱却してハード・バップの路線を歩むようになった。その過程で出会ったピアニストのハーマン・フォスターと組んで、この作品ではファンキー・ジャズの萌芽ともいえるブルース・フィーリング豊かな演奏を聴かせてくれる。タイトル曲での土の香りがするようなソウルフルなプレイに、この時期のドナルドソンの持ち味と魅力が集約されている。

14.『キャノンボール・アダレイ/サムシン・エルス』(1595)A

★常にブルーノートで最高のセールスを誇る
ブルーノートに限らず、すべてのジャズ・アルバムの中でもっとも高い人気を誇っている永遠のベストセラー。キャノンボール・アダレイのリーダー作だが、メンバーの選定も含めてレコーディングを企画したのはマイルス・デイヴィスだった。したがって、演奏も彼主導のものが多い。とりわけマイルスがリーダー然としてテーマ・メロディから素晴らしいソロまで吹いてみせる1曲目の「枯葉」が素晴らしい。この曲が人気の理由である。

15.『ケニー・バレル/ブルーライツ Vol.1』(1596)E

★ウォホールがデザインしたジャケットに注目
ブルーノートからリーダー作を出したギタリストは極めて数が少ない。1500番台ではケニー・バレルひとりだ。ハード・バップのスタイルで、かつブルース・フィーリングの旺盛なギタリストがほとんど存在しなかったのが理由である。それだけに、ライオンの眼鏡にかなったバレルはこのレーベルでブルージーな内容のアルバムを連発している。そのもっとも典型的な作品となったのがこれと、同じときの吹き込みを集めた『Vol.2』だ。



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