ジャズ名盤講座第5回「ベツレヘム」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 10月 5日 00:00 Category : Art

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ベツレヘムの魅力を味わう名盤38選



2.マスター向け19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E


1.『アート・ブレイキー/アート・ブレイキー・ビッグ・バンド』(6027)D

★コルトレーンの参加がなんといっても注目!
 ブレイキーはニューヨークに出る以前、ビッグ・バンドを結成していたキャリアを持つ。有名になってからは滅多にビッグ・バンドを率いなかっただけに、このレコーディングは貴重だ。おまけに売り出し中だったジョン・コルトレーンも入っているし、彼を含むクインテットの演奏も2曲が収録されている。豪快なドラミングはブレイキーのトレードマークだった。それだけに、ビッグ・バンド・ドラマーとしても大成したに違いない。

2.『オスカー・ペティフォード、ヴィニー・バーク/ベース・バイ・ペティフォード&バーク』(6)E

★タイプが違う2セッションを収録
 ペティフォードとバークが1954年に残した2セッションを収録。どちらもベースの名手として勇名を馳せていたが、タイプがまったく違う。前者はビバップ~ハード・バップ、後者はトリスターノ派のクール・ジャズで個性を発揮した。両極端をいくプレイヤーにレコーディングさせていたのもベツレヘムが他のレーベルと違う点だ。とりわけ、ジュリアス・ワトキンスやデューク・ジョーダンを含むペティフォードの演奏が重要。

3.『クリス・コナー/ジス・イズ・クリス』(20)A

★絶頂時にコナーが残した傑作
 ベツレヘムの遺産中もっとも重要な1枚。白人女性シンガーの最高峰コナーがJ&Kをはじめ、キラ星のようなスターたちに囲まれて真価を存分に発揮する。中でも「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」や「ザ・スリル・イズ・ゴーン」は名唱の誉れが高い。コンボをバックにスインギーで表情豊かに歌う彼女は、同時期に活躍した白人女性シンガーの間でも高い実力を誇っている。絶頂の時期に残された快作として推薦したい。

4.『クリス・コナー/クリス』A

★ベツレヘムに残された歌物の最高峰
 ベツレヘムにコナーが残した3枚のうちの1枚。独特の抑制された歌唱がスリリングな瞬間を生み出す「ラッシュ・ライフ」をはじめ、テクニック、表現力共にベストの時代に残された数々の名唱が胸を打つ。トリオ、カルテット、オーケストラなど、曲によって編成が変わるバックも、コナーが持つさまざまな魅力を伝えている。これ1枚で、彼女の持ち味がいろいろな形で味わえる点でも、代表的な作品と呼ぶに相応しい。

5.『コンテ・カンドリ/トゥーツ・スウィート』(30)D

★カンドリがクインテットで洒落た演奏を披露
 カンドリはスタン・ケントンのオーケストラで注目を集めたトランペッター。その彼がオーケストラから独立して結成したクインテットで典型的なウエスト・コースト・ジャズを聴かせる。レギュラー・コンボでの吹き込みだけに、ビル・ホルマンとのアンサンブルも絶妙だし、ルー・レヴィーが中心となったリズム・セクションとの絡みもヴァラエティに富んでいる。瀟洒なサウンドという点ではチェット・ベイカーより上かもしれない。

6.『ジミー・ネッパー・ウィズ・ビル・エヴァンス/ア・スウィンギン・イントロダクション』(77)D

★個性派のネッパーがエヴァンスと共演
 チャールス・ミンガスのグループで活躍していた個性派トロンボニストのネッパーは、ウエスト・コースト派でもなければイースト・コースト派でもない。強いて分類するなら後者だが、それは本拠地からそういわれているだけで、スタイルからくるものとは違う。同じことは共演者のエヴァンスについてもいえる。どちらも独自の感性にしたがって演奏するタイプで、相性は抜群にいい。そのことを改めて教えてくれるのがこの作品。

7.『スタン・リーヴィー・ウィズ・デクスター・ゴードン/今こそドラムを叩く時』(37)E

★最高のメンバーと録音したリーヴィーの2作目
 ウエスト・コーストのシーンが豊穣な実りを咲かせようとしていた1955年、地元で活躍する若手にデクスター・ゴードンを加えたコンボでレコーディングされたリーヴィーの代表作。とはいっても、彼は東海岸を代表するドラマー、マックス・ローチの信奉者だった。タイトル曲もオスカー・ペティフィードがローチのために書いた「マックス・イズ・メイキング・ワックス」が原曲で、そこにリーヴィーの心情が込められている。

8.『スチュ・ウィリアムソン/プレイズ』(31)E

★22歳のときに吹き込んだ意欲的なデビュー作
 将来を嘱望されていたトランペッターのウィリアムソンが、アルト・サックスの名手チャーリー・マリアーノと組んでウエスト・コースト風ハード・バップを聴かせる鮮烈のデビュー作。兄クロード・ウィリアムソンの参加も嬉しいし、地味な印象の強いスチュが溌剌とトランペットを吹いている姿がなにより眩しい。オリジナルの「サフィア」や兄が作曲した「スラッガー」ではトレードマークのウォームな響きが絶大な効果を発揮する。

9.『チャーリー・ラウズ&ポール・クイニシェット/ザ・チェイス・イズ・オン』(6021)E

★渋いふたりがホットなバトルを繰り広げる
 ベツレヘムを代表するニューヨーク・レコーディング。ラウズとクイニシェットという趣味のいい2テナーが織り成すアンサンブルが心地よい。華やかな人気とは無縁だったが、ジャズの世界では地道に活躍する名手がいるからこそシーンが充実する。そんな脇役のふたりがここでは存分にバトルを繰り広げる。熱いプレイはハード・バップ・ファンの心を揺さぶるに違いない。そしてウイントン・ケリーの参加にも要注目だ!

10.『チャールス・ミンガス・ウィズ・ビル・エヴァンス/イースト・コースティング』(6019)B

★『直立猿人』に続くミンガスの快作
 名盤『直立猿人』(アトランティック)の翌年にレコーディングされた、これまたミンガスによる快作。強力なベース・ワークと音楽性に支配された演奏だが、ジミー・ネッパーやエヴァンスといった個性派が参加していたことで、いつものミンガスとはひと味違うアンサンブルやソロの連続が楽しめる。ぐいぐいとグループを引っ張っていく彼のベース・ワークを受けて、エリントン風の力強いタッチを繰り広げるエヴァンスが魅力的。

11.『ニーナ・シモン/ファースト・レコーディング』(6028)E

★弾き語りで独特の世界を描く
 男性のような低音ヴォイスを持つシモンの記念すべきデビュー・アルバム。ピアノの弾き語りで独特の世界を描く彼女だが、それはこのデビュー作でも完成された形で示されている。とりわけ大ヒットを記録した「アイ・ラヴズ・ユー・ポーギー」は全キャリアを通しても決定的名唱のひとつに数えられる。スタンダードをはじめ、ゴスペルやアフリカン・フレイヴァーの曲まで取り上げているところは、その後の彼女の姿を彷彿とさせる。

12.『ハービー・マン&サム・モスト/ハービー・マン&サム・モスト・クインテット』(40)D

★マンの実力が知りたければこの作品を
 フルートのデュエット作品は珍しい。コマーシャルな演奏で顰蹙を買うことの多かったマンだが、この時代は真摯にジャズを追求していた。もともとテクニシャンにして素晴らしい音楽性の持ち主である。その彼が同じタイプのモストと組み、スリリングで創造的なパフォーマンスを繰り広げる。息もぴったりだし、フルート特有の爽やかな音色がクールで都会的な響きを醸し出す。目立ちはしないが、これもレーベルを代表する代表的な1枚。

13.『ブッカー・アーヴィン・ウィズ・ズート・シムズ/ザ・ブック・クックス』(6048)B

★アーヴィンの痛快なプレイが満喫できる
 アーヴィン~トミー・タレンタイン~ズート・シムズの3ホーンに、トミー・フラナガンを中心にしたリズム・セクション。重量級のメンバー構成がファンの心をくすぐる。予想どおりのハード・バップ作品で、斬新なプレイを得意にしていたアーヴィンもいつもほどアヴァンギャルドなプレイはしていない。それでもありきたりの演奏にならないところがこのひとの味で、シムズとの2テナーが好対照を描くところもいい。

14.『フランク・ロソリーノ・ウィズ・ソニー・クラーク/アイ・プレイ・トロンボーン』(26)E

★ロソリーノがいつになく大胆なプレイで迫る
 ウエスト・コーストのジャズ・シーンを代表するロソリーノが最高のメンバーを得て残したワン・ホーン・カルテットの快作、ニューヨークに戻る直前のソニー・クラークが参加していることも見逃せない。ロソリーノと彼のコンビが生み出すサウンドは、ウエスト・コースト・ジャズの表情を装いながらも、それだけにとどまっていない。ハード・バップに通ずる大胆なフレーズを随所で聴かせるのはクラークのプレイを意識してのもの。

15.『ベティ・ロシェ/A列車で行こう』(64)D

★ロシェのデビュー作にして最高の1枚
 1940年代前半にデューク・エリントンのオーケストラで活躍した名シンガーのロシェによる初リーダー作。1956年の録音は、彼女の実力を考えると遅きに失した感がする。しかしそれだけ実力を蓄え、満を持しての吹き込みとなった。実力派の面目躍如たる内容を満載しているのがこの作品だ。聴きものは、当然のことながらオハコのタイトル・トラック。スキャットを交えたスリリングな展開が優れた才能を強く感じさせる。

16.『ヘレン・カー/ホワイ・ドゥ・アイ・ラヴ』(45)E

★カーがベツレヘムに残した自信作
 ベツレヘムには隠れた名シンガーの作品が少なくない。カーがレーベルで残したデビュー作(10インチ盤)に続くのが、1955年に吹き込まれたこの2作目。レコーディングをするにあたり、彼女は選曲からメンバー選びまで任されたという。それだけに、自信を持って歌っていることがスピーカーからも伝ってくるような内容である。ドラムレスにしているのもアイディアで、それによって情感豊かなヴォーカルが一層の魅力を放つ。

17.『ボビー・トゥループ/シングス・ジョニー・ンマーサー』(19)E

★弾き語りの名手が真価を発揮した
 軽妙洒脱なヴォーカルで一世を風靡したトゥループの最高傑作。ソフィスティケートされた男性ジャズ・シンガーの最高峰がスモール・コンボをバックに丁丁発止とした歌唱の数々を聴かせてくれる。しかもロマンティックな表現にかけても抜群の才能を示す。この作品では芸達者なトゥループが持てる力を発揮して、素晴らしい歌唱力を披露する。ウエスト・コースト・ジャズを代表するミュージシャンが務めるバックもご機嫌。

18.『レッド・ミッチェル/ジャム・フォー・ユア・ブレッド』(38)D

★名手ミッチェルよりホーズのプレイに注目
 ミッチェルがベツレヘムの残したトリオとクインテットによる演奏を収録。ファンが注目するのはハンプトン・ホーズとチャック・トンプソンで構成されたトリオによる4曲だろう。実態はホーズ・トリオによる演奏で、初期のホーズがいかに素晴らしかったかをいまに伝えるものになった。残り5曲もこのトリオに2ホーンを加えた同日録音の演奏で、こちらでもホーズはソロにバッキングにと張り切ったところを示す。

19.『ローランド・カーク/サード・ディメンジョン』(6064)C

★超絶技巧が心地よいデビュー作
 変人・奇人の部類に入れられがちカークだが、超絶的なテクニックとユニークな音楽性は、ジャズ界きっての才人として評価されてしかるべきもの。同時に3本のホーンを吹いてしまう奇抜な奏法や、盲目ゆえの一風変わった振る舞いなどが災いしたのだろう。しかし彼の音楽は驚くほどハート・ウォームで、しかも切ない。メランコリックな響きもこのひとならではの味わいだ。そのことを改めて強く感じさせる野心的なデビュー作。



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