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ジャズ名盤講座第15回「アーゴ/カデット編」ビギナー向け19選!マスター向け19選!

2018年 12月 14日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座



All About Argo/Cadet



1.ビギナー向け講座

 ニューヨークほどではないが、シカゴもジャズの街として1950年代から60年代に栄華を極めた。ジャズが盛んになるにはいくつかの条件がある。ミュージシャンの充実と演奏の場があることだ。このふたつのバランスがよくなければ、その街でジャズは栄えない。ニューヨークが最良の例だが、ロサンジェルスもこの時代はジャズがおおいに盛りあがっていた。それも優れたミュージシャンが多数輩出されたり集まったりした上で、ジャズ・クラブや地元のレコード会社が彼らを積極的に起用したからである。

 シカゴも優れたミュージシャンの宝庫だった。サウスサイドを中心に多くのジャズ・クラブが1950年代になるとオープンしてきたし、それに合わせるようにアーゴ・レーベルが誕生した。やや遅れて設立されたヴィー・ジェイとこのアーゴがシカゴのジャズを牽引した2大ジャズ・レーベルといっていい。

 ところで、シカゴはジャズ以上にブルースが盛んな街として知られてきた。アーゴにブルージーな響きのする作品が多いのも、それと無縁でない。このレーベルは1957年に設立されたため、モダン・ジャズ以降のスタイルが中心になっている。しかし、《シカゴ派》という言葉があるように、スイング・ジャズの時代からシカゴではジャズが盛んに演奏され、優れたミュージシャンが輩出され、去来してきた。

 簡単に歴史を紐解くなら、ニューオリンズで誕生したジャズは、やがてその街から多くのミュージシャンが演奏の場を求めてシカゴに移ってくる。立役者はルイ・アームストロングだ。彼はその後に一時ニューヨークで活躍するが、1920年代中盤にはシカゴに戻ってホット・ファイヴやホット・セヴンを結成し、絶頂期を迎える。その後も、アール・ハインズ、ベニー・グッドマン、エディ・コンドン、あるいはブルース系のブラインド・レモン・ジェファーソン、ビッグ・ビル・ブルーンジィ、マミー・スミスたちの活躍によって、シカゴは音楽の街として多くのひとたちから認められていく。

 そんな背景を持つシカゴで、アーゴは1957年に最高のブルース・レーベル=チェス・プロデューシング・コーポレーションのジャズ部門として設立される。ジャズ・ファンの間では、チェスや傍系のチェッカーよりアーゴのほうが断然有名だが、音楽業界ではアーゴより、マディ・ウォーターズ、チャック・ベリー、ジョン・リーフッカーなどを抱えていた親会社のチェスのほうがはるかに知名度が高い。

 チェスのオーナーはポーランド系の移民であるレオナードとフィルのチェス兄弟。彼らは1940年代から酒類の販売や「ザ・マコンボ」などのナイトクラブ経営で成功を収め、その過程でミュージシャンや音楽業界のひとたちと知己を得るようになった。それもあって、1947年にAristcratレーベルを創立し、ジーン・アモンズを含むジャズ、あるいは当時はやり始めていたジャンプ系の音楽、そして地元で盛んに演奏されたり歌われたりしていたブルースのレコーディングに手を染める。

 チェスが本格的に活動を開始したのは1950年のことで、53年にはR&Bやスピリチュアルを中心に制作するチェッカーをスタートさせる。そして1957年にアーゴを興したのだった(レコーディングを始めたしたのは前年のこと)。プロデューサーにはデイヴ・アッシャー、『ダウンビート』誌の編集者ジャック・トレイシー、『メトロノーム』誌のジョー・シーガルたちが迎えられ、設立直後から地元の人気ピアニストであるアーマッド・ジャマルのトリオを積極的に録音するなどしてヒット作品を連発していく。

 1950年代のアーゴは、原則としてシカゴでの録音が中心で、地元のミュージシャンやシカゴにやってくるツアー中の著名ミュージシャンの作品を制作している。注目すべきは、それまでまったく無名だったシカゴ在住のミュージシャンにスポットライトを当てたことだ。アーマッド・ジャマル、ラムゼイ・ルイス、ジョニー・グリフィン、バリー・ハリスなどが代表格だろうか。後者では、ソニー・スティット、ズート・シムズ、マックス・ローチなど、こちらも魅力的なアーティストによる作品がずらりと並ぶ。

 アーティストの顔ぶれもさることながら、アーゴの魅力はブルースの街という特質が作用したのか、いずれの作品からも豊かなブルース・フィーリングが味わえることだ。同じようなミュージシャンや似たような傾向の作品を作っても、そこがブルーノートやプレスティッジのようなニューヨークの既存レーベルで認められる作品との大きな違いである。1970年代末まで存続したアーゴにはアーゴ特有の音楽性が息づいていた。それこそが、シカゴならではの土壌を反映させたジャズにほかならない。




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