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ジャズ名盤講座第13回「コロムビア/CBS/エピック編パート2(1960-1979)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 11月 30日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

All About Columbia/CBS/Epic(マスター向け講座)




2.マスター向け講座

★テオ・マセロ・インタビュー
「わたしはプロデューサーと思われているかもしれないが、自分では作・編曲家だと考えている。コロムビアでプロデューサー業をしながら、テレビや映画のための音楽も書いていたからね」

 幼いときから音楽に興味を持っていたテオ・マセロは、1948年にジュリアード音楽院に入って作曲法を学んでいる。

「ジュリアードではクラシックと現代音楽を正式に学んだ。でも、あの学校は好きになれなかった。わたしはポピュラー・ミュージックにも興味があったが、そんなものをジュリアードじゃ認めていなかったからだ」

 ジュリアードに入ってからも、テオはジャズ・クラブ巡りやブロードウェイのミュージカル観劇に夢中だった。

「父親が地元でナイト・クラブを経営していたんで、小さいときからジャズ・ミュージシャンに囲まれて育った。だからクラシックを学んでいても、一方でジャズやポピュラー・ミュージックにも興味を持っていた」

 運命とは面白い。ジュリアード音楽院を卒業したあとのテオは、フリーのサックス奏者として活動し、1955年からアート・ファーマーやチャールス・ミンガスのワークショップで演奏するようになった。コロムビアのA&Rとして雇われるのは、1957年のことだ。マイルスとの関わりは、翌年から始まる。ギル・エヴァンス・オーケストラと共演した『ポーギーとベス』のA&Rを担当したのが最初だ。

「ギルの譜面は複雑で、コロムビアの社員で彼が書いてきたスコアをきちんと理解できるひとがいなかった。そこでジュリアード出のわたしが呼ばれたんだよ」

 これがテオにとっては運命のわかれ道だった。

「マイルスとの仕事はさまざまな面で勉強になった。その間にも作曲活動は続けていて、自作の曲をカーネギー・ホールで発表したこともある」

 その時代から書き溜めてきた作品を、テオは自分が設立したテオ・レコーズから発表している。それらに耳を傾けてみると、ジャズはもちろんのこと、本格的なクラシックや現代音楽、はてはワールド・ミュージックのような民族音楽から触発されたものなど、追求している音楽の幅広さに驚かされる。

「マイルスの音楽を聴いてもらえばわかるが、彼がエレクトリック時代に入ってから演奏するようになったサウンドにはずいぶんわたしのテイストが盛り込まれている」

 テオの話を聞いていると、マイルスは素材であって、それを宝石にまで磨きあげたのが彼、という気持ちになってくる。たしかに『ビッチェズ・ブリュー』以降のマイルスは、テオとの二人三脚で録音を行なっていた。

「マイルスの音楽は毎週のように変化していた。それで時間があれば、それを記録していたんだ。しかし、わたしはその大半を発表しなかった。理由かい? 週刊誌を考えてもらえればわかると思う。新しいニュースがあるのに、古い記事を読むひとはいないじゃないか。マイルスもそれと同じだった。1週間後にスタジオで演奏された音楽は、先週のものより新しくなっていた。それでお蔵入りさせたものが相当ある」

 そんなテオだから、昨今のボックス・セットに対しては憤りを覚えている。

「発表しないほうがいいと考えて倉庫にしまっておいたものまで引っ張り出したきて、発表されてしまった。あれじゃ、マイルスのイメージが壊れてしまう」

 最後のひとことは重要だ。先にも書いたが、テオはマイルスを素材と考え、それを宝石に磨きあげた。彼にいわせれば、マイルス・デイヴィスというキャラクターをプロデュースしたのが自分、ということになる。

「苦心惨憺してマイルスの作品を作ってイメージを定着させた。わたしがプロデュースしたのはマイルスの音楽だけじゃない。マイルスそのものをプロデュースしていたんだよ。それを滅茶苦茶にされてしまった。なんでもかんでも出せばいいってものじゃない」

 ファンとしてはひとつでも多くの未発表演奏が聴きたいが、当事者にとってはアルバムの完成度やアーティストのイメージが大切なこともよくわかる。せっかく丁寧に創りあげた作品をないがしろにされてしまった思いが強いのだろう。そのことを考えると、テオがただのプロデューサーでなかったことも実感できる。しかもテオと話をしていると、プロデューサーではなく、彼もマイルスと同列のところで音楽をクリエイトしていた音楽家の認識を新たにする。

【前回のおさらい】
 1950年代前半までのコロムビアでは、評価の定まったアーティストを起用するのがジャズ部門の慣わしになっていた。ビバップ以降のジャズに対しては手薄の印象が拭えない。しかし1950年代後半に入ってからの動きには目を見張らされる。きっかけはマイルス・デイヴィスとの契約。以後は彼を中心に、デイヴ・ブルーベック、ホレス・シルヴァー、レイ・ブライアントなどの若手を登用し、先端のジャズ・レーベルの地位を確立した。





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