ジャズ名盤講座第20回「ワーナー・ブラザーズ編」

2019年 1月 18日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Warner Bros.の魅力を味わう名盤38選



2.マスター向け19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ジョージ・ベンソン/ビッグ・ボス・バンド』B

★ベイシー楽団と夢の競演を実現
 ベンソンとカウント・ベイシー・オーケストラ。まさに夢のような競演盤である。ビッグ・バンドをバックにベンソンがギターに歌に、いぶし銀の魅力を発揮する。ゴージャスなオーケストラ・サウンドに彼のソウルフルな歌声がマッチするし、メロディアスに弾かれるギター・ソロは極上の味わいを醸し出す。大半がヴォーカル・ナンバーだが、ギターに集中した「ベイシーズ・バッグ」の聴き応え満点の演奏も素晴らしい。

2.『ポール・デスモンド/ファースト・プレイス・アゲイン』E

★デスモンド=ホール・カルテットによる名盤
 デイヴ・ブルーベック・カルテットで名をあげたデスモンドは、一方でジム・ホールとのカルテットで独自の活躍もしていた。レコーディングはRCA(現BMG)に残されているが、唯一の例外が1作目となったこの作品。残りのメンバーはモダン・ジャズ・カルテットから借り出したパーシー・ヒースとコニー・ケイで、スタンダードを中心に穏やかな演奏を繰り広げる。落ち着いた響きが極上の雰囲気を演出してみせる。

3.『ジョージ・デューク/ナイト・アフター・ナイト』C

★デュークがそれまでの殻を破り大飛躍
 デュークが3年ぶりに発表した1989年の作品。それだけに、興趣に富んだ印象的なメロディとサウンドが目いっぱいに詰め込まれている。13人のシンガーを集めて吹き込んだ13曲はいずれもフュージョンというよりポップス志向が強調されたもの。しかもそれまでの作品と異なり、キーボード奏者としての魅力にも大きなスポットライトが当てられている。とりわけヴォーカルとインストのグッド・バランスが聴きものだ。

4.『マイルス・デイヴィス/シエスタ』E

★マーカス・ミラーと組んだサウンドトラック
 マイルスは過去に『死刑台のエレヴェーター』や『ジャック・ジョンソン』のサウンドトラックを担当している。その彼が久々に映画音楽を吹き込んだ。それがマーカス・ミラーのプロデュースによるこの作品。『スケッチ・オブ・スペイン』に通じるスパニッシュ・ムードを感じさせる編曲と曲想が興味深い。マイルスはミラーが作りあげたサウンドの中で自由に個性を発揮する。静寂な響きの中にパッションを感じさせるプレイが見事だ。

5.『マイルス・デイヴィス/ドゥ・バップ』B

★最後のスタジオ録音作
 マイルスは1991年9月にこの世を去った。その彼が残した最晩年のスタジオ・レコーディングがこの作品に収められている。プリンスに触発された彼は、ここしばらくファンク的なサウンドに自身のプレイを重ねていた。このときはラッパーのイージー・モビーをプロデューサーに迎え本格的なヒップ・ホップ作品に挑んでいる。最後の最後までマイルスはブラック・ミュージックの最先端にいた。そのことをこの作品は雄弁に語っている。

6.『ビル・エヴァンス/ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』B

★死後に追悼盤として発表された作品
 ワーナーにおける第1回目の録音だが、なぜかお蔵入りしていた1977年の吹き込みで、発売はエヴァンスがこの世を去った1981年のことである。しかしエディ・ゴメスとエリオット・ジグモンドによるトリオ演奏は、未発表のまま残される内容ではない。ここではファンタジーから移籍し、張り切ってピアノに向かうエヴァンスの姿がある。とくにミシェル・ルグラン作の表題曲おける叙情味溢れたプレイは見事としかいいようがない。

7.『ビル・エヴァンス/未知との対話―独白・対話・そして鼎談(ていだん)』E

★ワーナーから発売された最初の作品
 2回目の録音だが、移籍直後に吹き込まれた『ユー・マスト・ビリーヴ・イン・スプリング』がお蔵入りしたため、発売順からいけばこちらの作品が1作目に相当する。これは、かつてヴァーヴ時代に残した『自己との対話』『続・自己との対話』に続く、多重録音を駆使したソロ・アルバムの3作目。ソロ、2重録音、3重録音を駆使して、エヴァンスが自己との対話を繰り広げる。その深遠で孤高の世界は他の追随を許さない。

8.『ケニー・ギャレット/ハッピー・ピープル』

★ギャレットが幅広い音楽性を披露
 アコースティック・サウンドを中心にストレート・アヘッドなジャズを追求してみせたギャレットの作品。そのサウンドをベースに、アジアン・テイストやヒップ・ホップ的な要素を掛け合わせたプレイが新鮮に響く。そしてボビー・ハッチャーソンのヴァイブが、そのヒップ・ホップ的なサウンドをさらに強調してみせる。加えて2曲に参加したジーン・ノリスのヴォーカルもダンス・ミュージック的な色彩を強めるものとなった。

9.『ハービー・ハンコック/ファット・アルバート・ロトゥンダ』D

★マイルス・バンド独立後に残した1作目
 ハンコックがマイルスのグループを去ったのは1968年のこと。その後に吹き込んだ最初の作品である。これは人気コメディアンのビル・コスビーが制作していたテレビ番組の音楽集だけに、ロック調の演奏も含み、聴きやすい内容に特徴がある。それでもアレンジに関心を寄せていた当時のハンコックらしく、ここでも多彩な響きが現出されていく。そしてこのレコーディングが端緒となって、彼は直後にセクステットを結成したのである。

10.『ハービー・ハンコック/クロッシングス』B

★セクステットが残した最高傑作
 ハンコックがワーナーで吹き込んだ最終作だが、セクステットの吹き込みはこの後もコロムビアで継続される。しかしグループの創造性はこの作品が録音された時点でピークに達していた。全米ツアーを行ない、レパートリーの完成度を高めた上でのレコーディングである。ハンコックはフリー・フォームを大胆に流用しながらさまざまな要素を注入させることで独自のサウンドを作りあげた。一体感に溢れたグループ・サウンドも見事。

11.『アル・ジャロウ/ライヴ・イン・ヨーロッパ』B


★ジャロウを聴くならライヴも見逃せない
 即興的なアプローチに長けているジャロウだけに、緻密な打ち合わせを経てスタジオ録音された作品もいいが、ライヴ盤ではそれ以上にありのままの姿が堪能できる。このアルバムは彼が人気・実力を大きく伸ばしていた時期に吹き込まれたもの。「テイク・ファイヴ」の自在なアプローチや「瞳の中のレインボウ」のウォームな響き、そして全編で認められる洒脱なユーモアとインプロヴィゼーション。ジャロウの魅力が詰まっている。

12.『チャカ・カーン/c.k.』E

★1曲だがマイルスとプリンスの共演が実現!
 オーヴァーダブながら唯一正規にマイルスとプリンスが共演したトラックを収録した作品。プリンスが作詞・作曲・プロデュースを担当した「スティッキー・ウィックド」では、マイルスがトランペットとちょっとしたヴォーカルや語りを聴かせる。このアルバムにはもう1曲マイルスが参加した「アイル・ビ・アラウンド」も収録されている。こちらはアレック・ワイルダーが書いたスタンダードをデイヴ・グルーシンがアレンジしたもの。

13.『オリジナル・サウンドトラック/アンダー・ファイア』 F

★メセニーが全面参加した貴重盤
 12曲中8曲にパット・メセニーがフィーチャーされていることからマニアの間でこの作品は以前から評判が高かった。しかも彼がここで弾くのはナイロン弦を張ったアコースティック・ギターのみ。それだけに、いつものメセニーとは少し趣の異なるプレイが味わえる。アドリブと思われるソロもほとんど認められないから、スコアに沿って演奏したのだろう。それでも独特の世界を表現してみせるところに彼とこの作品の高い価値がある。

14.『パット・マルティーノ/ジョイアス・レイク』D

★マルティーノの実力に圧倒される
 ワーナーにおける前作『スターブライト』からわずかなインターヴァルでレコーディングされた同レーベルにおける2作目。前作ではシンセサイザーやパーカッションを多用したが、今回はシンプルな作りの中でマルティーノの超絶技巧が堪能できる。正確無類なピッキングでフレット上を自在に駆け巡る痛快無類なプレイはギター・ファンでなくとも圧倒されるはず。ケンウッド・デナードの強力なドラミングもご機嫌この上ない。

15.『マーカス・ミラー/レニー・ホワイト/バーナード・ライト/ザ・ジャマイカ・ボーイズ』E

★NYを代表する人気者がユニットを結成
 ジャマイカ・ボーイズの1作目。フュージョンの人気者がユニットを組んでご機嫌なフュージョンを繰り広げる。バンド名は3人がニューヨークはクイーンズ地区のジャマイカ出身であることに由来。この3人にリード・ヴォーカルのマーク・スティーヴンスを加えてのパフォーマンスはポップス・シーンでも大好評を博した。国内発売はされなかった模様だが、2作目の『J BOYS』からは「君の友達」のカヴァー・ヒットも生まれた。

16.『マーティ・ペイチ/ブロードウェイ・ビット』B

★踊り子のジャケットが有名
 ジャケ買いをするジャズ・ファンは少なくない。そんなジャケ買いで一番人気の作品がこのアルバム。内容も最高である。ペイチのゴージャスで小粋なアレンジに乗せて絶頂期のアート・ペッパーが素晴らしいソロを繰り広げる。ふたりの相性が抜群なことはこれ以外の作品でも実証済みだが、とりわけここでのコラボレーションには彼らのファンでなくてもニヤリとさせられること請け合いだ。初期ワーナー・ジャズの最高傑作。

17.『ジャコ・パストリアス/インヴィテイション』A

★ジャコが日本で残した傑作ライヴ
 破滅的な人生を歩んだジャコは、死後にさまざまな未発表テープがアルバム化されている。ただし公式録音盤の数は極めて少ない。そのどれもが傑作として知られているが、中でも1982年にワード・オブ・マウスを引き連れて来日した際の模様を収録したこの作品は貴重なライヴとして世界中のファンから喝采を持って迎えられた。天才的なプレイは迫力あるビッグ・バンドと組んでもまったく負けていない。その迫力に脱帽。

18『ウォレス・ルーニー/ミステリオス』

★マイルスの後継者が残した快作
 ミューズを離れ、ワーナーに移籍してウォレスが発表した1作目。目標とするマイルス・デイヴィスを意識しながら、日ごろの自分のステージを再現するようなレパートリーを盛り込み、レギュラー・クインテットの面々(アントワーヌ・ルーニー、ジェリ・アレン、クラレス・シーイー、エリック・アレン)にゲストのラヴィ・コルトレーンを加えたメンバーが中心となったこのアルバムは、ウォレスが理想とするサウンドを追求したもの。

19『ジョー・サンプル/インヴィテイション』E

★ジャズの名曲とオーケストラが合体
 サンプルはジャズ・ピアニストとしても才能に恵まれている。そのことを改めて素晴らしい形で証明してみせたのがこの作品。セシル・マクビー、ヴィクター・ルイス、レニー・カストロのリズム・セクションを得たオーケストラで演奏されるのは、タイトル曲のほか、「ニカの夢」、「ジャンゴ」、「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」といったジャズ・ファンならお馴染みのものばかり。それらが淀みのないタッチで綴られていく。


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