ジャズ名盤講座第2回「ブルーノート~4000番台編」ビギナー向け15選!マスター向け23選!

2018年 9月 14日 00:00 Category : Art

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All About Blue Note~4000番台の特徴と聴きどころ(マスター向け講座)



前号のおさらい

1940年代から50年代にかけて、ニューヨークのジャズ・クラブでもっとも頻繁にその姿を認められたプロデューサーがブルーノートのアルフレッド・ライオンだ。彼は自分の目と耳で確かめて、気に入ったミュージシャンのレコードを作っていた。ブルーノートは音楽の質ばかりでなく、ジャケットのデザインや音質にも気を配る会社だった。カメラマンでアート・ディレクターのフランシス・ウルフは、ライオンと同じドイツからの移民である。そこに天才肌のエンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーが加わって、次々とジャズ史に残る名盤が発表されていく。それはライオンの鋭い嗅覚に加え、有能なスタッフが一致団結して協力したからだ。とりわけ多くのファンを魅了してやまないのが1950年代半ばの数年間に製作された1500番シリーズだ。この時期、ジャズはビバップからハード・バップに移行している。その変遷をつぶさに記録していたのが1500番シリーズだった。


2.マスター向け講座

4000番台そのものからは離れるが、ブルーノートのレコード番号についてまずは概略を紹介しておこう。ブルーノートが最初にレコードを発表したのは1939年のことだ。その時代にあったのはSPレコードで、これには10インチと12インチの盤がある。そこでレコード番号だが、12インチ・シリーズはシンプルにBNの1番から始まる。最後は56番までいったが、52、53、55番は欠番になっている。10インチSPは501番から始まって573番までいき、次いでなぜか1564番に飛び1629番まで発売された。

 LPもまずは10インチ盤から始まる。こちらには最初から2つのシリーズがあって、クラシック・ジャズを扱かった7000番台とモダン・ジャズの5000番台である。前者が7030番、後者が5070番まで発売されたところで12インチLPに移行する。こちらにも1201番から始まるクラシック・ジャズ・シリーズと1501番から始まるモダン・ジャズ・シリーズがあった。クラシック・ジャズはSPのLP化ということで、音源も少なかったため1208番で終わったが、1500番台は延々と続いていく。そして1599、1600ときて、次いで4000番台が始まった。

 ブルーノートのオーナーでプロデューサーのアルフレッド・ライオンに、どうして1500番台とか4000番台というシリーズ番号を設定したのかを聞いたことがある。ライオンによれば、1500番台はSPレコードを1564番から発売したので、それ以前の番号が使用されておらず、その欠番を埋めようと1501番からスタートさせたとのことだった。

 当初はそんなに長くは続かないと考えてシリーズはスタートした。ところが予想に反しロング・シリーズになったため、1600番までいったところで、SPレコードとの混乱を避けるため、4000番台に移して継続することにした。

 4000番台はいくつかの欠番があるものの、4382番まで続き、その後は4413番から再び始まり4435番まで存在する。そこでなぜ4000番台なのかという質問をライオンにしたところ、彼は明解にこう答えてくれた。「当時のオフィスの電話番号が4001番だったのさ」と。

 それでは4000番台の魅力はどこにあるのか? 具体的にいくつかのアルバムを紹介しながら簡単にたどってみよう。まずは『モーニン』(4003)から。このアルバムはアート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズによる最大のヒット作である。4000番台で一番売れたのがこの作品ではないだろうか。メッセンジャーズはこのアルバムを引っ提げて1961年に初来日した。そのときから日本ではモダン・ジャズが幕を明け、そして彼らの演奏するファンキー・ジャズが社会現象と呼ばれるブームにまでなった。

 このアルバムと双璧をなす4000番台におけるもうひとつの人気盤がバド・パウエルの『ザ・シーン・チェンジズ』(4009)だ。「クレオパトラの夢」で有名なこのアルバムは、神がかり的といわれた演奏を記録したものではないが、豊かな楽想を満面に表出したジャズの楽しい側面を彼なりに示した名盤である。

 ブルーノートの人気者ジミー・スミスは膨大なレコーディングをこのレーベルに残したが、4000番台ではソウルフルな味わいの『ザ・サーモン』(4011)が最高の出来だった。

 ファンキー・ジャズの醍醐味を味わいたい向きにはドナルド・バードの『フュエゴ』(4026)をお薦めしたい。「エーメン」や「ファンキー・ママ」のゴスペル・ライクなサウンドからはジャズの楽しさが目一杯に味わえる。
 ジャズが大人の音楽と信じてやまないひとに聴いてもらいたいのは、“哀愁のピアニスト”デューク・ジョーダンの最高傑作『フライト・トゥ・ジョーダン』(4046)だ。ここに聴く素朴なブルース・フィーリングこそ大人の哀愁を表現した最高のジャズにほかならない。

 知らなければ見過ごしてしまうかもしれない隠れ名盤も紹介しておこう。昨今のグラント・グリーン人気 (本当にあるのかどうかは怪しいが)を考えれば、この作品に目をつけているひともいると思う。その『サンデイ・モーニン』(4099)は、ケニー・ドリューも参加したハード・バップの名盤である。このふたり、意外なほどに相性がいい。普段はファンキーなプレイを身上とするグリーンだが、ここではホーン・ライクに歌うギターが魅力を発揮する。ちなみにこのアルバムが4000番台のラストを飾った1枚だ。

 中古レコード店にあっても値段が高くて買えなかったオリジナル盤がブルーノートにはいくつもある。中でも個人的に探すのがもっとも大変だった作品は、ソニー・レッドの『アウト・オブ・ブルー』(4032)とティナ・ブルックスの『トゥルー・ブルー』(4041)、それにフレディ・レッドの『シェイズ・オブ・レッド』(4045)だった。幸運なことにオリジナル盤は最終的に入手できたが、いまではこれらもCDで聴くことができる。いい時代になったものだ。

 そのほか、未発表のまま残されていたアルバムとして一番有名なのがティナ・ブルックスの『バック・トゥ・ザ・トラックス』(4052)だ。こちらはかつてボーナス盤として日本でアナログ化されたが、そのボーナス盤さえいまでは数万円で取引されているというからおそろしい。

 気になるアルバムを思いつきであげただけだが、まだまだ紹介したいものはいろいろある。そのことを持ってしても、ブルーノートの4000番台に残された99枚の充実ぶりは圧倒的だ。そしてこの素晴らしさは、当然のことながら4100番台以降も引き継がれていく。



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