ジャズ名盤講座第5回「ベツレヘム」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 10月 5日 00:00 Category : Art

このエントリーをはてなブックマークに追加

ベツレヘムの魅力を味わう名盤38選




ビギナー向け19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/ハード・ドライヴ』(6023)B

★ジャズ・メッセンジャーズによる隠れた秀作
 ホレス・シルヴァーと別れてからのブレイキーは、ジャズ・メッセンジャーズを率いていくつかのレーベルで次々と録音を重ねていく。これもその時期に残された1枚。ビル・ハードマンとジョニー・グリフィンをフロントに据えたクインテットの演奏は、タイトルどおりの勢いに溢れている。見落とされがちな作品だが、これもブレイキーを語る上では落とせない。人気盤『モーニン』(ブルーノート)が録音されるのはこの1年後。

2.『オスカー・ペティフォード/アナザー・ワン』(33)D

★モダン・ベースの至芸が堪能できる
 ペティフォードはビバップ~ハード・バップ時代に活躍した最高のベーシストのひとり。その割に作品は少ないが、それらはどれも歴史に残っている。中でもドナルド・バードやジジ・グライスなど、ハード・バップ派の精鋭をしたがえて吹き込んだこのアルバムでは、ペティフォードが弾くチェロも含めて彼の至芸が堪能できる。8重奏団を率いてのレコーディングだが、若き日のクインシー・ジョーンズが担当したアレンジも秀逸。

3.『カイ・ウィンディング&J.J. ジョンソン/K+J.J.』(6001)A

★トロンボーンの最高峰ふたりによる名作
 超絶技巧でトロンボーン奏法に革命を起こしたジョンソンは、1954年から同じタイプのウィンディングと2トロンボーン・チームを組んで活躍するようになった。レコーディングは基本的にジョンソンのリーダー契約で行なわれているが、この作品に限ってはウィンディングがリーダー。とはいってもプレイは互角だ。豊かで美しいハーモニーもあれば、挑戦的で豪快なアンサンブルも聴ける。ふたりのバトルも極めてスリリング。

4.『クリス・コナー/バードランドの子守唄』(6004)A

★コナーを聴きたければまずこれから
 ベツレヘムに残されたコナー3部作の1枚。トリオからオーケストラまで、3種類の伴奏を得て彼女が素晴らしい歌の数々を披露する。代表作となったタイトル曲をはじめ、全編でコナーの持ち味である知的かつクールな魅力が遺憾なく発揮されていく。テクニック、表現力共に絶頂期にレコーディングされた作品だけあって、独特の抑制した歌唱がスリリングな瞬間を生み出す。これ1枚でジャズ・ヴォーカルの真髄が堪能できる。

5.『クロード・ウィリアムソン/ラウンド・ミッドナイト』(69)E

★オリジナル盤はコレクター垂涎の1枚
 ほとんどリーダー作を残さなかったウィリアムソンだが、それゆえいまではどれも貴重なものになっている。中でも最高傑作として多くのファンから愛聴されてきたのがこの作品。ウエスト・コーストを代表する名手のレッド・ミッチェルとメル・ルイスがリズム・セクションを構成しているだけに、このレーベルに残されたもう1枚のトリオ盤より奔放なプレイを繰り広げ、《白いバド・パウエル》と呼ばれた真価を発揮する。

6.『サル・サルヴァドール・ウィズ・エディ・コスタ/プリヴァラス・サル』(59)E

★白人の洗練されたギター・ワークが光る
 1950年代に活躍した白人ギタリストの中で、タル・ファーロウやジョニー・スミスと並んで高い実力を誇ったのがサルヴァドール。その評価もひとえにこの作品を残していたからだ。エディ・コスタが中心となったリズム・セクションをバックに、サルヴァドールがよく歌うフレーズを駆使してスマートなプレイを繰り広げる。コスタの伴奏とくれば、まずはファーロウのプレイを思い浮かべる。それに負けていないのがここでの彼だ。

7.『ジョニー・ハートマン/ソングス・フロム・ハート』(43)D

★ジャズ・ファン好みのメンバーも好演
 この時代、ハートマンは実力の割に過小評価されていた。低音の魅力を生かしたジャジーなヴォーカルは、ナット・キング・コールのようなポピュラーな人気とは縁遠かった。しかし、実力派はチャンスさえあればいつかは正しく評価される。いまではこの作品もハートマンが残した傑作として多くのファンが認知している。ハワード・マギーを含むワン・ホーン・カルテットの伴奏もアルバムの価値を高めることにつながった。

8.『ズート・シムズ/ダウン・ホーム』(6051)A

★ハードなブローがウォームに響く
 ハード・ドライヴィングなブローが聴きどころの快作。ただしここでのシムズはデイヴ・マッケンナと共演していることから、彼の持ち味であるメロディックなプレイにも合わせてみせる。もともとハート・ウォームなプレイで売り出したシムズである。レスター・ヤングの流れを汲むスマートなプレイは、強力なタッチのピアニストよりマッケンナのようにスイングするタイプと一緒のほうが味わい深い。ゆえに、ここでは快演が連続する。

9.『チャーリー・マリアーノ/チャーリー・マリアーノ・カルテット』(25)B

★ワン・ホーン・カルテットで本領を発揮
 マリアーノがジョン・ウィリアムス~マックス・ベネット~メル・ルイスのリズム・セクションを得て、ワン・ホーン・カルテットで真髄を聴かせる。名アルト・サックス奏者の彼がピアノ・トリオをバックに独特の切なさを表現したこの作品は、ジャズ・ファンから絶大な支持を得ている代表的な1枚。スタン・ケントン楽団在籍中の吹き込みで、それだけにスモール・コンボでの演奏を渇望していたのだろう。「ブルース」は生涯の名演。

10.『デクスター・ホードン/ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』(36)A

★ゴードンが1950年代に残した傑作
 ゴードンは麻薬の常習から、1950年代の大半を棒に振った。その彼が一時的に活動を再開したチャンスを捉えて録音されたのがこの作品。それが思わぬ名演を生み出したのだから皮肉といえば皮肉だが、とにかくここでの彼は見事の一語に尽きるブローで好調ぶりを示す。ワン・ホーンで朗々とテナーを吹いてみせるゴードンに、一糸乱れぬ好サポートをつけるケニー・ドリューのハード・バピッシュなプレイ。これも素晴らしい。

11.『デューク・エリントン/デューク・エリントン・プレイズ』(6005)D

★エリントン楽団によるスタンダード集
 いつの時代もエリントンのオーケストラには素晴らしいメンバーが揃っていた。1956年に吹き込まれたこの作品でも、クラーク・テリー、ラッセル・プロコープ、ジョニー・ホッジス、ポール・ゴンザルヴェス、ハリー・カーネイなど、お馴染みのスター・ソロイストが健在である。ゴージャスなアンサンブルと聴き応えある充実したソロ。ここではお馴染みのエリントン・ナンバーではなくスタンダードを演奏しているのが興味深い。

12.『ドナルド・バード&ペッパー・アダムス/モーター・シティ・シーン』(6056)B

★デトロイト県人会によるご機嫌なセッション
 デトロイトは優秀なジャズ・プレイヤーの宝庫だった。1950年代半ば、この街から次々と精鋭がニューヨークに進出したことで、ハード・バップが一層華やかな発展を遂げたことは歴史が物語っている。その証明のひとつがこのアルバム。リーダーなしのジャム・セッション盤だが、気心知れた同郷のミュージシャンによる県人会のような演奏は、リラックスした面とスリリングなプレイとが共存していて痛快この上ない響きを醸し出す。

13.『ハワード・マギー/ザ・リターン・オブ・ハワード・マギー』(42)E

★ビッパーがいぶし銀の健在ぶりを示す
 ビバップ時代にファッツ・ナヴァロやクリフォード・ブラウンと同タイプのトランペッターとして活躍したのがマギーである。ただし派手なところがあまりなかったため、目立つことなく終わってしまった。しかしそのいぶし銀のようなプレイがいまとなっては心を揺さぶる。この作品は麻薬療養でシーンからしばし遠ざかっていたマギーが久々に復帰して吹き込んだもの。名手たちが心のこもったバックアップで彼の復活を祝っている。

14.『ブッカー・リトル/ブッカー・リトル&フレンド』(6061)A

★夭逝したリトルの代表作
 エリック・ドルフィーと共に、リトルは伝統的なスタイルをベースに新時代のジャズを切り開いていた。そのユニークな個性を全開させているのがこの作品。選ばれたメンバーも全員がそうした音楽的な路線で個性が発揮できるひとたちばかり。3管フロントが織り成すテキスチャーは、ジャズの伝統から逸脱することなく、それでいて極めて斬新な響きを有するものだ。そこに時代の息吹が強く感じられる。

15.『ボブ・ドロー/デヴィル・メイ・ケア』(11)C

★クラブでいまも人気のグルーヴィな1枚
 小粋なヴォーカルと達者なピアノ・プレイで評判を獲得したドローの代表作。弾き語りの名手としてだけでなく、タイトル曲で代表されるようにご機嫌なジャズ・ナンバーの作曲者としても知られている。この曲は1962年にマイルス・デイヴィスがレコーディングし、それが話題になったことからドローの株もあがった。こではトランペットやヴァイブをフィーチャーしたクインテットでドローが小気味のいい弾き語りを披露する。

16.『マル・ウォルドロン/レフト・アローン』(6045)A

★日本におけるマルの人気を決定した名盤
 ベツレヘムに残された永遠のベスト・セラー。ビリー・ホリデイを追悼したマルとジャッキー・マクリーンによるタイトル曲はジャズ史を飾る名演のひとつ。両者の切々としたプレイが心を捉えて離さない。トレードマークの《モールス信号的奏法》が、この曲では聴くもののイメージを強く掻き立てる。エモーションを抑えるかのように淡々とフレーズを綴っていく姿が、愛する人物を失った悲しみを逆に強調しているようだ。

17.『ミルト・ヒントン/イースト・コースト・ジャズ・シリーズNo.5』(10)E

★隠れた名手ヒントンが真髄を示す
 モダン・ベースの始祖と呼ばれたジミー・ブラントンから影響を受けたヒントンは、渋い存在ながらベーシストとして縁の下の力持ち的存在でいくつもの重要なレコーディングに名を連ねてきた。その彼が、トニー・スコット、ディック・カッツ、オシー・ジョンソンとのカルテットで実力を発揮する。タイトルには《イースト・コースト・ジャズ》の文字が躍っているが、演奏からはウエスト・コースト・ジャズ的な響きを強く受ける。

18.『メル・トーメ/アット・ザ・クレッセント』(6020)A

★ライヴでトーメが軽妙なヴォーカルを披露
 トーメのキャリアを代表する最高傑作。マーティー・ペイチをアレンジャーに迎えたコンボによる瀟洒な伴奏を受けて、トーメが軽快でクールなヴォーカルを次々と聴かせてくれる。とりわけ「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」や「バークリー・スクエアのナイチンゲール」は、このひとのモダンな歌唱が最良の形で聴ける快唱になった。名曲揃いで、すべてが名唱と呼ぶに相応しい。これほど充実したヴォーカル作品は珍しい。

19.『V.A./ウィナーズ・サークル』(6024)C

★コルトレーンも参加したジャム・セッション盤
 1957年度の『ダウンビート』誌の人気投票と国際批評家投票で選ばれたウィナーを中心に吹き込まれたジャム・セッション盤。当時の若手が中心のメンバー構成が興味深い。とりわけ、マイルス・デイヴィスのグループに参加したことで注目を集めるようになったジョン・コルトレーンの参加が貴重である。それだけに、彼が加わったセッションのほうが内容は面白い。当時の新人がいかに才能豊かだったか、そのことも合わせて楽しめる。




Related article

  • 4月10日「Selim Slive Elementz 」JZ Bratにて凱旋ライブ
    4月10日「Selim Slive Elementz 」JZ Bratにて凱旋ライブ
  • ジャズ名盤講座第4回「パシフィック・ジャズ」ビギナー向け19選!マスター向け19選!
    ジャズ名盤講座第4回「パシフィック・ジャズ」ビギナー向け19選!マスター向け19選!
  • ジャズ名盤講座第3回「ブルーノートPart3(4100~4423番)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!
    ジャズ名盤講座第3回「ブルーノートPart3(4100~4423番)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!
  • ジャズ名盤講座第23回「MPS編」
    ジャズ名盤講座第23回「MPS編」
  • ジャズ名盤講座第30回「Concord編」ビギナー向け14選!マスター向け14選!
    ジャズ名盤講座第30回「Concord編」ビギナー向け14選!マスター向け14選!
  • ジャズ名盤講座第37回「Candid+Black Lion & Freedom編」Candidの魅力を味わう名盤38選!Black Lion&Freedomの魅力を味わう9選!
    ジャズ名盤講座第37回「Candid+Black Lion & Freedom編」Candidの魅力を味わう名盤38選!Black Lion&Freedomの魅力を味わう9選!

Prev & Next

Ranking

  • 1
    ロータス、新型「ロータス エキシージS」発売
  • 2
    【レポート】第三回ヘンタイ美術館、「理想と現実、どちらがヘンタイか」
  • 3
    グリーン ポルシェ!  パナメーラS e-ハイブリッド
  • 4
    車と人のいい関係。ボルボ V40、デザイナーが語る北欧主義
  • 5
    インタビュー:マリオ・ベリーニ、名作誕生を語る
  • 6
    谷尻誠インタビュー:都心の広場に巨大なジャングルジムが出現
  • 7
    ムービー:軽井沢千住博美術館、西沢立衛設計
  • 8
    iPad、販売台数200万台を突破
  • 9
    レイバンの名作が、ミッドセンチュリー色にパワーアップ
  • 10
    アルフレッド ダンヒル 銀座本店がオープン

Excite ism :

このエントリーをはてなブックマークに追加