ジャズ名盤講座第13回「コロムビア/CBS/エピック編パート2(1960-1979)」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 11月 30日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Columbia/CBS/Epicの魅力を味わう名盤38選



2.マスター向け9選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『カーティス・フラー/サウス・アメリカン・クッキン』D

★南米ツアー中に吹き込まれた隠れ名盤
 ズート・シムズやトミー・フラナガンと共に南米ツアーをしていたカーティス・フラーが、そのツアー中にレコーディングした作品。フラーはいつものように低音の魅力を発揮してウォームなトロンボーン・プレイを繰り広げる。名作『ブルースエット』(サヴォイ)と同じ編成、しかも同作で共演したフラナガンも参加しているが、全体の印象はかなり違う。そこがシムズの参加の妙で、このコンビネーションも意外な面白さに溢れている。

2.『バド・パウエル/ポートレイト・オブ・セロニアス・モンク』E

★パリ時代にパウエルが残した快作
 この時期のバド・パウエルは好・不調の波が激しかった。大半は指がもつれ、演奏にも纏まりがない。しかし、ときたま神がかり的なプレイを取り戻したかのように閃きに満ちたタッチも聴かせてくれた。この作品でももどかしさは否めない。それでも親友セロニアス・モンクの曲を取りあげたことで、創造のスイッチが入ったのかもしれない。自分のペースではあるが、独特の雰囲気を持つ彼の曲をパウエルならではの表現で綴ってみせる。

3.『デイヴ・ブルーベック/エンジェル・アイズ』E

★ブルーベックによるマット・デニス作品集
 粋なセンスで人気を集めたデイヴ・ブルーベックが、これまた粋なスタンダードをいくつも残したマット・デニスの曲を取りあげる。カルテットで盟友関係にあったポール・デスモンドのアルト・サックスも彼の楽曲には抜群の相性のよさで迫る。独特のタイム感覚で独自のタッチを繰り広げるブルーベックとクリアで美しいサックスのデスモンド。ふたりが織り成すスマートな演奏からは、白人ならではの瀟洒なジャズの極地が堪能できる。

4.『エロール・ガーナー/パリの印象』B

★ガーナー版フレンチ・ジャズ
 スインギーなピアノの名手エロール・ガーナーがフランス生まれの曲やパリにちなんだオリジナルを取りあげた2枚組。スインギーで豪快なタッチの裏にはペーソス溢れるメランコリーな響きが隠されている。彼のそんな持ち味がここでの曲と見事な一体感を示す。饒舌なタッチはいつものとおりだが、そこはかとなく漂う哀愁が強い印象を与える。これはモダン派でありながらスイング派にも通じていたガーナーが真骨頂を示した名盤。

5.『ボブ・ブルックマイヤー/ボブ・ブルックマイヤー・アンド・フレンズ』C

★寡作家ブルックマイヤーによる人気盤
 リーダーのボブ・ブルックマイヤーには申し訳ないが、この作品はハービー・ハンコックとスタン・ゲッツが参加していることでいまも高い人気を誇っている。とはいえ、実際のところはブルックマイヤーのプレイも素晴らしく、内容本位でいっても優れたアルバムといえる。それでもこのふたりが参加していなければ、この名盤はとっくの昔に埋もれていただろう。それにしてもハンコックが示すフレッシュなタッチは魅力的だ。

6.『チャーリー・バード/ブラジリアン・バード』E

★ボサノヴァ・ギターの第一人者が本領を発揮
 スタン・ゲッツと組んだ『ジャズ・サンバ』(ヴァーヴ)でボサノヴァ・ギターの第一人者との評価を得たチャーリー・バードが魅力を存分に発揮する。ボブ・ニューサム編曲・指揮のオーケストラをバックに、ボサノヴァの定番曲を取りあげたこの作品で、バードがアコースティック・ギターのナチュラルな響きを用いてメロディアスかつリズミックに心地のよい演奏を繰り広げる。これぞイージー・リスニング・ジャズの究極形だ。

7.『ポール・ウィンター/リオ』D

★クラブ系ジャズとしても人気が高い
 ジョン・ハモンドに認められてコロムビアと契約したポール・ウィンターが、ブラジルの精鋭ミュージシャンと組んで持ち前の美しいアルト・プレイを披露する。ルイス・ボンファまで加わった演奏は、ボサノヴァでありながらジャズとしても優れた内容を示す。しかも聴きやすいサウンドになっているところが素晴らしい。発売された当初はほとんど話題を呼ばなかったが、いまではクラブ系ジャズ・ファンのマスト・アイテムになっている。

8.『デニー・ザイトリン/ライヴ・アット・トライデント』D

★知性派ピアニストによる優れた1枚
 精神科医師でもあったデニー・ザイトリンがコロムビアに残した3作目。ビル・エヴァンスから触発され、そこにフリー・ジャズの手法も取り入れた演奏がひところは大きな話題を呼んだ。その後は第一線から退き医師としての活動をメインにするようになったが、この演奏を聴けばどれだけの逸材をジャズ界が失ったか、その大きさが実感できる。内省的でリリシズムに溢れたタッチと表現は、エヴァンスの後継者と呼ぶに相応しい。

9.『オーネット・コールマン/チャパカ組曲』A

★3年の沈黙を破った意欲作
 1962年にオーネット・コールマンは音楽業界のしがらみから離れるため、公式の演奏活動を中止した。その間に彼は次なる構想練り、練習に明け暮れていた。その成果を、ストリング・セクションまで起用したグループでいっきに吐き出したのがこの2枚組。組曲形式になっているが、もともとは映画音楽として書かれたもの。ただし内容があまりに先鋭的だったことから、そちらには使われずに終わったというエピソードも残されている。

10.『セロニアス・モンク/モンクス・ドリーム』E

★オリジナルとスタンダードで個性を発揮
 セロニアス・モンクはデューク・エリントンと同じで、自作の曲を何度もレコーディングしたことで知られている。独特のタッチと不協和音を大胆に駆使したフレーズが特徴である。それをもっとも好ましい形で示してみせたのがタイトル曲の再演ヴァージョン。15年前にプレスティッジで録音した演奏と聴き比べてみれば、この間にモンクがその個性をさらなる形で発展させてきたことがよくわかる。これは、その他も名演揃いの1枚だ。

11.『マイルス・デイヴィス/ネフェルティティ』A

★マイルスが音楽性をメンバーに委ねた
 マイルス・デイヴィスのクインテットが絶頂期にあった時期の作品。興味深いのは、すべてがメンバーによって書かれた曲で纏められていること。この時点で、マイルスはプレイヤーとしての自分に集中していた。それはとりもなおさず、メンバーの音楽性に全幅の信頼を寄せていたことの証だ。そして、メンバーもその期待に見事応えている。いかにもマイルスが書きそうなウエイン・ショーター作のタイトル曲がそのことを物語っている。

12.『ビル・エヴァンス/ザ・ビル・エヴァンス・アルバム』D

★エヴァンスの新しい魅力が満載
 コロムビアに移籍したビル・エヴァンスによる1作目。注目は「ワルツ・フォー・デビー」でエレクトリック・ピアノを弾いていることだが、これはあまり成功したとはいえない。その後はほとんどこの楽器を手にしなかったことから、彼も納得がいかなかったのだろう。しかしこの作品では12音階の曲(「T.T.T.」)をいかにスイングさせるかといった試みもしているし、メジャー・レーベルに移って気分一新している姿が窺われる。

13.『チャールス・ミンガス/レット・マイ・チルドレン・ヒア・ミュージック』D


★ミンガスの個性が大編成の中で光る
 チャールス・ミンガスはベーシストとして素晴らしかっただけでなく、独創的な音楽性によってジャズの歴史に名前を残した人物。これは、その彼がサイ・コールマンのアレンジなどを得て完成させた作品である。ミンガスの音楽に漲る強力なエネルギーにはいつも圧倒される。それがこの作品ではこれまでにない強大なものになっていた。斬新な音楽性はコンボで演奏されたときも魅力的だが、このオーケストラ作品でも格別の輝きを放つ。

14.『ジョージ・ラッセル/リヴィング・タイム』E

★エヴァンスが主役のオーケストラ作品
 ギル・エヴァンスと並んでジャズ界きっての理論派アレンジャーであるジョージ・ラッセルが、ビル・エヴァンスをメインのソロイストに迎えて完成させた野心的オーケストラ作品。クラシックにも造詣の深いラッセルとエヴァンスの組み合わせは、1950年代のラッセル作品でも素晴らしい成果をあげていた。そのときの体験を踏まえての本作では、さらなる音楽性の拡大も認められ、ジャズの可能性がさまざまな形で追求されている。

15.『マイルス・デイヴィス/アガルタ』A

★活動休止前に大阪で残した壮絶なライヴ
 この時期のマイルス・デイヴィスはスタジオ録音を編集した形で作品として発表するようになっていた。しかし同じ日に録音された『パンゲア』(ソニー)とこの作品は、演奏面にいっさいの手を加えずコンサートどおりの内容で発表された。驚くべきはマイルス・グループが放出する強大なエネルギーだ。それによってグループの演奏は繊細なパートからダイナミックなパートまで変幻自在な展開を示す。混沌から生み出される調和が見事。

16.『スタン・ゲッツ/ザ・ピーコックス』C

★実はロウルズが主役
 この作品はほのぼのとしていていい。スタン・ゲッツの名義と思われがちだが、実質的な主役はピアニストのジミー・ロウルズ。ゲッツは脇役的な形でフィーチャーされている。とくに名曲の呼び声が高いタイトル曲での飄々としたプレイはロウルズの真骨頂を伝えるものだ。クール派テナーの代名詞みたいなゲッツも、彼との共演では不思議なほどウォームな響きに満ちたプレイを聴かせる。円熟の味わいいっぱいの心あたたまるアルバム。

17.『アル・ディメオラ/エレガント・ジプシー』D

★ディメオラの原点が記された名作
 チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァー参加で注目されたギタリスト、アル・ディメオラの2作目。注目はフラメンコ・ギターの重鎮パコ・デルシアとの共演である。チック同様、ディメオラもスパニッシュ・ミュージックに触発された部分が大きい。その方向性がパコとの共演によっていっそう鮮明なものになった。そのほかの曲でもスペイン音楽とジャズの融合が自然な形で図られることで、超絶技巧の持ち味が発揮されている。

18.『ハービー・ハンコック&チック・コリア/イン・コンサート』C

★アコースティック・ブームの再来を予感
 フュージョン・シーンで人気者のふたりがアコースティック・ピアノ2台だけでツアーを行ったのは1978年のこと。そのときのライヴは2種類が残されており、もう1枚はチック・コリアが契約していたポリドールから発表された。どちらもふたりのオリジナルを中心にスタンダードも取りあげ、丁々発止としたやり取りがスリリングな展開を示す。ハービー・ハンコックの「処女航海」やチックの「ラ・フィエスタ」などが聴きもの。

19.『トニー・ウィリアムス/ジョイ・オブ・フライング』D

★セシル・テイラーまで参加した力作
 トップ・ドラマーのトニー・ウィリアムスがレギュラー・グループから離れ、さまざまなゲストと思う存分プレイした1枚。とりわけフリー・ジャズのセシル・テイラーと繰り広げるデュオが壮絶である。フュージョン時代に、そこから離れてウィリアムスがなんでもありの大冒険をしてみせたのがこの作品。そのほかにも、ハービー・ハンコック、デヴィッド・サンボーン、ジョージ・ベンソンなどがゲスト参加して個性的なプレイを示す。

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