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ジャズ名盤講座第33回「Enja+Steeplechase」Enja24選!Steeplechase24選!

2019年 4月 19日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座



All About Enja



 ドイツ人のホルスト・ウェーバーとマティアス・ウィンケルマンによってエンヤが設立されたのは1971年夏のことである。以後、エンヤはドイツを中心としたヨーロッパ・フリー系ミュージシャンの作品を数多く制作していく。それはウェーバーがそうした音楽を好んでいたからだ。しかし徐々にメインストリーム系のアーティストもレコーディングするようになり、それによってエンヤのレーベル・イメージは多くのファンの間に広がっていった。

 70年代はフュージョンの台頭によってオーソドックスなスタイルのジャズはシーンの片隅に押しやられていた。しかしヨーロッパのレーベルを中心に、ビバップ~ハード・バップ的な演奏もしっかりと記録されていたのである。その代表格はなんといってもスティープルチェイスだ。しかしエンヤもこの路線でご機嫌な作品をいくつも残していた。

 初期のカタログで目を引くのが、第1回発売として登場したマル・ウォルドロン・トリオの『ブラック・グローリー』だ。この作品が象徴するように、エンヤは当初からピアニストの作品に力を入れていた。マルとともにレーベルを代表しているのがダラー・ブランドで、そこにテテ・モントリューやトミー・フラナガンなども加わり、ピアニストを多数起用するレーベルとしてもエンヤは注目されていく。

 とりわけ、フラナガンはこのレーベルから作品を連発させることで見事に往年の勢いを取り戻したピアニストの代表格だ。その演奏からは70年代のハード・バップと呼ぶに相応しい内容を聴くことができる。77年に録音した『エクリプソ』は、かつて名コンビを組んでいたエルヴィン・ジョーンズとの共演が久々に実現し、彼が力強いピアノ・タッチを披露した永遠の名作だ。その後も、『バラーズ&ブルース』、『スーパー・セッション』、『コンファーメイション』、『ジャイアント・ステップス』など、80年代初頭にかけて内容の充実した作品をこのレーベルで残していく。

 このフランガンのレコーディングがきっかけとなって、エンヤはそれまで以上にニューヨーク録音を積極的に行なうようになる。その最大の成果が、当時新人だったベニー・ウォレスと契約したことだ。このほか、70年代後半から80年代初頭にかけてニューヨーク派のミュージシャンを起用して制作されたハード・バップの代表的な作品(ニューヨーク録音に限らず)には次のようなものがある。ニューヨーク・ジャズ・カルテット(フランク・ウエス、ローランド・ハナ、ジョージ・ムラツ、リッチー・プラットが初代メンバー)の『サージ』、ジョー・ヘンダーソンの『バロセロナ』、デイヴ・リーブマンの『イン・オーストラリア』、フィル・ウッズの『スリー・フォー・オール』、フレディ・ハバードの『アウトポスト』、ウディ・ショウの『ロータス・ブロッサム』などだ。

 ジャズの場合、ひとつのタイプを中心にしてカタログを増やして行くレーベルが多い。ここではハーッド・バップ系のアーティストを中心に紹介したが、エンヤは最初から幅広いスタイルを取りあげていた。それでいて全体のカタログを眺めてみたとき、決してちぐはぐな印象を受けない。タイプの違うさまざまなジャズが含まれていても、である。欲張りといえばこれほど欲張りなレーベルも他に例を見ない。

 それはホルスト・ウェーバーとマティアス・ウィンケルマンという優れたプロデューサーが、持てる愛情のすべてを捧げてアルバム制作を行なってきたからだ。自分たちが好きなアーティストのアルバムを作る──このポリシーを守ってきたからこその結果がエンヤの作品群には反映されている。




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