ジャズ名盤講座第3回「ブルーノートPart3(4100~4423番)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 9月 21日 00:00 Category : Art

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All About Blue Note~4100番台以降の特徴とききどころ(マスター向け講座)



前号のおさらい

 4000番台における最初の99枚は、ことさらヴァラエティに富んだ作品が多い。それもことごとくが名盤と呼ばれてしかるべき内容を誇っている。4000番台で一番売れた作品がファンキー・ジャズの大名盤『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/モーニン』で、これを筆頭に日本で人気の高い『バド・パウエル/ザ・シーン・チェンジズ』やオルガン・ジャズの傑作『ジミー・スミス/ザ・サーモン』も最高の出来だった。ファンキー・ジャズでは『ドナルド・バード/フュエゴ』に収録された「エーメン」や「ファンキー・ママ」のゴスペル・ライクなサウンドもジャズの楽しさを目一杯に味あわせてくれる。このように、気になるアルバムを思いつきであげただけでも紹介したいものはいろいろある。そのことを持ってしても、4000番台に残された99枚の充実ぶりは圧倒的だ。そしてこの素晴らしさは、当然のことながら4100番台以降にも引き継がれていく。


2.マスター向け講座

 1960年代のブルーノート作品がロンドンで人気を集め始めたのは20年以上前のことだった。以来徐々にこの動きがパワーを獲得して、1990年代に大爆発したことは当時のことを知るファンなら覚えているだろう。

 レア・グルーヴとかファンキー・ジャズとか呼ばれるジャズの大半を占めているのがブルーノートのオルガン・ジャズやジャズ・ロックを中心にした作品群だ。発売当初はシリアスなジャズ・ファンの多い日本でまったく顧みられなかったこれらのアルバムが、いまやオリジナル盤なら信じられない値段がついているという。

 そんな作品がゴロゴロしているのも4000番台の特徴だ。ことに4300番台に入ると、半分くらいがオルガン・ジャズやポップでダンサブルな作品になっている。これらもいまでは多くがCD化されて、新たなジャズ・ファンの獲得に寄与している。そのことを考えても、ブルーノートの普遍性がわかるだろう。

 創業者のアルフレッド・ライオンは、常にジャズの最先端に位置しているミュージシャンや演奏をレコーディングしていた。ときにはファンから支持されないものもあった。それでも自分が信じたジャズ、自分が好きなタイプのジャズを躊躇することなく録音し続けたのである。当初は売れなかった作品も少なくない。しかし長い目で見れば、それらも含めてブルーノートの作品はほとんどが結果としてファンの熱い視線にさらされるものになった。

 その最大の理由は、ライオンが自分の信じたミュージシャンを起用し続けたことにある。そしてその方針は、彼がブルーノートから手を引いたあとも、フランシス・ウルフやデューク・ピアソンたちの手で受け継がれていく。

 ブルーノート第二世代ともいうべきライオン引退後に作られたアルバムは、4200番台の後半から登場してくる。そして以後は、時代の流れもあったが、ライオン時代よりレア・グルーヴやファンキー・ジャズを収録した作品が数を増してくる。

 それにしても膨大な枚数を誇る4000番台である。ジャズのスタイルが多彩な方向へと広がった時代に最前線で活躍していたミュージシャンを次々と起用していたブルーノートだけに、作品の充実と共にミュージシャンの充実にも目を見張らされるものがある。それが意外な顔合わせにも繋がった。

 たとえば4000番台の大きな柱のひとつであるジャズ・ロック路線。それを代表するハービー・ハンコックの「ウォーターメロン・マン」(4109番の『テイキン・オフ』に収録)にはハード・バップの大御所デクスター・ゴードンが参加している。そのハンコックが残した新主流派的作品の『マイ・ポイント・オブ・ヴュー』(4126)にはソウル派のギタリスト、グラント・グリーンが名を連ねていた。

 一方、リー・モーガンが残したジャズ・ロックの歴史的名盤『ザ・サイドワインダー』(4157)にはバド・パウエル派のピアニスト、バリー・ハリスが参加している。ハリスとジャズ・ロックの組み合わせもなかなかイメージができない。こういうところがブルーノートの面白さであり、他のレーベルの追随を許さないところだ。

 ブルーノートを聴けばジャズはわかる。反対にいうなら、ジャズを楽しみたい、深く知りたいならブルーノートは避けて通れない。ある程度のファンなら、そして大半の初心者でもブルーノートの作品は何枚か持っているはずだ。そこにもブルーノートの普遍性が認められる。



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