ジャズ名盤講座第29回「Fantasy+Milestone編」ビギナー向け9選!マスター向け9選!

2019年 3月 22日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Fantasy+Milestoneの魅力を味わう名盤18選



2.マスター向け9選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ロン・カーター/ピッコロ』B

★カーターがソロイストとしての実力を発揮
 クラシックの音楽院でチェロを習得したカーターだけに、チェロとベースの中間に位置するような楽器であるピッコロ・ベースは、彼にとって弾くべくして弾いた楽器といえる。このアルバムでは、そのピッコロ・ベースを大きくフィーチャーし、当時カーターが率いていたレギュラー・カルテットがジャズの楽しさを教えてくれる。ベースをバスター・ウィリアムスに任せ、自分はピッコロ・ベースに専念するアイディアも功を奏した。

2.『ジャック・デジョネット/ザ・デジョネット・コンプレックス』D


★ありったけの才能を発揮したデビュー作
 ピアニストでもあったデジョネットがメロディカとドラムスを用いて自身の音楽を表現した初リーダー作。ベニー・モウピン、スタンリー・カウエル、ミロスラフ・ヴィトゥスなど、この時期に脚光を集めていた創造的なメンバーと組んで繰り広げる野心的な演奏。初期のマイルストーンにはこうした実験的作品もいろいろと残されている。中でも音楽的に充実していた1枚がこのアルバム。8曲中5曲がオリジナルであることにも注目したい。

3.『ジム・ホール&ロン・カーター/アローン・トゥゲザー』B

★ホールとカーターが大人のデュオを披露
 ニューヨークの「プレイボーイ・クラブ」で行なったライヴ・レコーディング。ギターとベースのデュオだけに内容は全体的に地味な印象が強い。しかし音色を大切にするホールのプレイにじっくりと耳を傾ければ、このギタリストがいかに表情豊かで個性的な表現をしようと試みているかがわかる。相方を務めるカーターも、ホールのプレイに沿ってソロにサポートにと名手ぶりを発揮する。このコンビネーションのよさにも感心させられる。

4.『ジョー・ヘンダーソン/テトラゴン』E

★ヘンダーソンが魅力を満天下に示した快作
 ブルーノートを離れたヘンダーソンは設立間もないマイルストーンに迎えられ、ここでようやく実力に見合った評価を受ける。本作は移籍1作目の『ザ・キッカー』に次いで吹き込まれたアルバムで、ケニー・バロン、ロン・カーター、ジャック・デジョネットで構成されたリズム・セクションを得てヘンダーソンが豪快なプレイを積み重ねていく。前作がスタンダード中心だったのに対し、こちらはメンバーのオリジナルが中心の内容。

5.『リー・コニッツデュエット』A
★コニッツの創造性が見事に開花

 マイルストーンの初期を飾る名盤。エルヴィン・ジョーンズ、ジョー・ヘンダーソン、ジム・ホール、エディ・ゴメスらと組んで、アルバムどおり大胆にして創造的なデュエットを繰り広げた1枚。当時のコニッツは氷のように冷徹な響きを有したアルト・プレイで独自のクール・ジャズを追求していた。一切の無駄を排したフレージングはコマーシャルな演奏とは無縁である。それでも不思議な聴きやすさも同居しているところが面白い。

6.『マイルストーン・ジャズ・スターズ・イン・コンサート』B
★夢のカルテットによる一期一会のツアーを収録

 レーベルを代表する人気リーダー、ソニー・ロリンズ、マッコイ・タイナー、ロン・カーターとドラマーのアル・フォスターが敢行した全米ツアーの模様を収録。カルテット以外にもさまざまな組み合わせでステージは進行していく。そこがオールスターズによる演奏の面白さだ。この4人、あとにも先にも一堂に会したのはこのときだけ。ほかにもライヴ・テープは残されているはずなので、ぜひともなにかの機会に発表してほしい。

7.『ソニー・ロリンズ/ジャズに恋して』A
★魅力的なゲストを迎えてロリンズ節が炸裂

 1970年代以降、ロリンズは30年以上にわたってマイルストーンでアルバムを吹き込んできた。数々の名盤を残してきた中でもっとも好ましい内容を誇っているのがこの作品。『サキソフォン・コロッサス』(プレスティッジ)で共演したトミー・フラナガンとの再会をはじめ、ロリンズから見れば精鋭のジャック・デジョネットやブランフォード・マルサリスを迎えて繰り広げるスタンダード・ナンバーの数々。まさに快演が連続する1枚。

8.『マッコイ・タイナー/サハラ』A
★コルトレーンの呪縛を自身の音楽に昇華


 ジョン・コルトレーンのカルテットを退団したのちのタイナーはしばし失速状態にあった。ブルーノートから出したリーダー作はどれも充実していたが、マイルストーンに移籍して発表したこの作品の前にはそれらも影が薄い。ここでは自身のルーツであるアフリカ的な要素を前面に押し出し、その上でコルトレーンと共演したことで身につけたスピリチュアルな感覚も盛り込んでみせる。まさにタイナー・ミュージックの原点がここにある。

9.『マッコイ・タイナー/トライデント』B
★三者対等の演奏でタイナーが真価を発揮


 タイナーはマイルストーンの初期から中期にかけていくつもの注目すべき作品を吹き込んでいる。とりわけ、エルヴィン・ジョーンズとロン・カーターを得たこの作品は、彼にとってピアノ・トリオによるマイルストーンとなった作品。ホーン入りのグループでスケール大きな演奏を追求していた時代の作品だけに、この編成でも壮大な音楽性が堪能できる。もうひとつのトリオ作品『スーパー・トリオズ』も同系列の1枚として見逃せない。





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