ジャズ名盤講座第34回「Capitol編」Capitolの魅力を味わう名盤ビギナー向け24選!マスター向け24選!

2019年 4月 26日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Capitolの魅力を味わう名盤 マスター向け24選




大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『アナ・マリア・アルバゲッティ/アイ・キャント・レジスト・ユー』E

★《ヴォーカルの宝庫》ならではの隠れた名盤
 かなりのジャズ通でもアルバゲッティの名は知らないだろう。ローマ生まれで13歳のときにアメリカに渡り、その年に「カーネギー・ホール」の舞台に立ったキャリアの持ち主である。ジャジーな歌唱とは違いクラシック的な歌い方に特徴があるため、彼女のことはほとんどジャズ・ファンの間で話題にのぼらない。しかしここではチャーミングなソプラノ・ヴォイスで〈テンダリー〉や〈トゥ・ヤング〉などのスタンダードが歌われる。

2.『ローリンド・アルメイダ/ギター・フロム・イパネマ』D

★隠れたボサノヴァの名盤
 ブラジル出身のギタリストとしてウエスト・コースト・ジャズ・シーンで異色の活躍を残していたアルメイダ。その彼が本領を発揮すべくボサノヴァにアプーローチしたのがこの作品。口笛で切ないムードを演出してみせる〈イパネマの娘〉をはじめ、ボサノヴァの名曲やアルメイダのオリジナルがウエスト・コースト・サウンドの中で演奏されていく。ウエスト・コースト・ジャズとボサノヴァの相性が抜群にいいことも証明した1枚。

3.『ジョージ・オールド/サックス・ゴーン・ラテン』


★ポピュラー派がジャズで実力を発揮
 ジャズ・サックス奏者というよりムード・ミュージックやポピュラー・ミュージックで評判を集めたジョージ・オールドはジャズ・プレイヤーとしても一流の腕前を持っていた。その彼がラテン風味を効かせた演奏で実力を披露する。よく歌うフレーズはポピュラー畑で鍛えたもの。持ち前のノリのよさがラテン・ジャズに溶け合う。〈ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー〉のチャーミングなプレイなどに味わいが滲み出ている。

4.『イヴ・ボスウェル/ザ・ウォー・イヤーズ』


★英国の人気シンガーによるトーチ・ソング集
 生粋のジャズ・ヴォーカルではないが、ジャジーなポピュラー・シンガーとして知られているのがイヴ・ボスウェル。イギリスで活躍した50年代の人気シンガーである。その彼女が、戦時中に歌われたラヴ・ソング、すなわちトーチ・ソングの数々を集めて歌ったのがこのアルバム。センチメンタルな歌にボスウェルの魅力と表現力が溢れている。とくに〈アイル・ビー・シーイング・ユー〉の切ない歌唱は群を抜く魅力を放っている。

5.『ジョー・ブシュキン/ア・フェロー・ニーズ・ア・ガール』

★ブシュキンの趣味のいいプレイに満足
 ブシュキンをジャズ・ピアニストと断言するのは難しい。ムード・ミュージック系のピアニストがジャジーなタッチを聴かせる。そんなところにこのひとの持ち味がある。ただしこのアルバムはかなりジャジーだ。爽やかで小気味のいいタッチはメロディ・ラインの美しい曲で効果を発揮する。〈ジーズ・フーリッシュ・シングス〉や〈ドント・ブレイムー・ミー〉での物憂げなプレイも印象的。名手が名曲と出会った幸福を感じさせる1枚。

6.『サージ・チャロフ/ボストン・ブロー・アップ』B

★迫力満点のバリトン・サックスが唸る
 チャロフの作品は数が少ないだけにどれをとっても貴重なものばかりだ。とりわけこの作品は『ブルー・サージ』と並んで彼が全貌を現したアルバムとしてファンの間では以前から評判が高かった。3管セクステットの編成は、チャロフの迫力あるプレイをさらに際立たせている。アンサンブルから抜け出たバリトン・サックスの豪快な響きと、この楽器であることをしばし忘れさせてしまうような超絶技巧がなんとも素晴らしい。

7.『ジューン・クリスティ/ジューン・ガット・リズム』B

★クリスティの洗練された歌唱が魅力
 白人ジャズ・シンガーの中でも最高峰のひとりと呼ばれたクリスティがその魅力を最大限に発揮したアルバム。清楚で洒落た感覚のヴォーカルはウエスト・コースト派ミュージシャンの伴奏によっていっそうの魅力を増す。夫君ボブ・クーパーのアレンジも冴えわたり、まさに彼女の魅力が全開で発揮された作品となった。〈スイングがなければ〉をはじめ、いつになくスインギーな歌いっぷりが痛快な響きを表出したクリスティの代表作。

8.『ナット・キング・コール/ヴォーカル・クラシックス&ピアノ・クラシックス』A

★ヴォーカルとピアノで豊かな才能を発揮
 ナット・コールがシンガーとしてもピアニストとしても全盛時代を極めていたのは40年代前半から後半にかけてのこと。のちにポピュラー・シンガーに転進して世界的な人気者になる彼だが、この時代はジャズの世界で持ち味を存分に発揮していた。代表的なヴォーカル・ナンバーはすべてこの時期に録音され、それらを網羅した決定版がこの作品。加えて、CD化に際してはピアニストとしても素晴らしさを伝える作品をカップリング。

9.『フォア・フレッシュメン/フォア・フレッシュメン&5サクシーズ』

★コーラスと演奏のバランスが最高
 キャピトルで『5トロンボーンズ』という大ヒットアルバムを残したフォア・フレッシュメン。そこで、柳の下にいる二匹目のドジョウを狙ってこのアルバムは吹き込まれた。今度はサックスが5本。こちらの出来も素晴らしい。彼らのモダンなコーラスが魅力的なことは当然として、フィーチャーされるボブ・クーパー、デイヴ・ペル、バド・シャンクといったウエスト・コーストの名サックス奏者による達者なプレイにも満足できる。

10.『ベニー・グッドマン/イン・ハイ・ファイ』D

★懐かしの名曲を高音質で
 キャピトルから何枚か出た《ハイ・ファイ・シリーズ》は往年のヒット曲をハイ・フィデリティ(高音質)録音で再演する内容で、オリジナル・ヴァージョンに準じた演奏が聴けることからいまでは珍企画のひとつと呼ばれている。ただし見過ごせない内容のものもいくつかって、その筆頭がこの作品だ。懐かしいメンバーが参加しているところも要注目で、スイング時代に大人気を博した〈レッツ・ダンス〉などがご機嫌な音質で甦る。

11.『ジャッキー・グリースン/ミュージック、マティーニ&メモリーズ』E

★BGMとして聴いても最適な好盤
 日本では人気と縁遠いグリースンだが、アメリカではオーケストラ・リーダーとしてテレビのトーク・ショウにもよく出ていた人気者。ジャズ・オーケストラというよりダンス・バンド的なポジションにいたため、シリアスなジャズを好む日本のファンには注目されなかった。しかしこの作品は見過ごせない。〈アイ・ガット・イット・バッド〉から始まり〈タイム・オン・マイ・ハンズ〉で終わる12曲。流麗な展開がなんとも心地よい。

12.『ボビー・ハケット/ザ・ボビー・ハケット・カルテット』E

★スインギーなモダン派の面目躍如たる1枚
 スインギーなジャズで独特の風格を感じさるのがこの作品のハケット。明快なフレージングが歌心とマッチして、初心者にも楽しめるジャズが展開される。バックを固めるのはピアノのデイヴ・マッケンナ以下、スインギーなプレイが得意なモダン派ピアノ・トリオ。彼らのバックを得て、ハケットがシンプルで歌心に溢れたジャズを聴かせる。とくにご機嫌なのが〈スイングしなけりゃ意味ないね〉。ここに彼の魅力が集約されている。

13.『ディック・ヘイムス/ムーン・ドリームス』

★シナトラ・タイプのシンガーによる作品
 キャピトルには日本のファンにあまり馴染みのないシンガーの作品が多い。これもそんな1枚。フランク・シナトラで大ヒットを連発していたことから起用されたのがシナトラ・タイプのシンガーであるこのヘイムス。シナトラより歌はうまいかもしれない。情感も漂う歌唱はうまくやればスターになれたと思う。しかしふたり目のシナトラをファンは必要としなかった。この才能がいつの間にか消えてしまったことが残念でならない。

14.『ウディ・ハーマン/アーリー・オータム〜セカンド・ハード』B


★ハーマンの歴史的名演を集大成
 SP時代に残された名演をLP化したアルバム。重要なのは、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、サージ・チャロフたちをサックス・セクションに擁したセカンド・ハード時代の吹き込み。彼らは《フォア・ブラザーズ》としても人気を博し、とりわけ〈アーリー・オータム〉はハーマン・オーケストラ最大の収穫といっていい。モダン・ジャズ=ビバップ時代の初期から中盤にかけて残された演奏の数々は歴史的に見ても貴重なものばかり。

15.『ジューン・ハットン/アフターグロウ』E

★編曲は夫のアクセル・ストーダルが担当
 人気コーラス・グループ、パイド・パイパーズのメンバーだったハットンが58年に吹き込んだソロ・アルバム。ただし、バックにはボーイズ・ネクスト・ドアなるコーラスがついている。まだ単独でアルバムを録音することに自信がなかったのかもしれない。完全なソロ・ヴォーカルが聴きたい気持ちはあるが、しかしなかがらこの共演は見事に功を奏した。ハットンの美声が男性コーラスの中でひときわ輝きを放っているからだ。

16.『ハリー・ジェイムス/イン・ハイ・ファイ』B

★ヒット曲を最新の技術で再録した名盤
 スイング・ジャズの全盛期に一世を風靡したトランペッターがジェームス。その彼がかつてのヒット・ナンバーを先端技術によってレコーディングし直したのがこの作品。名シンガー、ヘレン・フォレストが歌う〈昔聞いた歌〉や〈ビギンニグ・トゥー・シー・ザ・ライト〉、ボブ・マリオのヴォーカル・ナンバー〈マイ・サイレント・ラヴ〉などをフィーチャーした楽しいアルバムながら、オーケストラ作品としても一級の内容になっている。

17.『ハンク・ジョーンズ/ポーギーとベス』C

★ヒット・ミュージカルのご機嫌なジャズ化
 名ピアニストのジョーンズがブロードウェイで大ヒットしたミュージカル『ポーギーとベス』から曲を選んでレコーディング。作曲がジョージ・ガーシュインだけに、〈サマータイム〉をはじめとしてこのミュージカルで紹介された曲はどれもジャズにアダプトしやすい。それゆえ、多くのジャズ・ミュージシャンやシンガーがこのミュージカルに題材を求めてきた。中でもジョーンズのヴァージョンは内容の優れている点で上位に位置する。

18.『ペギー・リー/ミンク・ジャズ』C

★ミンクのようにゴージャスな作品
 ペギーの魅力はお洒落でリッチなヴォーカルにある。のちにポピュラー・シンガーとして絶大な人気を誇るようになるが、ジャズ・シンガーとして確たる地位を築いていた本作収録の時代にもそうした特徴は認められた。この作品でも彼女のゴージャスな歌唱が最高の魅力を発揮する。ベニー・カーターが編曲したオールスター・オーケストラをバックにしたヴォーカルはまさにアルバム・タイトル通り、高級なミンクの味を思わせる。

19.『スー・レイニー/ホエン・ユア・ラヴァー・ハズ・ゴーン』E

★17歳で吹き込んだデビュー・サルバム
『雨の日のジャズ』によって日本でも人気を誇るシンガーのレイニーだが、それ以外の作品はあまり知られていない。しかしこの作品は『雨の日のジャズ』と同等の素晴らしさを誇っている。実はこちらが初のアルバムで、吹き込んだのは彼女が17歳のとき。若々しいジャズ・ヴォーカルだがすでにしっとりとした味わいも感じさせる。ジャケット写真のレイニーはいかにも高校生然としているが、黙って聴けばかなりの成熟さも味わえる。

20.『ジョージ・シアリング/ジャズ・モーメンツ』E

★当時としては珍しいシアリングのトリオ作
 シアリングといえばクインテット編成による演奏が有名だが、このトリオ作品はレギュラー・ユニットから離れピアニストとしての真髄をタップリ聴かせてくれる。彼は歌心に優れたところがあり、スインギーな演奏の中でメロディックなプレイを綴っていく。聴きものは〈恋とは何でしょう〉や〈ホワッツ・ニュー〉などのスタンダードだが、自作の〈9/4拍子のブルース〉ではデイヴ・ブルーベックばりの変拍子ジャズにも挑戦している。

21.『ダイナ・ショア/ダイナ・シングス・プレヴィン・プレイズ』E

★ふたりが息の合った共演を繰り広げる
 のちにクラシックの指揮者として世界的な名声を博すアンドレ・プレヴィンはジャズ・ピアニストとして有能であるばかりか、趣味のいい伴奏者としてもシンガーの間で高い人気を誇っていた。その彼が持ち前の柔軟性を発揮してショアのバックで見事なサポートとソロを聴かせてくれる。ショアは生粋のジャズ・シンガーというよりポップス・オリエンテッドなシンガーである。その持ち味を巧みに引き出したプレヴィンのプレイが見事。

22.『キャロル・シンプソン/オール・アバウト・キャロル』E

★独特の弾き語りで聴く者の心をとらえる
 シンプソンはキャバレー・シンガーとして全米の有名ナイト・クラブで高い人気を誇ってきた。それだけに彼女の弾き語りはジャズやポピュラーの枠を超え、多くのファンに愛されている。ジャジーなセンスが抜群のところから、この作品ではジャズのスタンダードを中心にレパートリーが構成されている。とはいっても、そこは彼女の持ち味に繋がっているが、派手な曲はほとんどない。渋くてロマンチック。それが魅力だ。

23.『フランク・シナトラ/イン・ザ・ウィー・スモール・アワーズ』A

★達者なバラード・シンガーによる快作
 シナトラは一般的な基準で考えたら決してテクニックに優れたシンガーではなかった。しかし表現力の点で他の追随を許さぬ個性を持っていた。とくにバラードを歌わせたらこのひとの右に出る者はいない。彼が敬愛を込めて《ザ・ヴォイス》と呼ばれるのはそれが理由だ。そのことを誰にもわかりやすい形で示したのがこのバラード集。センチメンタルな心情を綴ったバラードで構成されたこのアルバムはシナトラならではの1枚だ。

24.『ポール・スミス/クール・アンド・スパークリング』E

★聴きやいピアノならこのひとが一番
 スミスは瀟洒なタッチと平易な表現によって人気を獲得したピアニスト。ゴリゴリのジャズは演奏しないし、一歩間違えればカクテル・ピアノのようにもなりかねない。ギリギリの線でジャズ・ピアノの位置を保っているところがこのひとの魅力だ。こういう路線のジャズ作品がキャピトルには多い。だからジャズ・ファンだけでなくポピュラー・ミュージック・ファンからもこのレーベルは支持されたのである。これはその代表的な1枚。





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