ジャズ名盤講座第12回「コロムビア/CBS/エピック編パート1(1917-1959)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 11月 23日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Columbia/CBS/Epicの魅力を味わう名盤38選



2.マスター向け9選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ベッシー・スミス/ザ・コンプリート・レコーディングス Vol.2』E


★《ブルースの皇后》による名唱を集大成
 本格的なジャズ・シンガーが登場してくる以前にジャズ的なヴォーカルを聴かせていた第一人者がベッシー・スミスである。彼女は1923年から31年にかけてOkehレーベルで160曲の録音を残している。それらはCD時代に入って2枚組のCDボックスで全5巻に集大成された。とりわけスミスがシンガーとして表現力や歌唱力に長けていたのが、この第2集に収録されている1924年から25年にかけてだった。それらの全貌がここで聴ける。

2.『チュー・ベリー/チュー』B

★ベリーの魅力を1枚の作品に凝縮
 コールマン・ホーキンスで代表される逞しいブローを受け継いだのがチュー・ベリー。男性的で豪快なブローは、その後のソニー・ロリンズに受け継がれている。そのベリーが1937年に残したリーダー録音とエディ・ウィルソンのブランズウィック・セッションに参加した1曲、さらにはキャブ・キャロウェイ・オーケストラで吹き込んだトラックを纏めてアルバム化したのがこの作品。これ1枚でベリーの魅力がよくわかる。

3.『レックス・スチュワートほか/ザ・デュークス・メン』B

★エリントン楽団のスターがコンボで競演
 1936年から39年にかけて吹き込まれた演奏をコンパイルした1枚。タイトルからもわかるように、デューク・エリントン・オーケストラから精鋭を集めてレコーディングされている。当時のオーケストラにはスター級のプレイヤーが多数集まっていた。レックス・スチュワート、バーニー・ビガード、ジョニー・ホッジス、そしてクーティ・ウィリアムス。それぞれにエリント楽団のメンバーでコンボを結成させているところが面白い。

4.『ボビー・ハケット/ハケット・ホーン』E

★趣味のいいコルネット・プレイが味わえる
 ボビー・ハケットはスイング時代に趣味のいいプレイで人気を爆発させたコルネット奏者。1938年から40年にかけてレコーディングされた演奏がここには収められている。スイング・ジャズは全盛を極めていたが、一方でビバップにつながる新しいジャズも一部のミュージシャンが演奏するようになっていた。典型的なスイング・ジャズを演奏するハケットのプレイからもそれだけにとどまらないなにかが認められるのは、時代の流れゆえか。

5.『カウント・ベイシー/ベイシーズ・バック・イン・タウン』B
★充実のオーケストラ・サウンドが魅力
 カウント・ベイシー楽団の黄金時代はレスター・ヤングが加わっていた1930年代後半である。この作品は、彼が抜けた直後の1941年に吹き込まれた演奏を集めたもの。レスターに代わって参加してきたのは、これまた彼同様にスイング・モダン派の名手ドン・バイアスだった。ソロイストとしては一段劣るものの、バンドが一丸となってスイングするくだりは以前にも増して強力かつ魅力的なものになった。この時期は編曲も素晴らしい。

6.『サラ・ヴォーン/イン・ハイ・ファイ』B

★若き日のマイルスも参加
 サラ・ヴォーンが名声を確立しつつあった時期の1949年から52年かけて残した録音を纏めた1枚。さまざまな編成によるいくつかのセッションを集めている中で、ファンが注目するのはマイルス・デイヴィスが参加した1950年の吹き込みだ。ただし、6曲中でソロが聴けるのは2曲だけ。それ以外の2曲でもオブリガートはつけているものの、いずれも聴くべき内容でないことをお断りしておこう。ここで聴くべきはやはりサラの名唱だ。

7.『チャーリー・パーカー/ワン・ナイト・イン・バードランド』D

★貴重なエアー・チェックをアルバム化
 チャーリー・パーカーを中心に、バド・パウエル、ファッツ・ナヴァロ、トミー・ポッター、アート・ブレイキーなど、きら星のようなビバップのスターたちが集まった、1950年6月30日のニューヨークは「バードランド」におけるライヴ演奏を収録。アルバムを作るための録音ではなく、ラジオ中継のエアー・チェックを音源にしているため、音質はかなり貧弱。それでもビバップの名手たちが繰り広げる演奏はスリリングこの上ない。

8.『アーマッド・ジャマル/ザ・ピアノ・シーン・オブ・アーマッド・ジャマル』E

★マイルスに影響を与えたピアニスト
 アーマッド・ジャマルがエピックに残した唯一の作品で、1952年と55年の録音を収録。これが彼にとっての記念すべき初リーダー作である。当時、マイルス・デイヴィスはジャマルのプレイをヒントにレパートリーを考えていた。この作品に収められた「アーマッズ・ブルース」「ビリー・ボーイ」「ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン」「ギャル・イン・キャリコ」がそれだ。ジャマルの間を生かしたプレイ。それがマイルスに通じている。

9.『ルイ・アームストロング/プレイズ・W.C. ハンディ』B

★《ブルースの父》に捧げた名盤
 「セントルイス・ブルース」の作者として知られるW.C. ハンディは《ブルースの父》と呼ばれた名作曲家。ルイ・アームストロングにとっても彼の作品が重要なレパートリーを構成していた。そこでハンディの曲にスポットを当てて吹き込まれたのがこの作品。当時のアームストロングはデッカ専属だった。その彼を貸し出し、リーダー作までレコーディングさせたのだからデッカも太っ腹だ。情感豊かなプレイと歌が素晴らしい。

10.『デイヴ・ブルーベック/ジャズ・ゴーズ・トゥ・カレッジ』E

★ここからブルーベックがスターの道を進む
 デイヴ・ブルーベックの名前を一躍全国区にしたのがこの作品。盟友のポール・デスモンドを迎えたカルテットが「A列車で行こう」や「アイ・ウォント・トゥ・ビー・ハッピー」といった曲を独特のスインギーなプレイに乗せて演じていく。いかにも白人らしい瀟洒なタッチのブルーベックと高音部の伸びが美しいアルト・サックスを吹くデスモンド。この名コンビはどんな曲を演奏しても自分たちのサウンドにしていた。それが実感できる。

11.『デューク・エリントン/アット・ニューポート』B

★歴史的なロング・ソロを収録
 この作品がジャズ・ファンの間で高い評判を得ているのは、一にも二にもポール・ゴンザルヴェスが27コーラスにおよぶソロを繰り広げた「ディミニュエンド・アンド・クレッシェンド・イン・ブルー」に尽きる。当初はこんなに長いソロは予定されていなかった。しかしゴンザルヴェスは演奏しているうちに無我の境地に達し、即興演奏の極地ともいえるロング・ソロを繰り広げた。バンドが一糸乱れぬ演奏で彼に追随している姿も見事だ。

12.『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ/ハード・バップ』B

★溌剌としたハード・バップが楽しめる
 ジャズ・メッセンジャーズは1956年にアート・ブレイキーを残し、ホレス・シルヴァー以下のメンバーが退団してしまう。そこでブレイキーはジャッキー・マクリーンやビル・ハードマンたちを集めてグループを再編する。その新生メッセンジャーズによる最初の作品。当時のメッセンジャーズ・サウンドがどのようなものだったかをタイトルが象徴的に告げている。新人たちの張り切ったプレイにブレイキーの痛快なドラミングが重なる。

13.『フィル・ウッズ&ジーン・クイル/フィル・トークス・ウィズ・クイル』E

★オリジナルは幻の名盤として有名
 ジーン・クイルは知名度こそ低いものの、フィル・ウッズと同様に白人アルト・サックス奏者でチャーリー・パーカー派の俊英。似たもの同士によるバトル作品だが、タイトルが象徴しているごとく、激しいソロの応酬より会話をしているようなインタープレイが素晴らしい。テクニシャンにして表現力抜群のふたりである。ジャズ・オリジナルを中心に、パーカーのプレイを一層モダンにした両者が丁々発止としたソロを繰り広げる。

14.『マイルス・デイヴィス/マイルス・アヘッド』B

★マイルスとギルが久々に邂逅した
 マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンスの共演は1948年に「バードランド」で行なわれた9重奏団のライヴが最初だった。そのグループのレコーディングが1950年に終わってからは、交流はあったものの共演は途絶えていた。その両者が、今度はギルのオーケストラにマイルスがソロイストで加わる形での共演を実現させる。ギルの幻想的な響きを有するオーケストレーションからは早くもモード・ジャズの片鱗が認められて興味深い。

15.『V.A./サウンド・オブ・ジャズ』D

★往年のスターを集めた企画盤
 ジャズ・ファンの間で有名な同名のテレビ番組とほぼ同じメンバーによって、番組収録の数日前にスタジオでレコーディングされた作品。レスター・ヤングをはじめ全盛期のカウント・ベイシー・オーケストラのメンバーを中心にきら星のようなスターが結集している。とくに貴重なセッションとなったのがレスターとビリー・ホリデイのふたりが久々に再会した「ファイン・アンド・メロー」。その他のトラックもすべて歴史的価値が高い。

16.『マイルス・デイヴィス/マイルストーンズ』B

★モード・ジャズの萌芽を記録
 マイルス・デイヴィスがクインテットにキャノンボール・アダレイを加え、セクステットに拡大して吹き込んだ1作目。全曲ではないが、タイトル曲他ではモード・イディオムを用いた典型的な演奏が聴ける。ただし、ジョン・コルトレーンはそれなりに演奏しているものの、キャノンボールやレッド・ガーランドのプレイにはとまどいが認められる。それだけに完成度の点ではいまいちだが、それを上回っているのがマイルスの創造性だ。

17.『ビリー・ホリデイ/レディ・イン・サテン』A

★歌うことの執念が感動を生み出した
 ビリー・ホリデイの晩年はさまざまな意味で悲惨だった。その中で最後の気力を振り絞って吹き込んだのがこの作品。声は出ないし、音程も正確とはいえない。それでも感動が胸に迫る。心を込めて思いのたけを歌いあげる。そこには技術を超えた本物の歌心が認められる。彼女の歌には自分の人生が反映されている。紆余曲折した生涯の果てに獲得した表現力。ここにはそのすべてが網羅されている。そして、それが強い感動を生み出した。

18.『チャールス・ミンガス/ミンガス・アー・ウム』E

★フリー・ジャズ以上にフリー・ジャズ
 伝統的なジャズの中で暴れまくったのがチャールス・ミンガスではないだろうか。正面きってのフリー・ジャズこそ演奏しなかったが、自由な発想と奔放なサウンドはフリー・ジャズ以上にフリー・ジャズだった。そのこと改めて実感させてくれるのがビッグ・コンボによるこのアルバム。加えて、ミンガスはこのくらいの編成でオーケストラに匹敵するほどダイナミックなサウンドも現実のものにしていた。ユニークな作・編曲も聴きどころ。

19.『ランバート・ヘンドリックス&ロス/ザ・ホッテスト・ニュー・グループ・イン・ジャズ』C

★驚異的なヴォーカリーズが圧巻
 ヴォーカリーズとは、ジャズの名ソロに歌詞をつけて歌う手法のこと。それを場合によっては三部ハーモニーまで駆使して歌いあげたのがランバート・ヘンドリック&ロス。中心人物はジョン・ヘンドリックスで、彼がソロにつける歌詞の多くも手がけて、このコーラス・グループは次々と素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる。緩急自在に歌われる「モーニン」や抜群のコーラスを示す「サマータイム」など、名曲揃いなのも嬉しい。

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