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ジャズ名盤講座第24回「ECM編」

2019年 2月 15日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座



All About ECM



1.ビギナー向け講座

 マンフレッド・アイヒャーが1969年にミュンヘンで設立したECM(Edition of Contemporary Music)は、透明感に溢れた特徴的なサウンドで高い人気を誇っている。自身もベーシストとしてフリー・ジャズを演奏していた経験を持つ彼だけに、このレーベルはさまざまな点で同じドイツ人のアルフレッド・ライオンが設立したブルーノートに通じるものがある。時代も違えば、カタログに並ぶ音楽のスタイルやタイプもまったく違う。しかし、どちらもその時代の最先端に位置するジャズを記録することに心血を注いできた。

 ライオンがブルーノートを去ったのは1967年のことである。そしてそれから2年後にECMが誕生する。まるでライオンの思いを引き継ぐように、アイヒャーは彼と同じ考えを、そのレーベルを通して実践してきた。すなわち、演奏はもとよりサウンドからジャケットにいたるまで強いこだわりを示していることだ。

 透明感に溢れたサウンドは、《ECMサウンド》と呼ばれるほど特徴的だ。ブルーノートも独特のサウンドによってレーベルのイメージを確立している。こちらは名匠ルディ・ヴァン・ゲルダーが多くの作品でエンジニアを務め、以後のジャズ・レコーディングのスタンダードとなる音を作りあげた。《ヴァン・ゲルダー・サウンド》あるいは《ブルーノート・サウンド》と呼ばれる音はモダン・ジャズを見事に体現したものだ。ECMでは《ヨーロッパのヴァン・ゲルダー》と呼ばれるヤン・エリック・コングショウを主任エンジニアにして、ブルーノートとはまったく違うが、これまた誰が聴いてもECMの音とわかる独特のサウンドを育んできた。

 そのECMの記念すべき1作目はマル・ウォルドロンの『フリー・アット・ラスト』である。この作品にアイヒャーの音楽的なテイストが如実に表されている。フリー・フォームであってフリー・フォームではない。伝統と先鋭が折衷された音楽とでもいえばいいだろうか。

 もしこの時点で存命だったら、アイヒャーはエリック・ドルフィーやブッカー・リトルの作品を作っていたに違いない。そんなことを強く思わせてくれたのがマルの作品だった。そして彼のアルバムで示された音楽性が、時代の流れと共に表面的なサウンドやスタイルを変えながらその後のECMの大黒柱になっていく。

 ECMが単なるマイナー・レーベルの存在から一般的なジャズ・ファン、さらにはジャズなど聴かないひとたちにまで知られるレコード会社になったのは1971年にキース・ジャレットのレコーディングをスタートさせてからだ。1作目の『フェイシング・ユー』はソロ・ピアノ集という、どちらかといえば地味な内容に陥りがちなセッティングにもかかわらず、ジャレットの天真爛漫、かつさまざまな音楽性を含有したプレイが多くのひとに支持されたのである。

 この前後に立て続けに発表されたチック・コリア、ポール・ブレイ、スタンリー・カウエルといったピアニストのソロ作品も大きな話題を集め、ECMは1970年代前半に巻き起こるソロ・ピアノ・ブームのイニシアティヴを握るレーベルとしても注目されたのだった。

 彼らの作品もそうだが、この黎明期にはフリー・ジャズに視線を向けた秀作も多数リリースしている。代表的なものにはチック・コリアが短期間結成していたサークルやARCトリオによる作品、あるいはマリオン・ブラウンの『ジョージア・フォーンの午後』などをあげることができる。そして創立されてから3年目には、いまだにベストセラーを続けるチックの『リターン・トゥ・フォーエヴァー』が発売され、これでECMの経営基盤は安定したものになる。





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