ジャズ名盤講座第1回「ブルーノート~1500番台編」

2018年 9月 6日 00:00 Category : Art

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1500番台の魅力を味わう名盤15選


大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

2.マスター向け23選

1.『マイルス・デイヴィス Vol.2』(1502)B

★ハード・バップ誕生までの過程がたどれる
マイルス・デイヴィスのブルーノート・レコーディングは、結果としてビバップからハード・バップにスタイルが変遷していく過程を記録するものとなった。とりわけ1954年に行なわれたレーベルにおける最後のセッションは、麻薬渦から立ち直り健康をとり戻した彼が溌剌としたプレイを披露していることでも傾聴に値する。そして、この時点でマイルスはハード・バップをほぼ完成された形にしていた。その点でもこの作品は見逃せない。

2.『ジ・アメイジング・バド・パウエル Vol.1』(1503)A

★パウエルの全盛期を記録した歴史的傑作
 バド・パウエルがもっとも充実していたのは1940年代後半から50年代初頭にかけてのことだった。その時期に残された演奏は、大半が神懸り的に素晴らしい内容を誇っている。中でもこの作品収録の演奏はすべてが歴史的に見て名演と呼べるものだ。とりわけ、冒頭を飾る「ウン・ポコ・ロコ」の3テイクが素晴らしい。異様なムードの中で繰り広げられる強烈なタッチによるプレイ。まさに神が乗り移った天才的なパフォーマンスである。

3.『ジ・エミネントJ.J. ジョンソン Vol.1』(1505)E

★ブラウンとのセッションが白眉の名盤
クリフォード・ブラウンのレコーディングを含むこの作品は、ビバップの終焉を飾るに相応しい迫力満点の内容になった。共に超絶技巧を誇るブラス奏者である。彼らの丁々発止としたやりとりからは、スタイルを超えてジャズが持ちえた魅力の永遠性を強く感じる。そのほかにもビバップ時代を彩った魅力的なミュージシャンが顔を揃え、J.J.ジョンソンのプレイに華を添える。ここでのスリリングな内容は『Vol.2』でも同様に味わえる。

4.『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ Vol.2』(1508)A

★ハード・バップの熱き演奏が繰り広げられる
オリジナル・ジャズ・メッセンジャーズが残した唯一のライヴ録音。聴きどころは、この時点で若手だったメンバーによるスリリングで溌剌としたプレイにある。やがてグループの特徴になるアンサンブル・ワークはまだそれほど目立たないが、その分フレッシュな感性を漲らせた各人のソロが面白い。バンドを立ち上げたホレス・シルヴァーはピアニストに徹し、MCもするアート・ブレイキーがリーダーシップを握っている姿が認められる。

5.『セロニアス・モンク Vol.2』(1511)E

★モンクの特異なプレイと作曲が堪能できる
セロニアス・モンクの特徴は、打楽器的な奏法と不協和音を用いた不思議なフレージングにあった。彼が書いた大半の曲もこれらの特徴と一体化している。『Vol.1』と同様、この作品でにものちに繰り返しレコーディングされる代表的なオリジナルの初演が網羅されている。それらのことを踏まえて考えてみると、この時点でモンクのスタイルは完成されていた。さまざまな編成を通して表現されるモンクズ・ミュージック。歴史に残る名盤だ。

6.『ホレス・シルヴァー・トリオ&アート・ブレイキー』(1520)C

★数少ないシルヴァー・トリオの演奏を収録
ブルーノートに幾多の名作を吹き込んだホレス・シルヴァーだが、ピアノ・トリオによるセッションは意外なほど少ない。これはその初期に残された3つのセッションを纏めたものだが、そのほかにもアート・ブレイキーとサブーの顔合わせも含まれている。シルヴァーはソングライターとしても非凡な才能の持ち主だった。そのことも、ピアノ・トリオという編成によってすっきりした形で示されている。それもこの作品での魅力に繋がった。

7.『アート・ブレイキー/バードランドの夜 Vol.2』(1522)A

★このステージから次代のジャズが始まった
『Vol.1』同様、ハード・バップの萌芽を感じさせる演奏が痛快に響く。アート・ブレイキーを中心にした《ブルーノート・オールスターズ》によるステージは、ビバップ時代に演奏された「ナウズ・ザ・タイム」や「コンファメーション」なども含みながら、ビバップから一歩進んだプレイを聴かせてくれる。ハード・バップと呼ぶにはまだ物足りないが、ジャズは確実に進化していた。その変遷期を見事にとらえた歴史的ドキュメント。

8.『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ』(1527)D

★名トランペッターによる生涯の最高傑作
ひところのデトロイトはジャズ・ミュージシャンの宝庫だった。その筆頭格がサド・ジョーンズである。カウント・ベイシーの楽団に参加していた彼は、それもあってそれほど多くのコンボ作品を残していない。中では傑出していたのがこのアルバムだ。同郷のビリー・ミッチェルやバリー・ハリスと組んだことで、ここでは寛いだハード・バップが楽しめる。内容は、文字どおりジョーンズが残した生涯の最高傑作と呼ぶに相応しい。

9.『ザ・ファビュラス・ファッツ・ナヴァロ Vol.1』(1531)E

★ビバップの巨人が残した偉大な財産
残された吹き込みは多くないが、ファッツ・ナヴァロはビバップの時代にディジー・ガレスピー以上の名手と多くのミュージシャンやファンから慕われていた。その彼がブルーノートに残したセッションは、いずれもビバップがいかに素晴らしい音楽だったかを現在に伝えている。どれも簡潔な演奏ながら、「アワ・デライト」「ザ・スクァイラル」「ザ・チェイス」といったナンバーはビバップならではの躍動感を伴う永遠不滅の名演である。

10.『ケニー・ドーハム/アフロ・キューバン』(1535)C

★アシッド・ジャズ・ブームに火をつけた
この作品が再評価されたのは1980年代半ばのこと。ロンドンで始まった《ジャズで踊ろう》のムーヴメントで本作の「アフロディジア」が大評判を博したからである。もちろん、それ以前から熱心なジャズ・ファンの間でこのアルバムは名盤として知られていた。それを一般的な人気にまで押し上げたのがロンドンでの動きだった。そして、以後はこの手の演奏がアシッド・ジャズと呼ばれて若いファンから受けるようになった。

11.『ルー・ドナルドソン/カルテット、クインテット、セクステット』(1537)D

★若き日のビバッパーぶりが眩しいい
ルー・ドナルドソンの初リーダー・レコーディングを含む、若き日に残した3つの意欲的なセッションを収録。タイトルどおり、カルテット、クインテット、セクステットによる演奏からは、チャーリー・パーカー派のアルト・サックス奏者として売り出していた彼の姿が良好な形で認められる。ブルーノート好みのサイドメンもビバップ・ライクなプレイでドナルドソンを盛り上げ、彼も新人ながら堂々としたプレイでそれに応じていく。

12.『ホレス・シルヴァー/シックス・ピーシズ・オブ・シルヴァー』(1539)C

★「セニュール・ブルース」で知られる人気盤
ジャズ・メッセンジャーズのメンバーを率いて独立したホレス・シルヴァーが発表した1作目。以前から作曲面でも優れた才能を示していた彼が、ここでは本腰を入れてソングライティングにも取り組んでいる。それを象徴しているのがアルバム・タイトルだ。以後の彼は、アルバムを発表するたびに人気を呼ぶ代表曲を紹介していく。ここでは「セニョール・ブルース」がそれに相当し、ファンキー・フィーリング漂うメロディが躍動的に響く。

13.『ハンク・モブレー・クインテット』(1550)D

★初代メッセンジャーズがここに再会
1956年に初代ジャズ・メッセンジャーズは解体したが、これは翌年になってトランペットのケニー・ドーハムをのぞく全員がハンク・モブレーのリーダー・セッションで顔を揃えたもの。この時点でモブレーのプレイにはまだそれほどのファンキー色は出ていない。ばりばりのハード・バッパーとして痛快なブローを披露しているが、それも旧知のメンバーに囲まれて、リラックスした雰囲気の中で持てる力が存分に発揮できたからだ。

14.『ジミー・スミス・アット・ジ・オルガン Vol.1』(1551)E

★オールスター・メンバーによる演奏が聴ける
ブルーノートにはジミー・スミスをリーダーにした《マラソン・セッション》がいくつか残されている。これは1957年2月12日から13日にかけての深夜に行なわれたもので、レギュラー・トリオを中心に、ルー・ドナルドソン、ケニー・バレル、アート・ブレイキーが参加している。レギュラー・トリオの演奏を中心に編集した『Vol.2』もスミスの魅力が横溢した内容だが、ここはやはりオールスターで演奏されたこちらを推薦したい。

15.『ソニー・ロリンズ Vol.2』(1558)A

★ブルーノート生え抜きのメンバーと共演
プレスティッジでいくつもの素晴らしい作品を残してきたソニー・ロリンズがブルーノートに移って発表した2作目。参加したJ.J.ジョンソン、ホレス・シルヴァー、セロニアス・モンク、ポール・チェンバース、アート・ブレイキーは全員がこのレーベルからリーダー作を発表している。そんなメンバーに囲まれて、ロリンズが朗々とした響きでテナー・サックスを吹きまくる。何を吹いても《ロリンズ節》になるところが好調の表れだ。

16.『ハンク・モブレー/ペッキン・タイム』(1574)C

★豪華メンバーによるモブレーの快作
モブレーはもっともブルーノートらしい演奏を聴かせてくれるアーティストのひとり。この作品では盟友のリー・モーガンやウイントン・ケリーと組んで、彼にしては珍しいほどの激しいブロー聴かせてくれる。モブレーは歌心にも優れていたが、どちらかといえばコード進行をメカニカルに追いかけてフレーズを組み立てていく名手だった。そんな持ち味が、このクインテット・セッションではいつになく良好な形で示されている。

17.『ソニー・クラーク/ソニーズ・クリブ』(1576)C

★コルトレーンを含むセクステットの人気盤
ジョン・コルトレーンが参加していたことで、ソニー・クラークがリーダーとなったこの作品は多くのファンから熱い視線を送られてきた。トリオからクインテットまでの編成でレコーディングすることの多かった彼だが、ここではフロントにドナルド・バードとカーティス・フラーも迎えて3管セクステットによる演奏が綴られる。クラークのブルージーなタッチも絶妙で、続く『クール・ストラッティン』でもこの絶好調が受け継がれている。

18.『ソニー・クラーク・トリオ』(1579)B

★クラーク・トリオによる最高傑作
ソニー・クラークはピアノ・トリオでもいくつかの作品を残している。これは中でも圧倒的に見事な演奏を収録したもの。どちらかといえば、ホーン奏者との共演によって触発されるタイプの彼である。しかし、ここではそれ以上に閃きに満ちたパフォーマンスが全編で綴られていく。ジャズ・ファンの間で高い人気を誇る「朝日のようにさわやかに」の瑞々しいタッチをはじめ、「タッズ・ディライト」での躍動的なプレイも強く印象に残る。

19.『ジョニー・グリフィン/ザ・コングレゲイション』(1580)E

★《リトル・ジャイアント》が真骨頂を発揮
小柄な体で大男に負けない強力なブローを聴かせるジョニー・グリフィン。《リトル・ジャイアント》と呼ばれる彼がブルーノートに残した3作品の中で、ソニー・クラークと組んだこのワン・ホーン・カルテットによる吹き込みは多くのファンの心を湧かせてきた。豪快なプレイはもとより、歌心に溢れたバラード・プレイでも、彼の場合は力強さが損なわれない。まさしく生粋のハード・バッパーぶりを示してみせたのがこの作品だ。

20.『カーティス・フラー Vol.3』(1583)D

★ブルーノートで売り出したフラーの3作目
J.J.ジョンソンに続くモダン・トロンボーンの逸材としてブルーノートから華々しく登場したのがカーティス・フラーだった。のちにジャズテットで共演するアート・ファーマーと組んで、ここではハート・ウォームなハード・バップが披露される。超絶技巧を競うだけがハード・バップではない。もちろんここでのフラーも曲によってはスリリングなプレイを聴かせてくれる。しかし、それ以上に穏やかな歌心にこのひとの才能が認められる。

21.『ベニー・グリーン/バック・オン・ザ・シーン』(1587)D

★まろやかなフレーズを吹く名人の隠れ名盤
カーティス・フラーに続くブルーノートのトロンボーン奏者として脚光を浴びたのがベニー・グリーンだった。しかしフラーほど派手なところがないため、人気を確立する前にシーンから遠ざかってしまう。それだけにグリーンの作品はどれも貴重だ。数が少ないだけでなく、優れたハード・バップがそこには記録されているからだ。このブルーノートにおけるデビュー作では、特徴あるウォームなサウンドが存分に聴けることでも見逃せない。

22.『リー・モーガン/キャンディ』(1590)A

★歌心満点のタイトル曲が見事!
天才トランペッターのリー・モーガンがワン・ホーン・カルテットで軽やかなプレイを繰り広げる。タイトル・トラックは、ブルーノートに残された彼の数多い吹き込みの中でも最高の名演にあげられるもの。この時期のモーガンは、ハード・バッパーとして優れたテクニックと歌心を誇っていた。その最良のプレイがこの演奏では聴くことができる。相方を務めるピアニストのソニー・クラークもそんなモーガンに極上のサポートを示す。

23.『ルイ・スミス/スミスヴィル』(1594)D

★隠れた名手によるいぶし銀の内容が光る
ブルーノートには過小評価されたアーティストによる作品も少なくない。その最右翼に位置するのが、生粋のハード・バップ・トランペッターのひとりルイ・スミスによるこの作品だ。このレーベルには彼の作品がもう1枚あるが(トランジションから権利を買い上げたもの)、そちらと合わせて聴けば、その素晴らしさが一層身近に感じられるだろう。派手なところはないが、渋いプレイはこれまで多くの心あるファンを魅了してきた。



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