ジャズ名盤講座第33回「Enja+Steeplechase」Enja24選!Steeplechase24選!

2019年 4月 19日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Steeplechaseの魅力を味わう名盤24選




大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ナット・アダレイ/ドント・ルック・バック』D

★ナットが久々に実力を発揮
 ナットは兄キャノンボールの影に隠れ、なかなか真価が評価されなかったが、この吹き込みあたりから歌心に優れたコルネット奏者との認識が強まった。そういう意味で彼にとっては記念すべきアルバムではないだろうか。ニューヨークの精鋭に囲まれたこの作品で、彼は情感豊かに演奏を綴っていく。肩から力が抜けリラックスした演奏を通し、ユーモラスかつ表情豊かなプレイをナットが示す。これこそ彼の人柄にも通じる素敵な個性だ。

2.『ジョー・オーバニー/バードタウン・バーズ』E

★オーバニーの復活にも驚かされた
 スティープルチェイスの記念すべき第1回新譜として、ジャッキー・マクリーンの『ライヴ・アット・モンマルトル』、ケニー・ドリュー&ニルス・ペデルセンの『デュオ』と同時に発売された作品。オーバニーは白人ビバップ・ピアニストとして知られているが、わずかな吹き込みを残して消えていった。その彼が見事に復活し、トリオで素晴らしいビバップ・プレイを聴かせる。マクリーンの再浮上以上に驚いたファンも多かったはずだ。

3.『チェット・ベイカー&ポール・ブレイ/ダイアン』B

★リリシズムがほとばしる名盤
 スティープルチェイスにはさまざまなデュオ作品が残されている。中でもベイカーとブレイの共演はちょっと予測がつかないほど異色の顔合わせだ。しかし演奏では実に見事な協調を示してみせる。どちらも内省的なプレイに真価を発揮するタイプだけあって、インタープレイというよりは両者の持ち味が個性を際立たせた演奏で互いを触発していく。そこにジャズの持つスリリングかつクリエイティヴな展開を認めることができる。

4.『アンソニー・ブラクストン/イン・ザ・トラディション Vol.1』E

★ブラクストンが原点回帰した作品
 ハード・バップ御用達レーベルのように思われているが、スティープルチェイスは初期の時期からフリー・ジャズ派も積極的に起用していた。その代表格がチック・コリアとのサークルで大きな話題を呼んだブラクストン。ただし、そこはスティープルチェイスのこと。彼に〈ジャスト・フレンズ〉や〈ラッシュ・ライフ〉などのスタンダード、あるいは〈オーニソロジー〉といったビバップ・チューンを演奏させているところがミソだ。

5.『ポール・ブレイ〜NHOペデルセン』E

★のちの演奏を予感させるブレイの野心作
 初期に出されたスティープルチェイス作品の中では異色の1枚。懐かしのハード・バッパーの諸作に混ざって発売されたこのアルバムは、しかしながらブレイの新しい一面にスポットライトをあてていた。フリー・ジャズ派のピアニストと考えられていた彼が実は叙情味に溢れた印象派のようなプレイを全編で披露していたからだ。レーベルのハウス・ベーシスト的存在のニルス・ペデルセンと組んだデュオは思索的な内容が光っている。

6.『ケニー・ドリュー&ニルス・ペデルセン/デュオ』A

★スリリングかつハート・ウォームなデュオ
 ドリューとペデルセンのデュオは、ジャズのみならずフォーク・タッチの響きにも魅力があった。その記念すべき1作目のこの作品では、彼らがたったふたりでスケールの大きなプレイを繰り広げる。無類の歌心を表出させるドリューに超絶技巧で応じるペデルセン。両者の丁々発止としたプレイからはジャズの魅力がさまざまな形で提示されていく。最小のユニットで最大の効果を発揮したチームによる傑作だけに、聴くたび胸を打たれる。

7.『ケニー・ドリュー/ダーク・ビューティ』A

★ドリュー・トリオの魅力が全開
 日本で人気抜群のドリューが残したピアノ・トリオの傑作。現在の人気は, この時代に彼がスティープルチェイスで良質な作品を多数吹き込んでいたことが遠因になっている。ドリューはニルス・ペデルセン、アル・ヒースという相性のいいサイドマンを得て、見事なピアノ・ジャズを披露する。リリシズム溢れる演奏はほどよいハード・バピッシュなタッチとともに極めてあたたか味に溢れたロマンの香りもほとばしらせ、見事の一語だ。

8.『スタン・ゲッツ/ライヴ・アット・モンマルトル』A

★クール派のゲッツが熱く燃えたライヴ
 ゲッツが50歳の誕生日を祝うため、コペンハーゲンの「ジャズハウス・モンマルトル」に戻ってきた。ボサノヴァで一世を風靡した彼が、その後のスランプを乗り越え、再び本格的な活動を開始した姿をとらえているのがこの作品だ。レギュラー・カルテットを率いてかつての本拠地で悠然とプレイする姿からは、円熟期にさしかかったヴェテランの味わいというより、いまだフレッシュで創造的な演奏を追求している姿が窺われる。

9.『デクスター・ゴードン/ザ・シャドウ・オブ・ユア・スマイル』B

★悠然としたゴードン節が痛快に響く
 ゴードンは多数の快作をスティープルチェイスで残している。中でも地元ミュージシャンと組んで吹き込んだこの作品は、朗々としたテナー・プレイを記録している点で彼の代表作だ。「我が道を行く」風の泰然自若としたゴードンのプレイは独特のサウンドとともに見事な説得力も伴っている。個性的なテナー・サウンドによるフレーズが次から次へと飛び出してくるこのアルバムは、彼の真骨頂を見事に収めた1枚としても見逃せない。

10.『デクスター・ゴードン/バウンシング・ウィズ・デクス』B

★ゴードンとモントリューが共演
 ゴードンといえば朗々とした響きのブローに魅力がある。その彼と盲目のピアニスト=テテ・モントリューが久々の再会を果たした。かつてコペンハーゲンの「モンマルトル・ジャズハウス」で共演した日々がふたりの脳裏をよぎったのだろうか。このクラブで歴史的な名演を繰り広げた伝説がここに再現された。名手ビリー・ヒギンズとニルス・ペデルセンの好演もふたりのプレイを盛りあげる。これぞいつまでも心に残る名作だ。

11.『ジョニー・グリフィン/ブルース・フォー・ハーヴェイ』A

★グリフィンもこの作品で再評価された
 盟友のデクスター・ゴードンとともにスティープルチェイスで素晴らしい演奏を聴かせてくれたのがグリフィン。こちらもヨーロッパで充実したライヴ活動を行なっていたにもかかわらず、レコーディングの面では恵まれていなかった。そのうっぷんを晴らすかのようにここではご機嫌な《リトル・ジャイアント》ぶりが繰り広げられる。豪快でスピーディなプレイは1950年代のブルーノート作品のようだ。そこがファンには堪らない。

12.『アンドリュー・ヒル/ディヴァイン・レヴェレーション』E

★ヒルが独特の音楽性を披露
 初期のスティープルチェイスで異彩を放っていたのがヒルの作品。こちらは『インヴィテーション』に続いて発表された2作目で、前作がピアノ・トリオで吹き込まれていたのに対し、ホーン入りのカルテット作品になっている。ヒルの場合、カルテットくらいの編成がその真髄を味わうのに一番いい。ここでもフリー・ジャズに通ずる奔放なプレイで己の情念を燃やしてみせる。難解な演奏だが、聴いたあとに爽やかな気分になれる。

13.『シャーリー・ホーン/ア・レイジー・アフターヌーン』E

★隠れた名シンガー、ホーンによるご機嫌な1枚
 その後にヴァーヴから話題作を連発して正当な評価を受けるようになったホーンだが、元来は地味なシンガー/ピアニストだけあって、この作品でも派手な部分はない。淡々と弾き語りをしていく中で、彼女は歌の世界を聴き手に伝えていく。ドラマチックに歌うわけではないが、抑制された表現からは却って強い説得力を覚える。独特の世界を示している点でもホーンは抜群の才能を示す。まことに得難いシンガー/ピアニストだ。

14.『クリフォード・ジョーダン/ファーム・ルーツ』E

★ジョーダンが堂々たる快演を聴かせる
 ハード・バップ再評価の機運を高めたスティープルチェイスが自信を持って発表した作品。ジョーダンもこのレーベルがなければ埋もれたままで終わったかもしれない。久々に聴いた彼のプレイは豪快で強力無類。ソニー・ロリンズとデクスター・ゴードンをかけ合わせたようなプレイは風格さえ感じさせる。バックを固めるのがシダー・ウォルトン〜サム・ジョーンズ〜ビリー・ヒギンズのレギュラー・トリオであることも彼には幸いした。

15.『デューク・ジョーダン/フライト・トゥ・デンマーク』A

★この作品でジョーダンが再浮上した
 北欧の地でジョーダンは再びかつての創造性を取り戻した。そこはかとなく漂う哀愁味とブルージーな歌心。それらがヨーロッパの空気と溶け合って魅力的な花を咲かせる。不遇を託つていた1960年代との決別。そして新たな旅立ちを記録したこの作品は、ジョーダンの最高傑作として永遠のベストセラーとなった。穏やかなタッチの中に宿る誠実な響き──そこにあらゆるジャズ・ファンを魅了してやまない彼の姿が認められる。

16.『リー・コニッツ/アイ・コンセントレイト・オン・ユー』E

★コニッツが優れたデュオを聴かせる
 不遇を託つていたミュージシャンといえばコニッツも代表格のひとり。本作を吹き込んだ時期の彼は完全に復調してレコーディングも行なっていた。とはいえそれほど頻繁なものでなかったため、スティープルチェイスから作品が出たときはやはり喜んだファンが多かった。このスティープルチェイス1作目はレーベルが売りものにしていたデュオ・シリーズの1枚で、彼と組むのはレッド・ミッチェル。クール派の面目躍如たる内容である。

17.『ジャッキー・マクリーン/ライヴ・アット・モンマルトル』A

★記念すべきスティープルチェイスの第1作
 マクリーンにとってブルーノートでレコーディングした『デーモンズ・ダンス』以来6年ぶりの新作となったこのアルバムは、ライヴの熱気を孕んだ異常なまでの高まりが聴くものを圧倒する。一時フリー・フォームのプレイにも傾きかけていた彼が、ここでは正統的なハード・バップで勝負してみせる。その心意気と演奏の潔さにジャズの持つヴァイタリティが合わさったことで、本作はマクリーンの楽歴を代表する永遠の傑作となった。

18.『ジャッキー・マクリーン&デクスター・ゴードン/ザ・ミーティング』B

★大物同士のサックス・バトルが堪能できる
 タイトル通りサックスの2大巨人の出会いを記録したライヴ・アルバム。ともにかつてはブルーノートの看板アーティストだったことを思うと、それだけでなにか熱いものが込みあげてくる。それは両者の心の中にもあったようで、ここではホットな共演が展開され、ファンの耳を釘づけにしてしまう。ふたりとも個性的なプレイヤーだけに、丁々発止とした演奏の中で個性を競い合うところが聴きもの。なお本作には続編もある。

19.『テテ・モントリュー/テテ・ア・テテ』A

★ヨーロッパを代表する名ピアニストの名盤
 独特のタッチと表現で知られる盲目のピアニスト=モントリューがトリオを率いてジャズのルーツと出身地カタロニアのテイストを融合させる。陽気で切ないタッチはまさにこのひとならではのもの。そこはかとなく漂う哀愁が強力なプレイに溶け込む。そこに他の追随を許さぬ個性が息づいている。不遇に甘んじていた時代に別れを告げたヒット作であると同時に、テテのピアニストとしての魅力も目いっぱいに追求された忘れ難い1枚。

20.『ホレス・パーラン/アライヴァル』E

★パーランの復活もレーベルの功績だ
 幻の名ピアニスト、パーランもこのレーベルで見事な復活を遂げたひとり。デューク・ジョーダンと同様に彼も日本ではその消息が伝わっていなかった。なんの前触れもなくこのアルバムが登場したときは小躍りして喜んだものだ。ブルーノートからアルバムを発表していた時代のハード・バピッシュなプレイが甦っている。おまけにもうひとりの幻のプレイヤー、アイドリース・スリーマンまで参加していたのだからびっくりだ。

21.『ジミー・レイニー〜ダグ・レイニー/ストールン・モーメンツ』B

★親子共演によるギターの名盤
 実力派ギタリストのジミーの作品を発表したこともスティープルチェイスの功績だ。おまけに息子のダグもデビューさせて育てていったことも評価に値する。この親子共演作は何枚かスティープルチェイスで残されているが、最初に登場したカルテットによる本作が内容的に一番優れている。クール派に通ずるジミーと瓜ふたつのプレイで迫るダグ。その実力に驚かされる。穏やかなプレイの奥に隠された優れた音楽性にも感嘆させられた。

22.『アーチー・シェップ/ルッキング・アット・バード』D

★スタンダードを演奏してもシェップは創造的
 近年のシェップからは、牙をむくような挑戦的な姿勢が影を潜め、少々の物足りなさを覚えているファンも多いだろう。けれど、この作品ではスタンダードを演奏しながらも彼が60年代に示したあの野心的で冒険心溢れたユニークな世界を再現してみせる。以前のようなフリー・フォームで演奏しているわけではない。しかし、ここには紛れもなくあらゆる規制から開放されたシェップがいる。彼につき合うペデルセンのプレイも創造的だ。

23.『アイドリース・スリーマン/ナウ・イズ・ザ・タイム』E

★過小評価されていたスリーマンによる快作
 日本では消息も不明だった数々の名手を復活させたのがスティープルチェイスである。このスリーマンもほとんどリーダー・レコーディングを残さずに過小評価されていた。その彼に、シダー・ウォルトン〜サム・ジョーンズ〜ビリー・ヒギンズのご機嫌なトリオを組み合わせたのが本作。企画はイージーだが、それが却ってスリーマンの魅力を引き出すことに繋がった。派手なところはないが、いぶし銀のような渋さが円熟味を感じさせる。

24.『シダー・ウォルトン/ファースト・セット』E

★バーグの参加に注目したい
 人気ピアニスト、ウォルトンのカルテットによるライヴ作品。のちにマイルス・バンドに入って注目されたボブ・バーグの参加が目を引く。当時の彼は極めてオーソドックスなプレイに徹しており、コルトレーン派のテナー・プレイが本作の大きな聴きどころになっている。ウォルトン以下のリズム・セクションも見事なインタープレイを示し、充実したグループ・サウンドを聴かせてくれる。なお、本ライヴは3集まで発表されている。




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