ジャズ名盤講座第4回「パシフィック・ジャズ」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 9月 28日 00:00 Category : Art

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パシフィック・ジャズの魅力を味わう名盤38選



2.マスター向け19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E


1.『チェット・ベイカー/チェット・ベイカー・アンド・クルー』B

★ベイカー・ファンならこれも見逃せない
 ウエスト・コーストのジャズ・シーンで破竹の勢いにあったベイカーが、日ごろの音楽仲間を中心にしたグループでリラックスした快演を繰り広げる。彼のトランペットは、ヴォーカルと同様にアンニュイな響きに魅力があった。その持ち味を存分に発揮した上で、いつになく小気味のいいプレイを披露してみせるのがここでのベイカーだ。ボビー・ティモンズの参加も光っているし、ジャズ・オリジナル中心の選曲も興味深い。

2.『チェット・ベイカー&アート・ペッパー/プレイボーイズ』C

★西海岸のスターふたりが夢の共演を果たした
 ウエスト・コースト・ジャズを大きく盛り上げたベイカーとペッパー。ふたりが待望の共演を果たしたこの作品は、それだけにきらびやかな内容が堪能できる。クールな響きを主体にしたベイカーと、ホットなソロを繰り広げるペッパー。どちらもいつも以上に個性を強調することで、ウエスト・コースト・ジャズの魅力が目いっぱい伝えられる内容になった。それにしても、全盛期を迎えていたペッパーのプレイは本当に見事だ。

3.『チェット・ベイカー/ザ・トランペット・アーティストリー・オブ・チェット・ベイカー』B

★オールスターズによるベイカーの名盤
 ヴォーカルも魅力的だが、ベイカーの本領はトランペットを吹いたときに発揮される。そのことをテーマにして製作されたこのアルバムは、それだけにパシフィック・ジャズの総力が結集されたものといっていい。オールスターで結成されたクインテット、セクステット、セプテットによる演奏は、いずれもが洒落たアンサンブルをバックにベイカーを中心にしたソロがクールなサウンドを醸し出す。これぞウエスト・コースト・ジャズの真髄。

4.『ケニー・ドーハム&ジャッキー・マクリーン/インタ・サムシン』E

★伝説のクインテットによる貴重なライヴ
 ウエスト・コースト・ジャズ・ファンにとっては異色の1枚となったハード・バップ作品。まるでブルーノートのレコーディングかと間違えるほどホットなプレイが繰り広げられる。マクリーンもドーハムも、この時期は新しいタイプのジャズに取り組み始めていた。そんな意気込みも伝ってくる激しいプレイが時代の息吹を感じさせる。サイドマンでは、ウォルター・ビショップ・ジュニアのいつになく野性味に溢れたタッチが魅力的。

5.『ギル・エヴァンス/グレイト・ジャズ・スタンダーズ』E

★名手コールズをフィーチャーした好盤
 パシフィック・ジャズにギルは2枚の作品を残している。どちらもスタンダード集で、こちらはトランペッターのジョニー・コールズを大きくフィーチャーしたもの。スティーヴ・レイシーやエルヴィン・ジョーンズが参加するなど、当時のギルのオーケストラの常連が名を連ねている。いつもならオリジナルが中心に演奏されるが、このメンバーでスタンダードを取り上げ、斬新なオーケストレーションを実践に移しているところが面白い。

6.『クレア・フィッシャー/ファースト・タイム・アウト』D

★秀逸なピアニストによるデビュー作
 西海岸を代表する腕前の持ち主だったフィッシャーだが、作品的には恵まれていない。1950年代からライヴ・シーンでは評判を呼んでいたものの、この初リーダー作が吹き込まれたのは1962年と、かなりのキャリアを積んでからだった。ビル・エヴァンスに通じる知的でリリシズムに溢れたタッチがもっとも良好な形で楽しめる作品として、このトリオ盤はベストの内容を誇る。ゲイリー・ピーコックの参加も価値を高めることになった。

7.『ラス・フリーマン=リチャード・ツワージック/トリオ』B

★ふたつの人気トリオによる演奏を収録
 アート・ペッパーやチェット・ベイカーとの共演で名を売り、ウエスト・コーストのシーンを代表するピアニストながらハード・バップにも通じるプレイで異色のポジションを獲得したフリーマンのトリオと、その彼の後任としてベイカー・グループに抜擢されたツワージックのトリオをカップリングした徳用盤。これ1枚でウエスト・コースト・ジャズの実力派ピアノ・トリオ2組が残した代表的な演奏が聴けるのも嬉しい。

8.『ボブ・ゴードン/ミート・ミスター・ゴードン』E

★夭逝したサックス奏者による唯一の作品
 若くして交通事故でこの世を去らなかったら、ゴードンはジェリー・マリガンと並ぶ西海岸を代表するバリトン・サックス奏者になっていたかもしれない。パシフィック・ジャズのハウス・アレンジャー的存在だったジャック・モンテローズがかかわったアルバムには彼も必ず顔を出していた。そういうわけで、たった1枚しか残されなかったこのリーダー作にも、当然のことながらモンテローズが編曲者兼テナー奏者として参加している。

9.『チコ・ハミルトン/イン・ハイ・ファイ』E

★“室内楽ジャズ”の最高峰による傑作
 パシフィック・ジャズ時代のハミルトンはチェロを加えたグループによって独特のサウンドを生み出していた。フレッド・カッツが弾くこの楽器をフィーチャーした本作は、そのこともあって“室内楽ジャズ”の傑作と呼ばれている。バディ・コレットが吹くフルートやクラリネットもクラシック的な表情を持ち、穏やかなサウンドを中心に創造的なソロが綴られていく。とはいっても、ハミルトンの触発的なビートも魅力を失っていない。

10.『ジャズ・クルセイダーズ/フリーダム・サウンド』D

★未来の人気グループによる1作目
 初期のジャズ・クルセイダーズは、ジャズ・メッセンジャーズ的なファンキー・ジャズを得意にしていた。ウエイン・ヘンダーソンのトローンボーンとウィルトン・フェルダーのテナー・サックス。この2ホーンによって生み出されれるソウルフルなサウンドに、ジョー・サンプルのブルージーなピアノが絡む。デビュー作ながら、レギュラー・コンボとしてかなりのキャリアを積んできただけに、抜群のコンビネーションが味わえる。

11.『レス・マッキャン/イン・サンフランシスコ』D

★グルーヴィーでソウルフルなライヴ盤
 マッキャンはウエスト・コーストのジャズ・シーンで活躍していたものの、ニューヨーク派に通じるグルーヴィーでソウルフルなプレイを得意にしていた。その彼が、レギュラー・トリオを率いてご機嫌なライヴを繰り広げる。スタンダードや自作のブルージーなナンバーは、ブルーノートで人気を博していたスリー・サウウンズに通じている。豪快なタッチと共に繊細な歌心も合わせ持ったマッキャンのベスト・プレイが収録された1枚。

12.『ジェリー・マリガン/オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテットVol.2』B

★ウエスト・コースト・ジャズの頂点を記録
 パシフィック・ジャズから10インチ盤として発表されたLP-5に、モザイク盤で初出の演奏やオムニバス盤などに収録されていた演奏をボーナス・トラックとして集めたオリジナル・マリガン・カルテットによる演奏集の2枚目。お馴染みのスタンダードが中心の内容だが、いかにもウエスト・コースト・ジャズといった洒落た響きが耳に心地よい。マリガンの低音とチェット・ベイカーのリリカルな響きがご機嫌な融合を織り成す。

13.『ジェリー・マリガン/アット・ストリーヴィル』B

★第2期ピアノレス・カルテットによる超絶ライヴ
 チェット・ベイカーとのピアノレス・カルテットが大成功を収めたのち、マリガンは一時西海岸を離れている。その後に復帰して新たに結成したのが、トランペットの代わりにトローンボーンのボブ・ブルックマイヤーを迎えたカルテットだった。バリトン・サックスとトローンボーン。低音部を強調するふたつのホーン楽器から生み出されるサウンドは重厚な響きに溢れている。豪快なマリガンのプレイが以前にも増して映える1枚。

14.『ジョー・パス/キャッチ・ミー』C

★早くも名人芸が聴ける
 のちにソロ・ギターで超絶的なテクニックを披露するパスだが、このデビュー作でも片鱗を存分に覗わせる。才人クレア・フィッシャーの参加を得て、ここでのパスはオーソドックスなプレイの中に知的で思索的な表現も込めてみせる。それでいて心地のよいサウンドになっているところが魅力といっていい。選ばれたのはほとんどがお馴染みのスタンダード。その中で、ビル・エヴァンスの曲がふたつ収録されているところに個性を感じる。

15.『ビル・パーキンス/オン・ステージ』E

★西海岸の人気テナーマンによるデビュー作
 ウエスト・コーストのジャズ・シーンで活躍した白人テナー・サックス・プレイヤー中、レスター・ヤングからもっとも強い影響を受けたのがパーキンスだった。その彼の初リーダー・レコーディングを祝って、多くのスター・プレイヤーが結集した1枚。バド・シャンク、スチュ・ウィリアムソン、カール・フォンタナたちがフロントを固め、リズム・セクションはラス・フリーマン〜レッド・ミッチェル〜メル・ルイスが務める豪華版。

16.『ドン・ランディ/フィーリン・ライク・ブルース』E

★新時代のピアニストによる意欲作
 1960年代に人気を博したピアニストのランディによる初リーダー・レコーディング。ハリウッド周辺のクラブで評判を高めた彼だけあって、エンタテインメント性の高いプレイが個性に繋がっている。当時レギュラーでライヴ活動を続けていた3人による演奏は、いずれもが実力を存分に発揮した内容で、ピアノ・トリオの理想的な姿を思わせる。スインギーで心地のよい響きを醸し出すランディのプレイには新時代の到来も感じられる。

17.『アニー・ロス&ズート・シムズ/ア・ギャザー』D

★レーベルの人気者がバックに勢ぞろい
 『アニー・ロスは歌う』の陰に隠れてしまった感のするアルバムだが、こちらも遜色のない内容が光る。ズート・シムズとラス・フリーマンを中心に、ジム・ホールやビル・パーキンスといった名手がバックに加わり、比較的知られていないスタンダードを中心にジャジーなヴォーカルが連続する。ロスといえば、ランバート・ヘンドリックス&ロスの一員として活躍していただけあって、見事なテクニシャンぶりがこの作品でも映える。

18.『バド・シャンク/昼と夜のシャンク』A

★ふたつのクインテットを収録した初リーダー作
 ウエスト・コースト・ジャズを黎明期から支えてきた3人の腕達者による内容充実の1枚。リーダーはバド・シャンクで、前半がショーティ・ロジャースと組んだクインテット、後半がビル・パーキンスと組んだクインテットによる演奏という構成。ファンの間では『と夜のシャンク』と呼ばれている作品で、前者が「デイ・サイド」、後者が「ナイト・サイド」と題されている。これ1枚でシャンクの魅力が存分に堪能できる名盤だ。

19.『ズート・シムズ/チョイス』E

★発想の異なるふたつのセッションをチョイス
 パシフィック・ジャズにシムズのリーダー録音は残されていない。しかしサイドマンとして参加したふたつのセッションから優れた演奏を集めて1枚のアルバムが発表されている。とりわけジェリー・マリガン・カルテットと共演した冒頭の4曲が素晴らしい。マリガンとシムズが低音の魅力を発揮して、重厚かつ軽快なブローを丁々発止と聴かせてくれる。ラス・フリーマンとのセッションでは、一転して軽快な持ち味を披露する。


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