ジャズ名盤講座第32回「 A&M+CTI」A&M19選!CTI19選!

2019年 4月 12日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

CTIの魅力を味わう名盤19選



2.CTIの魅力を味わう名盤19選

大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『アイアート/フィンガーズ』D

★クラブ・シーンで人気の隠れた名盤
 デビュー作の『アイアート』も傑作だったが、内容の濃さではこちらに軍配があがる。チック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーで活躍していた時代の作品だけに、そちらのサウンドにも通じているところが興味深い。とはいえ、ブラジル系のミュージシャンで固められたこの作品では前作以上にエスニックな響きが強調されている。パーカッシヴな演奏には奥方フローラ・プリムのヴォーカルがよく似合う。そこも大きな魅力的だ。

2.『パティ・オースティン/エンド・オブ・ア・レインボウ』E

★ソウルフルなヴォーカルで喝采を浴びた1枚
 オースティンの名をいっきに高めたヒット作。その後の活躍にも目を見張らされるものがあるが、このアルバムを吹き込んだころの彼女はとにかく勢いに乗っていた。そんな絶好調のオースティンを支えたメンバーもこのレーベルらしく豪華極まりない。リチャード・ティー、エリック・ゲイル、スティーヴ・ガッドのスタッフ勢を中心にしたメンバーのプレイをデヴィッド・マシューズの秀逸なアレンジがまとめる。こちらも聴きものだ。

3.『ジョージ・ベンソン/サマータイム2001』C

★ここからベンソンの人気が高まった
 ベンソンがスーパースターになるのはCTIを離れワーナー・ブラザーズに移ってから。ただし、本作が吹き込まれた時期でも彼はジャズ界でトップ・アーティストのひとりになっていた。そのことを証明したのが「カーネギー・ホール」で実況録音されたこの作品。ストリングスをバックに朗々と歌う〈サマータイム〉はのちの姿を彷彿とさせるし、オクターブ奏法でギターを弾きまくる〈テイク・ファイヴ〉では本格派の腕前が堪能できる。

4.『ケニー・バレル/ゴッド・ブレス・チャイルド』B

★いつになく華麗な演奏をバレルが展開
 バレルのブルージーなギター・ワークがこの作品でも遺憾なく発揮される。彼の持ち味を知り尽くしたクリード・テイラーだけに、これはテイラーにとっても理想的なアルバムとなった。ドン・セベスキーがアレンジしたオーケストラをバックに、バレルとそのコンボがどちらかといえば淡々とした風情で演奏を重ねていく。タイトル・トラックも名演だが、それ以上の聴きものになっているのが〈ア・チャイルド・イズ・ボーン〉。

5.『ロン・カーター/オール・ブルース』B

★カーターの魅力がコンボ編成で爆発
 CTIは当代切っての名ベーシスト、カーターにも積極的にレコーディングをさせていた。中でも1973年に吹き込まれたこのアルバムは強力かつ魅力的なメンバーが顔を揃えたことで代表的な1枚に数えられている。ジョー・ヘンダーソン、ローランド・ハナ、リチャード・ティー、ビリー・コブハムとの顔合わせはこのレーベルでしか考えられない。コンテンポラリーな響きの中でカーターがダイナミックにアコースティック・ベースを弾く。

6.『ロン・カーター/スパニッシュ・ブルー』D

★カーターがラテン・タッチの演奏を披露
 カーターにラテン・ミュージックは無縁のものと思っていたが、この作品を聴けば納得できる。〈エル・ノーチェ・ソル〉や〈サバド・ソンブレロ〉がそうしたテイストで演奏されるが、そこはあくまでカーターらしいジャズ・フレイヴァーを存分に表出されたものになっている。これらの曲がアルバムの魅力だが、ジャズ・ファンならマイルス・デイヴィスのレパートリーだった〈ソー・ホワット〉が気になるところ。こちらの編曲も秀逸。

7.『デオダート/ツァラトゥストラはかく語りき』A

★衝撃的なデオダードのデビュー作
 このアルバムで人気と知名度に火がついたデオダード。彼の弾くエレクトリック・ピアノの響きがかっこいい。しかもそのプレイを最高の形で表現できるアレンジをみずから書いた才能は並みのものでない。ジョン・トロペイ、ヒューバート・ロウズ、ロン・カーター、スタンリー・クラーク、ビリー・コブハムといったプレイヤーもこの手のサウンドには欠かせない。CTIが総力を結集して作ったアルバムはいまも魅力が色あせていない。

8.『ビル・エヴァンス/モントルーII』A

★モントルーで残したもうひとつの名盤
「モントルー・ジャズ・フェスティヴァル」のライヴといえば、これより2年前に残したヴァーヴ盤が有名。そちらの人気があまりに高いため、本作の評価は内容に比して低いように思う。しかしこの作品も名盤と呼べるものだ。エディ・ゴメスとマーティ・モレルを得たレギュラー・トリオの演奏には彼らならではの繊細さと大胆さが同居している。その変幻自在な展開に、レギュラー・コンボの持ち味と魅力が凝縮された素晴らしい1枚。

9.『フューズ・ワン/フューズ』E

★第1期CTI末期に残された豪華なアルバム
 これもクリード・テイラーでなくては作ることができなかった大作。録音された1980年の時点で最高のミュージシャンが集められている。ジョー・ファレル、ジョン・マクラフリン、トニー・ウィリアムス、スタンリー・クラークなど、スタイルも違えば音楽性も違う。その彼らが一堂に会し、ジャム・セッションでありながら、イージーなセッションで終わらせていないところが見事。各人の名人技が堪能できるのも内容充実に繋がった。

10.『アストラッド・ジルベルト/ジルベルト・ウィズ・タレンタイン』C

★意外な顔合わせが功を奏した人気盤
 ボサノヴァの歌姫アストラッドとソウルフルなテナー・プレイが持ち味のタレンタイン。こういう顔合わせがCTIのお家芸だ。しかも奇をてらったものでないことは、優れた音楽性がぶつかり合っていることからもよくわかる。タレンタインのブルージーなプレイとボサノヴァの相性が素晴らしい。そしてアストラッドも翳りを秘めたヴォーカルで持ち味を発揮する。これはCTI版『ゲッツ=ジルベルト』的な1枚と考えてもいい。

11.『ジム・ホール/アランフェス協奏曲』A

★ホール最大のヒット・アルバム
 ジャズ・ギタリストの代表格ホールがCTIからアルバムを発表したことで大きな話題を呼んだ1枚。しかも取りあげたのがクラシックの名曲〈アランフェス協奏曲〉ということもあって、話題にいっそうの拍車がかかったことを思い出す。とはいえ、これは奇をてらったものではまったくない。CTIサウンドの中でもホールはいつもの、否、いつも以上の名手ぶりを発揮する。ドン・セベスキー編曲の表題曲がとにかく最高の聴きもの。

12.『フレディ・ハバード/レッド・クレイ』A

★この作品でハバードは空前の人気を獲得した
 ストリングスを含むオーケストラをバックにアルバムを作ることが多いCTIにあって、本作は2管クインテットによるオーソドックスな編成で吹き込まれている。ただしメンバーが豪華だ。ジョー・ヘンダーソン、ハービー・ハンコック、ロン・カーター、レニー・ホワイトは当時で考えられる最高の顔ぶれである。彼らを得て、ハバードはジャズともフュージョンともつかない演奏で独自の境地を表現してみせる。そこが最高に魅力的!

13.『ミルト・ジャクソン/サン・フラワー』B

★ジャクソンがCTIで新たな魅力を開花させた
 ブルージーなプレイで定評の高いジャクソンとCTIの組み合わせ。音を聴くまでは首をひねったひとも多いはず。ところがこのレーベルならではのポップでフュージョンなサウンドが、意外なほどジャクソンのプレイとマッチする。華麗にして明るい響きの充満したオーケストレーションを施したのは名手のドン・セベスキー。そこにフレディ・ハバードやハービー・ハンコックといった人気者のソロが加わり、充実の1枚が完成した。

14.『アントニオ・カルロス・ジョビン/ストーン・フラワー』B

★ジョビンが現代的なブラジル音楽を聴かせる
 ヴァーヴ、A&M、そしてCTIと、クリード・テイラーはことあるたびにジョビンの作品を作ってきた。これはその最新ヴァージョンで、いつものようにイージー・リズニング調の演奏が楽しめる。とはいえ、参加したメンバーは最強だ。デオダート、ロン・カーター、ジョアン・パルマ、アイアート・モレイラのリズム・セクションに、アービー・グリーン、ジョー・ファレル、ヒューバート・ロウズを配した布陣はこのレーベルならでは。

15.『ヒューバート・ロウズ/春の祭典』B

★クラシックとジャズの理想的な融合
 ジャズ・クルセイダーズのオリジナル・メンバーだったロウズはクラシックの勉強がしたくてグループを脱退し、ロサンジェルスからニューヨークに出てきたフルート奏者。そういうバックグラウンドを持っていた彼の個性を最大限引き出すにはCTIのプロダクションが理想的だった。全曲がクラシックの名曲をジャズ化したもので、しかもフュージョン・サウンドの中でそれぞれの楽曲が持つ音楽性もきちんと追求している姿勢が立派。

16.『ヒューバート・ロウズ/シカゴ・テーマ』D

★ロウズが豪華なメンバーを得て録音した意欲作
『春の祭典』で一躍人気フュージョン・ミュージシャンに躍り出たロウズが、ストリングスをバックに華麗なフュージョンを聴かせてくれる。前記した作品ではドン・セベスキーがアレンジを担当していたが、今回はCTIから売り出し中だったボブ・ジェームスが起用された。華麗なオーケストレーションとブレッカー兄弟やデヴィッド・サンボーンなど腕達者なサイドマンを得て、ロウズがジャジーかつポップなプレイを大胆に繰り広げる。

17.『ラロ・シフリン/タワーリング・トッカータ』E

★映画音楽の巨匠もCTIに参入
 クリード・テイラーとシフリンのつき合いは古い。ヴァーヴ時代にもテイラーは彼を起用してリーダー作を作ったり、さまざまなアーティストのアレンジを担当させたりしていた。その再会もCTIなら必然的な出来事だった。長らく映画音楽の世界で培ったゴージャスなサウンドを駆使し、なおかつCTIのハウス・ミュージシャン的プレイヤーを自在に扱ってのサウンド作りは、テイラーとシフリンのコラボレーションでしか生み出せない。

18.『ニーナ・シモン/ボルティモア』B

★シモンが新たなファンを獲得した記念碑的作品
 もともとソウルフルな味わいのヴォーカルで独自のポジションを築いていたのがシモンである。その彼女にポップなフィーリングを強調させることでいっそう泥臭いヴォーカルを披露させたのがこのアルバム。タイトル曲のエモーションを抑えた歌唱も立派だし、それ以上に素晴らしい出来映えの〈エヴリシング・マスト・チェンジ〉が大きな聴きもの。ポップス的な作りながら、ジャジーな味わいにも満足できる。それが名盤誕生に繋がった。

19.『スタンリー・タレンタイン/シュガー』A

★タレンタインの人気を決定的なものにした
 ブルーノートで評判を高めたタレンタインだが、それはあくまでジャズの世界でのことだった。その彼がCTIに移籍して放ったこのアルバムはジャズ・ファンのみならずポップス・ファンにまでアピールしたことでビッグ・セールスに結びつく。以後、彼は「ジャズでもっとも高いギャラを取るアーティスト」になるが、それもこのアルバムの大成功があったから。レーベルでお馴染みのミュージシャンの参加も魅力をいっそうのものにした。





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