ジャズ名盤講座第5回「ベツレヘム」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 10月 5日 00:00 Category : Art

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All About Bethlehem(ビギナー向け講座)



1.ビギナー向け講座

 ベツレヘムは1953年にポップスのシングル盤を製作するレーベルとしてニューヨークで設立された。オーナーはウォール街でディーラーとして働いていたガス・ウィルディで、当時27歳の若さだった。株のディーラーと音楽業界とでは職種がまったく違う。ウィルディが音楽業界に打って出たのは、パートナーとも呼ぶべき強力な助っ人がいたからだ。レッド・クライドことジェームス・ヘンリー・A・クライドがそのひとである。

 ふたりがどうして知り合ったのかは不明だが、クライドは5歳のときから舞台に立ち、16歳でプロのドラマーになったミュージシャンである。クロード・ソーンヒル楽団などでも演奏していたというから、そこそこの腕前はあったのだろう。

 レーベルが設立されてから1年後、ベツレヘムは方針を大幅に変える。ポップスのシングル盤ではなく、ジャズのLPレコードを製作するレーベルに変身したのだ。クライドがその裏でアイディアを出したことは想像にかたくない。彼はレーベルが誕生した直後の1953年秋から約1年間、ワシントンDCでセールス・マネージャーとしてプロモーションを手がけ、1954年10月から西海岸地区でのA&Rを担当するようになった。したがって、ウエスト・コーストでのレコーディングが大半だった初期のベツレヘム作品はほとんどクライドが手がけていた。

 ベツレヘムが当時のマイナー・カンパニーとしては異例とも思われる、東西の海岸にオフィスを構えたのは、ふたりの創立メンバーがそれぞれの地域で辣腕を奮うことになったからだ。記念すべき最初のアルバムはクリス・コナーが吹き込んだ『バードランドの子守唄』で、10インチLPのフォーマットでリリースされた。カタログ番号1001番のこのアルバムは、発売1年強で当時のジャズ作品にしては破格の18000枚を売り上げる。

 幸先よいスタートを切ったベツレヘムは、以後、毎月6~7枚のペースでアルバムをリリースしていく。これはブルーノートやプレスティッジを凌ぐ勢いだった。背景にはウォール街で培ったビジネス・センス(ウィルディ)とプロモーション・マンとしてのマーケティング・センス(クライド)の合体が考えられる。

 着実に基礎を築いていったベツレヘムには、もうひとりの重要人物がいた。1953年の設立時に雇われていたクリード・テイラーだ。彼はこの時点で24歳と若かったが、クリス・コナーの作品をプロデュースするなど、早くから実力を発揮していた。幅広い交流が買われ、1955年7月にA&Rに就任するや、次々と新しいミュージシャンを引っ張ってきたのも彼の功績だった。その結果、1956年になるとベツレヘムは週に1枚のペースで新作を発表するようになっていた。

 ベツレヘムの長けていたところは、レコーディングの本拠を西海岸に置きつつ、販売網は東西の海岸を中心に全国に広げていたことである。ブルーノートやプレスティッジはニューヨークに本拠地があっただけで、販売も東海岸が中心だった。そこに決定的なマーケティング力の違いが認められる。そしてベツレヘムは、当初こそ目立たなかったものの、徐々に東海岸でのレコーディングも増やすようになっていく。

 設立間もない1950年代半ばはウエスト・コースト・ジャズに勢いがあった。パシフィック・ジャズとコンテンポラリーが相次いで設立され、これらふたつのレーベルが両輪となって、ウエスト・コースト・ジャズの黎明期をバックアップしたのである。そこにベツレヘムが割って入り、1950年代半ばはそれぞれがレーベル・カラーを打ち出しながら、独自に充実したレコーディング活動を繰り広げていた。

 ところがこのころになると、ニューヨークでもハード・バップが勢いを増してくる。もともとベツレヘムの本社はニューヨークにある。このムーヴメントを放っておく手はない。そういうことから、カイ・ウィンディング、ハービー・マン、ジョニー・ハートマン、アート・ブレイキー、チャールス・ミンガス、ブッカー・アーヴィン、ブッカー・リトル、マル・ウォルドロンなど、ニューヨークを中心に活動しているミュージシャンのレコーディングも積極的に行なうようになってくる。それらの多くは1956年にスタートした6000番シリーズ(BCP-6001~73)で聴くことができるが、一部は最初の12インチLPシリーズとなったデラックス・シリーズ(BCP-1~92)にも組み込まれている。

 しかし躍進目覚しいベツレヘムだったが、1961年になると活動を休止し、シンシナティにあったキング・レコードに全権利を売却してしまう。その後もいくつかのレーベルに転売されたレーベルの音源は、ある人物が買い取って、現在は再び誕生の地ニューヨークでベツレヘム・ミュージック・カンパニーの名称を持つ会社によって管理・運営されている。



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