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ジャズ名盤講座第20回「ワーナー・ブラザーズ編」

2019年 1月 18日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座



All About Warner Bros.



1.ビギナー向け講座

 CBSコロムビア(現在のソニー)、RCA(同BMG)、キャピトル(同EMIミュージック)、デッカなどとメジャー・レーベルの一角を担うワーナー・ブラザーズ・レコードだが、創立はこれらの中で一番新しい。ワーナー・ブラザーズ映画の子会社として同社が設立されたのは1958年のことである。ワーナー・ブラザーズは、アメリカ・ハリウッドの映画会社・映画スタジオのひとつで、現在はタイム・ワーナーの子会社になっている。したがってこの会社の傘下にある音楽部門がワーナー・ブラザーズ・レコードである。

 19世紀末、ワーナー家はユダヤ系移民労働者としてポーランドからカナダのオンタリオ州ロンドンに移住してくる。8人の兄弟姉妹は父が経営する靴修理屋を手伝いながら成長し、その中から、ハリー、アルバート、サム、ジャックの4人がやがてワーナー・ブラザーズを設立する。

 きっかけはサムが20世紀初頭の映画の黎明期に映写技師になったことだ。彼はやがて兄弟と組んで会社を興し、歌手として頭角を現しつつあったジャックのパフォーマンスつきで映画を上映する興行をスタートさせる。当初はオハイオ州やペンシルヴァニア州といった鉱山地区を巡演していたが、資金が溜まるとペンシルヴァニア州ニュー・キャッスルに劇場をオープン。翌1904年にはピッツバーグで配給会社を設立し、エクスチェンジ業(スタジオ・システム)に進出して収益をあげるようになった。しかし、トラスト(一種の組合)の圧力によって配給網が絶たれ、一度は業界から手を引いている。

 しかしその後もサムは映画産業の一角で活躍し、やがて夢を実現するため再び兄弟を集め、1918年、ハリウッドで映画スタジオを立ちあげる。一方、子供のころから父親の店で経理に才能を発揮していたハリーはニューヨークで資金を調達し、そちらにも配給を行なう会社を設立している。こうしてワーナー・ブラザーズ映画は1923年に会社登記がされたのだった。

 ワーナー・ブラザーズ・レコードも、ひところは本社が「3300 Warner Boulevard, Barbank, Ca」で、別に「3 East 54th Street, New York, NY」にもニューヨーク本社があった。なお、現在のニューヨーク本社は、数年前に近くのコロンバス・サークルにできた新社屋のタイム・ワーナー・ビルに移転している。

 1958年にスタートしたワーナー・ブラザーズ・レコード(以下ワーナー)の初代社長はジム・コリクリングである。もともとワーナーは映画製作会社の一部門として設立された経緯もあって、当初はサウンドトラック盤が多かった。記念すべき第1号作品も『誰が為に鐘は鳴る』のサウンドラック・アルバムである。そのほか、ブロードウェイのショウ関連やポピュラー・シンガーの作品が多く、初期のカタログを飾ったアーティストには、エド・タッキー・バーンズ、タブ・ハンター、コニー・スティーヴンス、ボブ・ニューハート、エヴァリー・ブラザーズなどがいる。その中で最初に獲得したグラミー賞が『ザ・ボタン・ダウン・マインド・オブ・ボブ・ニューハート』で、これは1960年度の新人賞とベスト・コメディアン賞に輝いている。

 ジャズではなかなかヒットが出なかったものの、フランク・シナトラが長年住み慣れたキャピトルを離れ、独立して自身のレーベル、リプリーズをワーナーとの共同出資で設立したことは見逃せない。これも1960年のことで、以後、シナトラを通してジャズ系のファンからもワーナーは注目されるようになっていく。

 リプリーズから出た最初のアルバムは、シナトラの『リンガ・ディング・ディング』で、以後は彼の交流から、トリニ・ロペス、ビング・クロスビー、サミー・デイヴィス・ジュニア、ディーン・マーティン、ジョー・スタッフォード、ダイナ・ショア、ローズマリー・クルーニーらの作品が制作され、またたく間にトップ・ヴォーカル・レーベルとして注目されるようになった。なおワーナーは、1963年にシナトラからリプリーズの株式譲渡を受けたことで、同レーベルを完全に子会社化している。

 この時代にワーナーからアルバムを発表して人気を集めたのが、ジョニー・ソマーズ、ルー・モンテ、ペトゥラ・クラーク、ジミー・デュランテたちで、いずれもジャズ的な表現もできるアーティストということで、レーベルの特色を打ち出していた。一方で、ワーナーはフォーク・ソングやロックにも他社より一歩先を行っていた。フーテナニーで大人気を獲得したピーター・ポール&マリー、ロックではキンクスやジミ・ヘンドリックス、グレイトフル・デッドなどを無名時代から支援していたことで知られている。

 ただしこの時代(1960年代)は残念ながらジャズ作品に見るべきものがあまりない。ファンの間でもっとも有名なものはマーティ・ペイチとポール・デスモンドの作品だが、ワーナーがジャズで本領を発揮するのは1970年代に入ってからだ。




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