ジャズ名盤講座第6回「プレスティッジ」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 10月 12日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座



All About Prestige(ビギナー向け講座)



1.ビギナー向け講座

 ボブ・ワインストックがニュー・ジャズ(直後にプレスティッジと名義変更された)を設立したのは1949年のことだ。この時点で彼ははたちに過ぎなかった。しかしそれ以前からワインストックは父親の影響もあって、熱心なレコード・コレクターであり、それが嵩じて1945年からレコードの通販事業を始め、1948年にはマンハッタンの西47丁目で「ジャズ・レコード・センター」なるレコード店をオープンするまでになっていた。

 そのワインストックがレコード会社を興したのはケニー・クラークと知り合ったことによる。クラークは仕事でジャズ・クラブに向かう途中、いつも「ジャズ・レコード・センター」の前を通っていた。そんなある日、彼が店に入ってきて、外に設置したスピーカーから流れている音楽に対しお礼をいったのである。

「いつもいい音楽(ジャズ)を流してくれてありがとう」

 このひとことがきっかけで、ふたりは親しい友人になる。そしてそれがきっかっけで、クラークは多くのミュージシャンをワインストックに紹介するようになった。レーベルを興す気持ちになった一番大きな理由がこれである。そしてこの時期、もうひとりの重要な人物と彼は出会っている。ダイアル・レコードのロス・ラッセルだ。そのことについては、ワインストックのこんなコメントがある。

「わたしはダイアルが出したバード(チャーリー・パーカー)のレコードを、自分でも驚くほど多く売っていた。それでロス・ラッセルと親しくなったんだ。当時の彼はダイアルを閉鎖しようと考えていた。わたしはロスに、自分のレコード会社を始めたいと話していた。バードとディジーに関してはRCAが押さえていたので、彼らをレコーディングすることはできない。しかしマイルス・デイヴィスとリー・コニッツなら将来のバードとディジーになるかもしれない。それをさらに発展させようと、わたしはこのふたりにスタン・ゲッツも加えてみることにした。コニッツにアイディアを話したところ、レコーディングすることに同意してくれたんだ。わたしたちは準備を整え、最後の最後にレニー・トリスターノも起用することに決めた」

 こうしてワインストックは自身のレーベルをスタートさせたのである。マイルスはキャピトルとの契約が切れたところだった。ところが『クールの誕生』はあの時点で一般に受け入れられておらず、そのせいかどうかわからないが、彼はシーンから姿を消していた。誰もマイルスがどこにいるのかを知らない。そこでワインストックはシカゴの知人にマイルスを探してもらう。

 イースト・セントルイスの実家にマイルスが戻っていたと知るのは、プレスティッジ(ニュー・ジャズ)がスタートした直後のことだった。ワインストックは郵送で契約書を送り、サインされた書類が戻ってくると、今度はニューヨークまでの旅費を送金したという。

 マイルスがプレスティッジでレコーディングを始めるのは1951年からだ。そしてこのころから吹き込みの量が増えたプレスティッジで、ワインストックの仕事を手伝い始めたのが評論家のアイラ・ギトラーである。ソニー・ロリンズはその彼が初期に手掛けたアーティストのひとりだ。

「ボブはいつでもプレス(レスター・ヤング)とバードを自分のレーベルで録音したがっていた。その結果、プレスに関しては夢がかなわなかったけれど、偽名ながらバードはレコーディングすることができた。チャーリー・チャンという名前を使ったんだ」

 ギトラーの言葉である。そのレコーディングとは、マイルスが1953年に録音した『コレクターズ・アイテム』のことだ。

 もうひとり、この時期のワインストックにとって重要なアーティストがセロニアス・モンクである。ワインストックがモダン・ジャズに興味を持つきっかけを作った人物がモンクだった。それというのも、レコード店を経営していた当時、彼はブルーノートのレコードも数多く扱っていた。ブルーノートのオーナーであるアルフレッド・ライオンから直接仕入れていたのである。

「ある日、アルフレッドが自分の作った最初のモンクのSP盤を持ってきた。わたしは彼の判断を信頼していたから、もし彼が何かあるといえば、わたしはその言葉を信じることにしていた。とにかくモンクには魅了されてしまった。それで、彼が契約できる状況になったと知ってすぐにサインした。しかしレコードはまったく売れなかった」

 モンクがプレスティッジでレコーディングするようになったのは1952年のことだ。まだレーベルは黎明期にあった。ビジネスとしても、基盤はあやふやなもので、いつ潰れてもおかしくない状態だった。しかし、このころからイースト・コーストではジャズがブームを迎えるようになってくる。マイルスが中心になって始めたハード・バップに脚光が集まるようになってきたからだ。



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