ジャズ名盤講座第12回「コロムビア/CBS/エピック編パート1(1917-1959)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 11月 23日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

All About Columbia/CBS/Epic(マスター向け講座)




2.マスター向け講座

 コロムビアはジャズのほかにもクラシックのフィラデルフィア管弦楽団やブタペスト弦楽四重奏団などを専属に迎え、第二次世界大戦を挟んでメジャー・レーベルとしての地位を堅固なものにしていく。当時の3大メジャー・レーベルは、コロムビア、RCA(ビクター)、それにデッカである。中でもコロムビアは史上初のジャズ・レコーディングを実現させたレーベルの自負もあり、ジャズ録音に力を入れていた。

 ルイ・アームストロング、ベッシー・スミス、ビックス・バイダーベック、デューク・エリントン、ベニー・グッドマン、ビリー・ホリデイなど、スモール・コンボからオーケストラ、そしてヴォーカルまで、若手から大御所までをずらりと揃えたラインアップは壮観というほかない。

 一方で、コロムビアは長時間の演奏が収録可能なLP盤を初めて商品化したレコード会社としても業界に名を残している。発売に踏み切ったのは1948年だが、ジャズで最初にLP企画としてレコーディングされたのはエリントンの『マスター・ピーシズ・バイ・エリントン』で、これは1950年12月19日に録音されている。

 1953年にコロムビアは新レーベルのエピックを設立する。当初、こちらはジャズでもスタイルの古いニューオリンズ・ジャズやスイング・ジャズのレコーディング、さらには再発中心のカタログで構成されていた。リアルタイムで進行しているモダン・ジャズや現役バリバリの大御所の作品を中心にしたコロムビアとはこれで色分けされていたが、ときの経過と共にそのあたりの区分があいまいになってくる。

 エピックには、コロムビアのサブ・レーベル的な性質も与えられていた。クラシックではベルリン・フィルハーモニー楽団をはじめ、ジュリアード弦楽四重奏団、アンタル・ドラティ指揮のハーグ・フィルハーモニー、ジョージ・セル指揮のクリーヴランド・フィルハーモニーなどと契約したし、1960年代になるとロック、ポップス、リズム&ブルース、カントリー・ミュージックのレーベルとして、ボビー・ヴィントン、デイヴ・クラーク・ファイヴ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ドノヴァンなど、多岐にわたるアーティストを擁し、一時はポピュラー部門で親会社のコロムビアに迫る勢いがあった。

 話を戻せば、1950年代前半までのコロムビアは、どちらかといえばすでに評価の定まったアーティストを起用するのがジャズ部門の慣わしになっていた。それゆえ、いわゆるビバップ以降のモダン・ジャズに対しては手薄の印象が拭えない。しかし1950年代後半に入ってからの動きには目を見張らされる。

 きっかけは、1955年にマイルス・デイヴィスと契約したことだ。1946年から同社でジャズ部門の主任プロデューサーとして働いていたジョージ・アヴァキャンが、1955年に開催された「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル」でマイルスの演奏を聴き、その足で楽屋を訪ねて契約の話を持ち出したエピソードは、多くのひとがご存知だろう。

 そのアヴァキャンの出世作は1954年に録音したデイヴ・ブルーベック・カルテットによる『ジャズ・ゴーズ・トゥ・カレッジ』だ。キャンパスで絶大な人気を誇っていたブルーベックに目をつけたところが、白人エリート層に属していたアヴァキャンと、そちらを重要なマーケットと考えていたコロムビアらしい。それはともかく、この作品は当時のジャズ史上で最高の売り上げを記録したという。以後のブルーベックは1959年の「テイク・ファイヴ」でも空前のヒットを飛ばすなど、レーベルのドル箱に成長していく。

 そのブルーベック以上に人気を呼ぶことになったのがマイルス・デイヴィスだ。当初、私生活面での悪評を耳にしていたコロムビアの上層部は、マイルスとの契約に渋い顔をしていた。しかしブルーベックのヒットで実績を作ったアヴァキャンの説得に最後は折れ、かなりの好条件で彼が同社に迎えられる。そして発表した1作目の『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』がこれまたベストセラーを記録したのである。

 この時期は、エピックもジャズのレコーディングに積極的だった。『ホレス・シルヴァー/シルヴァーッズ・ブルー』、『レイ・ブライアント・トリオ』、『フィル・ウッズ&ジーン・クイル/フィル・トークス・ウィズ・クイル』あたりが1950年代後半の代表作か。一方のコロムビアでは、『エロール・ガーナー/コンサート・バイ・ザ・シー』、『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/ハード・バップ』、『ドナルド・バード&ジジ・グライス/ジャズ・ラブ』、『ジェリー・マリガン/ホワット・イズ・ゼア・トゥ・セイ』などが、ブルーベックやマイルスの作品と共にジャズ・レコードの名盤として、永遠のベストセラーを誇っている。





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