ジャズ名盤講座第2回「ブルーノート~4000番台編」ビギナー向け15選!マスター向け23選!

2018年 9月 14日 00:00 Category : Art

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1500番台の魅力を味わう名盤15選



2.マスター向け23選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E


1.『ジャッキー・マクリーン/ニュー・ソイル』(4013)B

★パーカーの影響から離れ新生面を切り開く
 パーカー派からひと皮剥けて意欲満々のハード・バッパーに躍進したマクリーンの姿がこの作品では捉えられている。ドナルド・バードの前向きなプレイもあって、ここでのマクリーンは彼と共に躍動感に溢れ、かつ自信に満ちたプレイを繰り広げる。タイトルどおり、パーカー超えを目指したマクリーンが、「ヒップ・ストラット」では堂々たるプレイで周囲を圧倒する。これなど、すでに新主流派的な響きも聴こえる意欲的な演奏だ。

2.『ウォルター・デイヴィス・ジュニア/デイヴィス・カップ』(4018)D

★ハード・バップの隠れた名盤
 あまり知られていないが、ディヴィス・ジュニアもジャズ・メッセンジャーズのメンバーだった。しかもウエイン・ショーターとほぼ同時に、ボビー・ティモンズの後任として参加し、直後に行なわれたヨーロッパ・ツアーに同道している。しかし在籍期間が数ヵ月だったことから、ジャズ・メッセンジャーズのOBとして語られることは少ない。その直前に録音されたこの作品では、ハード・バッパーとしての魅力が遺憾なく発揮されている。

3.『ディジー・リース/スター・ブライト』(4023)E

★小粒でもピリリと辛いリースが聴ける
 過小評価されていたリースの力作。メロディックに歌うハード・バピッシュなプレイがこの作品に集約されている。しかしそれ以上に魅力的な存在がハンク・モブレーとウイントン・ケリーだ。彼らのブルージーなプレイにリースは随分助けられている。本作はいわゆるブルーノート得意のセッション・アルバムだが、メンバー個々の充実と才能に委ねられた作品といっていい。それでこれだけの内容が残せたのだから当時のレベルは高かった。

4.『フレディ・レッド/ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション』(4027)D

★話題となった麻薬劇のサウントラ盤
 ニューヨークのオフ・オフ・ブロードウェイで上演された麻薬劇のサウンドトラック。実際にこのレコーディングに参加したレッドやジャッキー・マクリーンが役者として舞台にあがったことでもファンの間で話題になった。レッドはほとんど作品を残していないだけに、このアルバムも以前から熱心なファンによって取りざたされていた。素晴らしいハード・バップが繰り広げられていたからだ。溌剌としたマクリーンのソロも素晴らしい。

5.『ジミー・スミス/クレイジー・ベイビー』(4030)C

★ポップなスタイルに変身したスミスが聴ける
 スミス率いるレギュラー・トリオが、スタンダードをダイナミックにかつ心地よく演奏してみせた作品。ブルース・フィーリング旺盛な彼だが、「ホエン・ジョニー・カムズ・マーチング・ホーム」のポップなスタイルで代表されるように、本作では泥臭さより洒落た都会的雰囲気に満ちた演奏を繰り広げている点が特徴。絶妙なスイング感もこの作品の聴きどころで、のちのヴァーヴ時代を思わせる軽妙なプレイが心地よい響きを醸し出す。

6.『リー・モーガン/リー・ウェイ』(4034)B

★充実期に入ったモーガンが快演を繰り広げる
 『キャンディ』で素晴らしい演奏を披露したモーガンだが、その後はジャズ・メッセンジャーズでの活動が忙しくなったため、ブルーノートではこれが2年ぶりのリーダー作となった。盟友のジャッキー・マクリーン、ジャズ・メッセンジャーズからボビー・ティモンズとアート・ブレイキーを迎えて、ここでのモーガンは大好きなハード・バップを溌剌と演奏してみせる。どれをとっても完成された姿がうかがえる充実は驚くばかりだ。

7.『デューク・ピアソン/テンダー・フィーリングス』(4035)D

★隠れたピアノ・トリオの傑作
 ブルーノートは過小評価されていたアーティストにスポットを当てたことでも高い評判を獲得した。その最右翼にいたひとりがピアソンで、彼はライオンの引退後にプロデューサー的な役割を果したことでも知られている。そのピアソンがブルーノートで吹き込んだ記念すべき初リーダー作である。当時のレギュラー・メンバーを率いてのトリオ演奏からは、優れた作・編曲家としての能力も示されていて、のちのことを考えると興味深い。

8.『ホレス・パーラン/アス・スリー』(4037)E

★誰もが認めるパーランの代表作
 パーランのレギュラー・トリオによる作品。ジョージ・タッカーもアル・ヘイウッドも、パーラン同様派手なプレイを好まない。それだけに地味な印象を覚えるトリオだが、そこが却ってファンの心を熱くさせる。タイトル曲で代表されるように、気持ちがひとつになって演奏を発展させていく姿は、ピアノ・トリオとしてある種の理想を思わせる。独特のブルージーなタッチを連発させるパーランを中心にまとまりのいいプレイが魅力的。

9.『スタンリー・タレンタイン/ルック・アウト』(4039)D

★タレンタインのブルーノートにおける1作目
 ホレス・パーランのトリオを得てタレンタインが残したブルーノートにおけるデビュー作。この時点で、タレンタインはブルージーな持ち味を早くも発揮している。それだけに、似たような音楽性を前面に打ち出していたパーランとのコンビは、デビュー作であることを考えれば理想的だった。そしてこの吹き込みが好評を博したことで、その後も両者の共演は続いていく。ソウルフルでブルージーなテナーの代表的な演奏集としてお薦めの1枚。

10.『ティナ・ブルックス/トゥルー・ブルー』(4041)E

★ブルーノート・コレクター垂涎の1枚
 幻のアルバム『バック・トゥ・ザ・トラックス』を残したことから、ブルックスの名前はマニアの間で絶大なものとなった。レコードの内袋に、この作品のジャケットが掲載されていたからだ。しかし探しても探しても見つからない。それもそのはずで、直前になって発売中止が決まったからだ。しかし唯一リリースされた本作もオリジナル盤は入手困難だった。そんなことから、彼はブルーノート切っての幻のアーティストとなったのである。

11.『フレディ・レッド/シェイズ・オブ・レッド』(4045)E

★通受けするピアニストによる幻の名盤
 このオリジナル盤はなかなか手に入らない。ブルーノートのコレクターでも持っているひとは少ないだろう。ファンを熱くさせるのは、何といってもレッドをはじめティナ・ブルックスを含む3管の翳りを帯びたサウンドにある。『ザ・コネクション』もそうだが、決して聴きやすい作品ではない。ただしジャズの魅力に憑りつかれたひとなら、レッドが描くメロディの、粋でロマンティックでときにミステリアスなムードに魅了されるはず。

12.『アート・テイラー/AT’Sデライト』(4047)D

★名ドラマーによる貴重な1作
 ブルーノートとはライヴァル会社的な関係にあったプレスティッジのハウス・ドラマーとして大活躍したテイラーのリーダー作。フィリー・ジョー・ジョーンズと双璧をなすハード・バップ・ドラマーの横綱だが、ドラマーであることが災いしたのかリーダー作はほとんど残していない。その数少ないこの1枚では、リーダーでありながらリズム・マンに徹する姿勢も示してみせる。カルロス・パタート・ヴァルデスのゲスト参加も嬉しい。

13.『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/チュニジアの夜』(4049)B

★初来日直前に録音された豪快な1枚
 この作品が録音された5ヵ月後に、まったく同じメンバーでジャズ・メッセンジャーズは初来日を飾る。そこで受けた大歓迎によってブレイキーはすっかり日本贔屓になるが、メンバーのリー・モーガンとウエイン・ショーターはそれ以前から日本が大好きだった。そのことを示しているのがモーガン作の「小僧のワルツ」とショーター作の「ヤマ」だ。ブレイキーもその後に日本人と結婚し、息子に日本名をつけるほどの親日家になる。

14.『ジャッキー・マクリーン/ジャッキーズ・バッグ』(4051)E

★マクリーンが斬新なソロも聴かせる
 ブルーノートにおける初リーダー録音(1959年1月)と5回目のセッション(1960年9月)を収録。重要なのは1960年の録音にティナ・ブルックスが参加していることだ。このときの吹き込みはブルックスの『バック・トゥ・ザ・トラックス』でも聴けるが、マクリーンの鋭いアタックを利かせたプレイはこちらのほうが上だ。まだこの時点ではハード・バピッシュなプレイが主体だったが、一部ではそこから逸脱した斬新なソロも聴ける。

15.『スタンリー・タレンタイン・ウィズ・ザ・スリー・サウンズ/ブルー・アワー』(4057)D

★ブルーノートならではの顔合わせ
 人気トリオとブルーノートのスター・プレイヤーを組み合わせた2枚目の作品。最初のコラボレーションとなったルー・ドナルドソンとの吹き込み同様、こちらも両者の相性のよさが成功に結びついた。ブルージーな表現を得意にしていたタレンタインとジーン・ハリス。ふたりがそれぞれの持ち味を発揮することで、どちらの魅力も倍増したといっていい。中でもソウルフルなバラード「シンス・アイ・フェル・フォー・ユー」が見事。

16.『ケニー・ドリュー/アンダーカレント』(4059)B

★地味ながらブルーノートらしい演奏が最高
 この時代のドリューは、地味な印象を与えるピアニストだった。後年の人気を獲得する予感はまだ感じられないものの、しっとりした味わいのあるハード・バップ・プレイが清々しく響く。いかにもブルーノートらしいアーシーな味が表出されたこのセッションでは、共演するフレディ・ハバードやハンク・モブレーの演奏も光っている。こういうメンバーが集まればこんな演奏になるという、聴き手の予想を裏切らないサウンドが好ましい。

17.『ドナルド・バード/ハーフ・ノートのドナルド・バード Vol.1』(4060)E

★アダムスとの双頭クインテットによる1作目
 バードは1959年にペッパー・アダムスと双頭クインテットを結成している。この作品は名義こそバードになっているが、そのクインテットによる初のレコーディングとなった。同日録音の『第2集』も内容的に遜色はない。ただし、個人的な好みからいけば「マイ・ガール・シャール」が収録されたこちらをより好ましく思う。なおステージでMCを務めているのはのちにライオン夫人となるルース・メイソンで、ここでは彼女の声も聴ける。

18.『ケニー・ドーハム/ホイッスル・ストップ』(4063)D

★地味な内容だが見過ごせない佳作
 ブルーノートにおけるドーハムは、後輩のフレディ・ハバードが大きな話題を呼んだことで、この時期、割を食った感は否めない。しかし時代を揺るがす作品は残せなかったものの、ドーハムはドーハムで着実に自身のプレイを発展させていた。そのことをいまに伝えているのがハンク・モブレーやケニー・ドリューと組んで吹き込んだこのアルバムだ。抑えた表情で全編が綴られているが、そこにドーハムの魅力と真髄が込められている。

19.『ベイビー・フェイス・ウィレット/フェイス・トゥ・フェイス』(4068)E

★歌のないソウル・ミュージック
 ウィレットはジミー・スミスに続いてブルーノートが契約したオルガン奏者。スミス以上にソウルフルなプレイを得意にしていた彼は、このデビュー作から持ち味を遺憾なく発揮してみせた。ソウル畑で活躍していたテナー・サックスのフレッド・ジャクソンをフロントに据えたカルテットによる演奏は、ジャズでありながらソウル・ミュージックにも通じている。シングル・ノートを多用するウィレットのプレイが痛快この上ない。

20.『フレディ・ハバード/ハブ・キャップ』(4073)B

★新時代のトランペッターを印象づけた1枚
 デビュー作の『オープン・セサミ』を発表して以来、ハバードは《新時代のトランペッター》として大きな脚光を浴びるようになった。そのことをいっそう鮮明にしてみせたのが、3管編成で吹き込んだこの3作目。まだモーダルな響きはそれほど明確ではないものの、メカニカルなフレーズを中心にしたソロの構成やさまざまなアーティキュレーションを試みる姿勢などに、従来とは異なる新たなトランペッター像が認められる。

21.『ハンク・モブレー/ワーク・アウト』(4080)A

★ブルーノートの諸作中でもトップを飾る
 モブレーの最高傑作だが、数日前には屈辱的な録音が行なわれた。マイルス・デイヴィスの『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』(ソニー)で、モブレーはジョン・コルトレーンとの2テナーで演奏するはめになった。これはふがいのない彼にコルトレーンをぶつけることで触発しようという、マイルスの親心だ。しかし両者の差は歴然だった。それからわずか5日後にこの名演が残されたのだから、立ち直りも早かったということか。

22.『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/モザイク』(4090)A

★3管メッセンジャーズによる最強の1枚
 『モーニン』の成功以来ファンキー・ジャズを売りものにしていたメッセンジャーズが、1960年代に入ってメンバーを一新。それまでの2管フロントにトロンボーンのカーティス・フラーを加え、色彩感豊かなホーン・アンサンブルに特徴を持たせるようになった。それに伴い、モードを導入したモダンな響きの演奏を聴かせるグループに変身。この変化には、とりわけフレディ・ハバードとウエイン・ショーターの加入が大きく働いている。

23.『ソニー・クラーク/リーピン・アンド・ローピン』(4091)D

★クラークが寛いだハード・バップを聴かせる
 「ディープ・イン・ア・ドリーム」のみだが、アイク・ケベックが参加したことで、このアルバムのイメージは俄然ソウルフルなものになった。他の演奏に参加しているタレンタインもそれなりにブルージーなプレイを繰り広げるものの、ケベックの翳りを帯びたソロに比べるともの足りなさを感じてしまう。とはいえ、クラークの《うしろ髪を引かれる》バック・ビートは相変わらず魅力一杯だし、2管フロントが生み出す響きもご機嫌だ。



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