ジャズ名盤講座第31回「Muse+Xanadu編」Muse19選!Xanadu19選!

2019年 4月 5日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Concordの魅力を味わう名盤28選




Museの魅力を味わう名盤19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ウォルター・ビショップ・ジュニア/ソウル・ヴィレッジ』E

★ビショップ・ジュニアが電気ピアノを弾く
 『スピーク・ロウ』(ジャズ・タイム)で人気者になったビショップ・ジュニアは、チャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスと共演した生粋のヴェテラン・ビバッパー。その彼が長らく住んだニューヨークを離れ、西海岸に移住して吹き込んだアルバムがこれ。心機一転を目論んだのか、ここでは珍しくもエレクトリック・ピアノを弾き、ジョージ・ヤング、ランディ・ブレッカー、スティーブ・カーンたちとご機嫌な共演を繰り広げる。

2.『シンディ・ブラックマン/アーケイン』E


★シンディの強力なドラミングが圧巻
 ウォレス・ルーニーのグループで脚光を浴びた女流ドラマー、シンディのデビュー作。尊敬するトニー・ウィリアムスとまったく同一のドラムス・セットを駆使し、男まさりの強力なプレイを繰り広げる。ウォレスをはじめ、当時精鋭として人気を上昇させていたケニー・ギャレット、さらにはヴェテランのジョー・ヘンダーソンやバスター・ウィリアムスの参加は、彼女が音楽的に優れた感覚の持ち主であることをいっそう明確にしてみせる。

3.『アル&ズート/ボディ&ソウル』B

★名コンビが寛いだジャズを堪能させてくれる
 ジャズの世界で名コンビの名をほしいままにしてきたアル・コーンとズート・シムズの共演盤。この時期はレギュラーでコンビを組んでいたわけではないが、昔取った杵柄はだてじゃない。数々の作品を残してきた彼らが、ここではブラジリアン・サウンドに挑んでみせる。丁々発止としたやり取りとウォームで落ち着いた響きが大人の味わいを醸し出す。〈リカード・ボサ・ノヴァ〜イパネマの娘〜ワン・ノート・サンバ〉のメドレーが最高。

4.『リッチー・コール/アルト・マドネス』A

★熱狂的なプレイで一躍人気者に
 最近のファンはご存じないと思うが、1970年代末から80年代初頭にかけてのコールには圧倒的な存在感と人気があった。ウイントン・マルサリスが登場して4ビート・ジャズは復権したが、それ以前に4ビート・ジャズの灯を守り続けていた代表格のひとりがコールだ。《4ビート・ジャズの救世主》というのが当時のキャッチ・フレーズで、フュージョン全盛の中でストレート・アヘッド・ジャズの神髄を聴かせていたのがこの作品。

5.『ソニー・クリス/クリス・クラフト』B

★通好みの味わい深いプレイが魅力
 西海岸を舞台にしながら東海岸で盛んだったビバップやハード・バップのスタイルを受け継いだのがクリスである。土地柄か、残念ながらそのプレイは多くのファンに受け入れられることがなかった。しかしチャーリー・パーカーの再来を思わせる超絶的なテクニックと閃きに富んだフレージングはジャズの醍醐味とスリルを存分に味わわせてくれる。そんな彼の魅力を知り尽くしたシュリッテンの制作だけに、この作品でも好演が連続する。

6.『エリック・クロス/ワン・トゥ・フリー』C


★ヴァーサタイルな持ち味が表出された
 クロスにはさまざまな面がある。オーソドックスなプレイもすればフリー派になるときもある。また、ブルージーこの上ない演奏でファンキーなサウンドも表現すれば、ロック的なアプローチも聴かせてくれる。いってみれば多彩なスタイルの持ち主だ。その彼にパット・マルティーノを組み合わせた作品は本作以外にもいくつか残されている。両者の相性はすこぶるいい。それはマルティーノもジャンルを超えたプレイをするからだ。

7.『リチャード・デイヴィス/エピストロフィー&ナウズ・ザ・タイム』D


★モダン・ベースの重鎮による意欲作
 デイヴィスはモダン・ベースを代表するひとり。どちらかといえばオーソドックスなプレイヤーの範疇に入るが、ときとしてフリー・ジャズに接近した演奏も聴かせてくれる。この作品でもクリフォード・ジョーダンやマーヴィン・ピーターソンを得て、スピリチュアルなプレイを披露する。取りあげるのはアルバム・タイトルになった2曲と〈ハイエスト・マウンテン〉。それぞれのプレイヤーがじっくりとソロを聴かせる内容が好ましい。

8.『リッキー・フォード/マンハッタン・プラザ』E


★ジャズ・ウルフ登場
 ミンガス・グループ出身のフォードは独特の翳りを帯びたテナー・プレイに豪快なブローをかけ合わせたスタイルで、1970年代後半から80年代前半にかけて高い人気を誇っていた。これはミューズから登場した1作目で、リーダー作品としてはニュー・ワールド・レーベルから出たデビュー作に続くもの。ミューズ好みのピアニスト、ジャッキー・バイアードを得て、ここでのフォードは2管クインテットで存分に個性を発揮してみせる。

9.『ジェローム・ハリス/イン・パッシング』E


★ハリスの多彩な才能に驚かされる
 ソニー・ロリンズのグループで名を売ったハリスだが、出発点はロックやR&Bにあった。加えて、ひところは盛んにフリー・ジャズ系のミュージシャンとセッションを重ねていた。そこに彼のイメージをある意味で混乱させる要因があったかもしれない。フリー・ジャズ系ミュージシャンとして活躍中のハリスが、この作品ではロリンズとの共演で体得したメインストリーム・ジャズへの接近を自分なりのユニークな手法で図ってみせる。

10.『バック・ヒル/キャピトル・ヒル』E


★幻のサックス奏者が残した好盤
 ヒルとはミューズも渋いミュージシャンのアルバムを出したものだ。彼は日本でほとんど馴染みのないテナー・サックス奏者である。そのプレイを聴くと、男性的で豪快な反面、リリシズム溢れる情感豊かな演奏が大きな魅力となっていることに気がつく。スタイルの根幹を成すのはビバップだが、そこにスイング・ジャズの要素も混在している。中間派と呼ばれる一派の中ではモダンな奏法を身につけたサックス奏者といったところだろうか。

11.『スティーブ・キューン/レインドロップス』D


★キューンの穏やかなエモーションが胸を打つ
 ビル・エヴァンスのマネージャーでプロデューサーでもあるヘレン・キーンがプロデュースした1枚。もともとキューンはエヴァンス的なプレイをするピアニスト。それだけに、このニューヨーク・ライヴでもリリカルな響きが印象的に響く。ピアノのほかにエレクトリック・ピアノやヴォーカルまで披露したパフォーマンスが珍しい。収録場所がフォーク系アーティスト専門のクラブ(「フォーク・シティ」)だったこともそれと関係ありか。

12.『パット・マルティーノ/フットプリンツ』C


★それまでとは違うマルティーノが聴ける
 1972年に録音し、なぜか75年まで発売が見送られていたアルバム。プレスティッジ時代のマルティーノは超絶技巧を追求することに余念がなかった。しかしこのあたりから多彩な奏法を自在に操るようになってきた。本作にはセカンド・ギタリストが参加し、どちらかといえばリリシズムを強調した思索的な内容が特徴。とりわけウエス・モンゴメリーの演奏で知られる〈ロード・ソング〉に、それまでの彼とは違う魅力が認められる。

13.『デヴィッド・マシューズ/ライヴ・アット・ザ・ファイヴ・スポット』E


★隠れた名オーケストラによる傑出したライヴ
 フュージョン・シーンで引っ張りだこのアレンジャーになる以前のマシューズは、ニューヨークで活躍する精鋭を集めて素晴らしいオーケストラを結成していた。ギル・エヴァンスから影響を受けているだけに、オーケストラにはチューバやフレンチ・ホーンも加えられている。巧みなアレンジはその後の活躍を彷彿とさせるし、オーケストラはこの時点で傑出した存在だったことがうかがい知れる。しかし無名に終わってしまったのが残念。

14.『マーク・マーフィー/マーク・マーフィー・シングス』E


★マーフィーの瀟洒なヴォーカルが心地よい
 メル・トーメの系列に入るクルーナー唱法の名手がマーフィーだ。白人的なさらりとした歌いかたを身上にしているが、実は黒人である。そのソフィスティケーションが強力な持ち味で、しかも得意の器楽的唱法も強い個性に結びついた。そんな魅力が味わえるこの作品では、いまをときめくデヴィッド・マシューズがアレンジを担当し、その人脈でランディ・ブレッカーやドン・グロルニックといったフュージョン勢が参加している。

15.『ウォレス・ルーニー/イン・トゥイション』A


★60年代マイルス・サウンドの現代版
 新人として飛ぶ鳥を落とす勢いにあった時期にルーニーが残したデビュー2作目。盟友のケニー・ギャレットとゲイリー・トーマスを迎え、1960年代のマイルス・クインテットを現代に甦らせたような演奏でファンを喜ばせてくれた。そのクインテットでベースを弾いていたロン・カーター、さらにはトニー・ウィリアムス命のシンディ・ブラックマンとハービー・ハンコック風のプレイを聴かせるマルグリュー・ミラーの布陣は最高だ。

16.『ウディ・ショウ/ザ・ムーントレイン』A


★ショウの鮮烈なプレイが胸に滲みる
 ショウはフリー・ジャズにも視野を広げていただけあって、絶頂期に残されたこの作品では、彼と同様に当時ニューヨークで注目を集めていた精鋭による過激で鮮烈なパフォーマンスが繰り広げられる。フリー・ジャズ的ではあるが、これがそのころのもっとも新しいストレート・アヘッド・ジャズだった。リーダー以下、エイゾー・ローレンス、スティーヴ・トゥーレ、オナジ・アラン・ガンブス、セシル・マクビーたちのプレイが見事。

17.『ソニー・スティット/12』A

★生粋のビバッパーが最高の演奏を繰り広げる
 シュリッテンが主宰していたコブルストーンやミューズから次々と意欲的な作品を発表していたのが1970年代のスティットである。それらのどれもが《現代版ビバップ》の優れた演奏を記録したものだ。中でもバリー・ハリス〜サム・ジョーンズ〜ルイス・ヘイズのリズム・セクションを得て豪快なビバップを聴かせてくれたこの作品は、スティットの真骨頂が堪能できる1枚として万人にお薦めだ。ジャズが時代を凌駕した好例である。

18.『シダー・ウォルトン/ナイト・アット・ブーマーズ Vol.1』B


★寛いだハード・バップのライヴが聴ける
 実力派ピアニストのウォルトンが、自身の率いるレギュラー・トリオにもっとも気の合うテナー・サックス奏者のクリフォード・ジョーダンを迎え、ニューヨークの人気クラブで吹き込んだアルバム。同じ日に残された『Vol.2』ともども、現代的なハード・バップの快演が聴ける。この時代は、このミューズやザナドゥがハード・バップ・リヴァイヴァルともいえるムーヴメントを推進していた。その象徴的な1枚がこのライヴ盤。

19.『フィル・ウッズ/ミュージック・デュボア』A

★ヨーロッパから帰米して吹き込んだ名作
 ヨーロッパ時代のウッズはフリー・ジャズ志向のヨーロピアン・リズム・マシーンを結成し、それまでとはまったく違うスタイルで大胆なジャズを追求してみせた。その彼がアメリカに戻って吹き込んだのがこの作品。本来はパーカー派の彼である。そのスタイルにモダンな響きを加味した、当時としてはもっとも進歩的なメインストリーム・ジャズを聴かせてくれる。ワン・ホーンでひたすら力強くブローするウッズの姿が痛快この上ない。




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