ジャズ名盤講座第33回「Enja+Steeplechase」Enja24選!Steeplechase24選!

2019年 4月 19日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Enjaの魅力を味わう名盤24選




大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『フランコ・アンブロゼッティ/ムーヴィーズ』E

★アンブロゼッティ流映画音楽が楽しめる
 イタリア系トランペッターのアンブロゼッティが映画音楽をモチーフにして大胆な演奏を繰り広げる。彼のプレイもさることながら、共演者のジョン・スコフィールド、ジェリ・アレン、マイケル・フォーマネックといった精鋭によるサポートも見逃せない。しかもドラムスにはヨーロッパ・ジャズ界の重鎮、ダニエル・ユメールが参加しているのだから堪らない。彼らが演奏する〈イエロー・サブマリーン〉や〈荒野の七人〉は必聴だ。

2.『チェット・ベイカー/ピース』B

★リリカルなトランペットが妖しく光る
 デヴィッド・フリードマンのヴァイブとベイカーのトランペットが織りなすサウンドはどことなく幾何学を思わせる。対位的なラインが効果的なアクセントになって、淡々とした演奏を華やかにするからだ。〈ピース〉のはかない美しさがそのことを象徴している。発表当時、フリードマンとの共演は異色のものといわれた。それだけに、両者が四つに組んだパフォーマンスからはいつになく張り切ったベイカーのプレイが味わえる。

3.『ケニー・バロン/クイックステップ』D

★バロンのスインギーなプレイにスポットを当てた
 トリオ作品が多いバロンだが、本作ではジョー・ヘンダーソンとジョン・スタブルフィールドが加わったことでグループとしてのサウンドにも重きが置かれている。その中で彼のピアノが小気味のいいスイング感を表出してみせる。いまでは大御所の感もあるバロンだが、当時は中堅どころの精鋭といったポジションにあった。それだけに冒険心もいっぱいで、やりたいことをやってみせる。それゆえバロンの真価が表出された1枚となった。

4.『エイブラハム・バートン/レフト・アローン』E

★注目株のバートンによる初リーダー作
 アート・テイラーのクインテットで大きな注目を集めたバートンが満を持して発表したデビュー作。それだけにいずれのトラックも聴き応え十分。ときにフリーキーな音も交えての大胆な演奏は、恩師ジャッキー・マクリーンのプレイを現代の表現で示したものといった印象を受ける。そのマクリーンの演奏で有名な〈レフト・アローン〉も取りあげているが、これが思わぬ素晴らしい出来となった。切々とした表現も先生譲りのものだろう。

5.『エリック・ドルフィー/ベルリン・コンサーツ』A

★ドルフィーが絶頂の時代に残したライヴ録音
 ユニークなリード奏者のドルフィーが、オーソドックスなプレイを得意にしていたミュージシャンたちと共演したことで、伝統的なスタイルと斬新な持ち味をいつも以上に良好な形でブレンドすることになった。フリー・ジャズとオーソドックスなジャズの間をさまようスタイルはいつもの通り。しかしライヴ・レコーディングということもあって、スタジオ録音以上に奔放なプレイが痛快に響く。選曲もその路線に沿ったもので興味深い。

6.『ブッカー・アーヴィン/ラメント・フォー・ブッカー』E

★アーヴィン・カルテットとパーランのソロを収録
 27分を超える〈ブルース・フォー・ユー〉はアーヴィンのカルテットが「ベルリン・ジャズ・フェスティヴァル」に出演したときの演奏。圧倒的なパワーで、フリー・ジャズ一歩手前の大胆なプレイで彼が迫る。それを持ち前のハード・バピッシュな音楽性に徹することで柔軟に受けとめるケニー・ドリューがこれまた見事。なおタイトル曲はホレス・パーランのソロ・パフォーマンスで、アーヴィンの死を追悼して吹き込まれたもの。

7.『アート・ファーマー/ソウル・アイズ』D

★哀愁味たっぷりのワン・ホーン作品
 トランペットとフリューゲルホーンを合体させたフランペットを駆使してファーマーが持ち前のリリカルなプレイをたっぷりと聴かせてくれる。新鋭のジェフ・キーザーとケニー・デイヴィス、そしてルイス・ナッシュで編成されたリズム・セクションをバックにワン・ホーンで表情豊かな演奏を綴っていく。とりわけメロディが美しい〈ウィル・ユー・スティル・ビー・マイン〉や哀愁漂うマル・ウォルドロン作のタイトル曲が胸に迫る。

8.『トミー・フラナガン/エクリプソ』A

★ハードなタッチがご機嫌なベストセラー
『オーバーシーズ』(メトロノーム)で共演したエルヴィン・ジョーンズと再会したことで、フラナガンがいつになく強力なプレイを繰り広げる。それまでのフラナガンはサイドマンとしての定評を誇っていた。ところがこのアルバムでは立派なリーダーシップを発揮する。ビバップの代表曲を中心にしたこのトリオ盤はフラナガンのキャリアにおいても重要な1枚となった。瑞々しい〈オレオ〉と〈コンファーメイション〉がとくに見事だ。

9.『ハル・ギャルパー/ナウ・ヒア・ディス』B

★日野の参加が大成功に結びついた
 ニューヨークに移住した直後の日野皓正が参加していることでこの作品の価値は高まった。ピアニストのギャルパーがリーダーだが、実質的には日野のワン・ホーン・カルテットによる作品と呼んでいいほどの内容である。しかも残りのメンバーがセシル・マクビーにトニー・ウィリアムスとなれば、多くのひとが聴きたいと思うはず。当時の日野は複雑なプレイを通しておのれを表現していた。その最良のひとつがこの作品で聴ける。

10.『ダスコ・ゴイコヴィッチ/スインギン・マケドニア』A

★ゴイコビッチの名前を世界に知らしめた名盤
 これはハード・バピッシュな魅力に溢れた素晴らしいアルバム。ゴイコヴィッチはヨーロッパ人には珍しく黒人的な響きをそのトランペットに反映させている。端正なプレイというよりは大胆なソロが小気味いい。それでいて破綻するところがいっさいない。そこがこのひとの持ち味で、最初から最後までジャズ・ファンを唸らせるプレイが続く。最良のメンバーに囲まれ、ホットで力強いソロを存分に聴かせてくれるのがここでの彼だ。

11.『ジョー・ヘンダーソン/バルセロナ』E

★ピアノレスのトリオに挑んだ意欲作
 過激なプレイをしていた時代のヘンダーソンだけあって、この作品では極めて奔放なブローが満喫できる。ピアノレスということで、いつになくフリーキーな音使いを披露する姿はまさに勢いに乗った感じだ。ピアノレスのトリオといえば、「ヴィレッジ・ヴァンガード」で吹き込んだブルーノート盤もヘンダーソンのキャリアを代表する作品。それと比べても本作はまったく遜色がない。とくに長尺のタイトル・トラックは文句なしで凄い!

12.『日野皓正/タローズ・ムード』B

★ピークを迎えていたクインテットのドイツ録音
 このアルバムが吹き込まれた時点で、日野のトランペットは世界のトップ・レベルに達していた。そのことを物語っているのがここに収められた3曲だ。中でも代表的なオリジナルの〈アローン、アローン・アンド・アローン〉は前向きな姿勢がリリカルな響きの中で自然に表出された快演。現在では未発表の演奏も加えて2枚組CDとして発売されている。クインテットが絶頂期だった時代のライヴだけに、どれも充実の内容を誇る。

13.『エルヴィン・ジョーンズ/ヤングブラッド』B

★若手の逸材を集めたジャズ・マシーンによる力作
 無名時代のジョシュア・レッドマンとニコラス・ペイトンが参加していたことで、このアルバムはいまや重要な意味を持つ1枚となった。まだ経験も少なかった彼らだが、リーダーの刺激的なドラミングに煽られて素晴らしいプレイを繰り広げる。演奏はどうしても彼らのプレイが中心になる。しかしエルヴィンが勢いに溢れた若手をきちんとコントロールしていることも間違いない。それにしても彼のドラミングは強力無類で、圧倒的だ。

14.『アビー・リンカーン/トーキング・トゥ・ザ・サン』D

★リンカーンのフォーク的なヴォーカルが魅力
 ジャズ・シンガーでありながら、リンカーンの歌にはアフリカの大地を思わせる素朴でフォーク的な響きが感じられる。かつてはプロテスト色の強い歌に特色を示していた彼女だが、そうした歌でも穏やかな表現にくるんでシットリと歌ってみせる。そのスケールの大きさな歌唱がややハスキーな歌声に溶け合う。スタイルはまったく違うが、リンカーンの歌を聴いているとノラ・ジョーンズのイメージが湧いてくる。そこが興味深い。

15.『ケヴィン・マホガニー/ダブル・レインボウ』E

★低音の魅力を武器にしたシンガーのデビュー作
 ビリー・エクスタインばりのバリトン・ヴォイスを持つマホガニーが、ケニー・バロンを中心にしたコンボで魅力を発揮する。深みのあるヴォーカルは、男性シンガー不作の時代にあって一条の光をさすものだった。ブルージーな表現に持ち味のある彼らしく、この作品ではスタンダードを中心にそうした傾向の曲が多く取りあげられている。それだけにしばらくのちには人気シンガーの仲間入りを果たしたが、最近は目立たないのが寂しい。

16.『チャールス・ミンガス/ミンガス・イン・ヨーロッパ Vol.1』A

★ワークショップによるベスト・プレイ
 この作品が重要なのは、ミンガスとエリック・ドルフィーが共演した最後のツアーをとらえているからだ。約2ヵ月後にドルフィーはドイツで帰らぬひとになってしまうが、そんなことを微塵も感じさせない創造的なプレイが聴ける。ことに40分近くにわたって演奏される〈フェーブルス・オブ・フォーバス〉が圧倒的だ。ドルフィーはそれまでのどんなプレイヤーとも異なるフレーズを連続させることでユニークかつ斬新な表現を試みる。

17.『ジョン・スコフィールド/ライヴ '77』C

★若手時代のスコフィールドの熱演が聴ける
 若手の逸材として注目を集め始めた時期にスコフィールドが残したライヴ・レコーディング。リッチー・バイラークとのカルテットは、後年の演奏よりジャズ寄りの内容になっている。ハードなブローイングを思わせるプレイで〈朝日のようにさわやかに〉を演奏したアイディアが秀逸。お馴染みのヘタウマ・フレーズでくねくねと体を揺る姿がここでも目に浮かぶ。次の展開がまったく予想できないソロはいくら聴いても飽きることがない。

18.『ウディ・ショウ/ロータス・フラワー』D

★レギュラー・クインテットで録音した快作
 このクインテットはとにかく素晴らしかった。メンバーの粒が揃っていたことと、リーダーのショウが意欲に燃えてサウンド作りに励んでいたからだ。中でも若手の逸材として脚光を浴びていたマルグリュー・ミラーがソロにサポートにとセンスのいいところを示す。その彼を中心に、ショウがクインテットのサウンドを作りあげた。その成果が見事な形でここには記録されている。全員が一丸となったプレイは本当に小気味がいい。

19.『アート・テイラー/Mr. A.T.』E

★若手に囲まれて張り切ったプレイを披露する
 エイブラハム・バートンとウィリー・ウィリアムスをフロンに据えたテイラーのレギュラー・クインテットが壮絶な演奏を繰り広げる。ドラマーゆえにリーダー作の少ない彼だが、残された作品はどれも傾聴に値する。中でもこのアルバムは、テイラーがブルーノートで吹き込んだ『AT's デライト』に通じる内容が好ましい。ヴェテランを感じさせないプレイがグループをプッシュし、若手も持てる力をすべて結集したソロを重ねていく。

20.『ゲイリー・トーマス/セヴンス・クォドラント』C

★売り出し中のトーマスが熱いプレイを繰り広げる
 トーマスはM-BASE派に近い位置にいたサックス奏者。それだけに伝統的なプレイをベースに斬新なブラック・ミュージックを聴かせてくれる。破竹の勢いにあった時期の吹き込みだけに、ここでの彼は大胆なアプローチを随所で披露する。それがこの上なくご機嫌に響くのは、トーマスがいっさいの躊躇なくサックスを吹いているからだ。その後に人気ミュージシャンとなるサイドメンが結集したグループのサウンドも大きな聴きもの。

21.『チャールス・トリヴァー/インパクト』E

★トリヴァーが真価を発揮した好ライヴ
《ブラック・ジャズ》の代表格だったトリヴァーが絶頂期に吹き込んだ意欲溢れる野心作。盟友のスタンリー・カウエルを迎え、彼らが大暴れをしてみせたミュージック・インクに通ずるスケールの大きな音楽性がこの作品でも大胆に展開される。ヨーロッパ・ツアーの途中、ドイツで行なったクラブ・ギグの模様を収録しているだけに、演奏にも勢いが溢れている。それにしてもトリヴァーの力感みなぎるプレイはいま聴いても重厚で奥が深い。

22.『マル・ウォルドロン/ブラック・グローリー』B

★朴訥としたプレイが黒い稲光を思わせる
 ヨーロッパに居を移してからのマルは、フリー・ジャズにも触発されて、その影響をプレイの中に投射するようになった。そのことを端的に表しているのがこのアルバム。トレードマークのモールス信号的なタッチは、フリー・フォームの演奏でいつも以上に威力を発揮する。というより、マルはどんなときでもマル以外の何者でもない。ここでは独特のタッチがフリー的なリズムを得たことでさらに輝きが増している。そこが魅力だ。

23.『ベニー・ウォレス&チック・コリア/ミスティック・ブリッジ』B

★チックと組んで意欲的なプレイを展開する
 ウォレスは独特の音楽性を持ったテナー・サックス奏者。フリー・フォームにも視野を向けながら伝統的なスタイルを大胆に踏襲した音楽は、チックのサポートを得ていっそう魅力的なものとなった。まだ注目の若手時代にレコーディングした作品である。それでもすでに大御所になっていたチックと共演しても一歩も引いていない。そこに大物の片鱗が窺える。一方のチックもここでは当時にしては珍しいほど過激なプレイで迫ってくる。

24.『山下洋輔/バンスリカーナ』A

★哀愁の名曲〈バンスリカーナ〉が心に滲みる
 ヨーロッパで絶大な人気を博していた時代に残された山下のソロ・ピアノ集。オリジナルとスタンダードを取りあげて、彼にしては比較的メロディックなプレイを聴かせてくれる。とはいえ、そこは山下こと。最初は穏やかに弾いていても、徐々に熱気をはらんで演奏は熱く燃えあがる。スポーツを終えたあとのようにさわやかな激情のほとばしりもこのひとの持ち味だ。翳りを帯びた美しいメロディのタイトル曲に山下の本質が窺える。



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