ジャズ名盤講座第35回「Roost+Roulette編」Roostの魅力を味わう名盤14選!Rouletteの魅力を味わう14選!

2019年 5月 3日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Roostの魅力を味わう名盤14選




大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『スタン・ゲッツ/チェンバー・ミュージック&スプリット・キック』B

★サイドマンの人選も魅力的
 スタン・ゲッツが若き日にルーストで残した2枚の10インチ盤をカップリング。有名なのは『スプリット・キック』だが、これら2作は1950年から翌年にかけて残れた5つのセッションを分配することでリリースされているから、ここにカップリングされたことでそれらが集大成されたことになる。興味深いのは、早くもクール派のテナー・サックスが魅力を発揮しているゲッツのバックでホレス・シルヴァーが演奏しているところか。

2.『スタン・ゲッツ/ザ・サウンド』A

★クール・テナーによる最良の演奏が聴ける
 評価はわかれるかもしれないが、本作をスタン・ゲッツの最高傑作と呼ぶひとは多い。筆者もそのひとりで、それは一にも二にも抑制された表現がドラマチックな雰囲気を醸し出すからだ。クール・テナーの最良の演奏がここに記録されていることはいうまでもない。その上で、アル・ヘイグとホレス・シルヴァーというビバップを理解したピアニストがそれぞれ最善のプレイでゲッツをサポートする。グループのサウンドも素晴らしい。

3.『スタン・ゲッツ/アット・ストーリーヴィル』A

★クールでホットな歴史的ライヴが記録された
 クールなプレイで一世を風靡していたスタン・ゲッツだが、ライヴの場では意外なほどホットなプレイを聴かせてくれた。とはいっても、この傑作を聴けばわかるように、あくまで抑制された表現は守られている。どんなときでもゲッツのプレイは自身の内面を見つめるような知性を感じさせた。それがクールな響きを生み出していたと思うが、そのことは聴衆を前にしたときでもほとんど変わらない。そこがこの作品最大の聴きどころ。

4.『ビヴァリー・ケニー/シングス・フォー・ジョニー・スミス』D

★名シンガーによる隠れた好盤
 通好みのシンガーとして根強い人気を誇るビヴァリー・ケニー。これは1955年に彼女がニューヨークで吹き込んだ隠れた名盤として知られるもの。ジョニー・スミスが加わっていることからギター・ファンも垂涎のアルバムとして知られている。ケニーは好んでジャズ・コンボとの共演作を残してきた。これもそんな1枚で、ジャジーな伴奏を得て魅力的な歌唱を繰り広げる。それにしても甘く優しい歌声は聴くものに強い印象を与える。

5.『ビヴァリー・ケニー/カム・スイング・ウィズ・ミー』E

★リラックスしたジャズ・ヴォーカルが聴ける
 ウディ・ハーマン楽団出身の名アレンジャー、ラルフ・バーンズ指揮・編曲のオーケストラを迎えて吹き込んだビヴァリー・ケニーの2作目。〈ギヴ・ミー・ザ・シンプル・ライフ〉、〈コートにすみれを〉、〈イフ・アイ・ワー・ア・ベル〉など、彼女が歌うとどんな感じになるか、そんな興味をそそられるレパートリーが並ぶ。夭逝したシンガーだけに残された作品の数は少ない。中でも本作はいつになくリラックスしたムードに溢れている。

6.『バド・パウエル/バド・パウエルの芸術』A

★ジャズ史に残る極めつきの名盤
 天才ピアニストとしてジャズ史に残る名演を残したバド・パウエル。ただし精神的な病もあって絶頂期はそれほど長く続かなかった。とりわけ本作に収録された1947年吹き込みの8曲はモダン・ジャズの長いヒストリーにおいて残された傑作の中でも最上位のひとつに数えられる。閃きに富んだフレーズと強烈なタッチ。ビバップの真髄が息づいたプレイは多くの後続するピアニストばかりでなくあらゆる器楽奏者に強い影響を与えた。

7.『セルダン・パウエル/セルダン・パウエル・プレイズ』D

★パウエルが残した隠れた名盤
 セルダン・パウエルはオーケストラ畑を中心に活動してきたため残されたリーダー作が極端に少なく、それもあって日本では過小評価されている。しかしこのアルバムが吹き込まれたことで、彼の名は良心的なジャズ・ファンの間で永遠に心に刻まれることになった。ここではカウント・ベイシー・オーケストラのコンボ版を思わせるサウンドとアンサンブルを得て、パウエルが持ち前のスインギーで歌心に溢れたブローを繰り広げる。

8.『ルース・プライス/シングス・ウィズ・ジョニー・スミス』E

★ジャジーなプライスの歌が聴けるデビュー作
 ルーストに数多くのリーダー作を残したジョニー・スミスはこのレーベルのハウス・ミュージシャンとしても多くのレコーディングに参加している。中でもほとんど知られていないのが、新人シンガーとしてリーダー・レコーディングに抜擢されたルース・プライスのこのアルバム。18歳になったばかりのときに吹き込まれたものだけに、のちの堂々とした歌唱に比べると初々しい。それでも感性豊かな表現は並みの新人とはまったく違う。

9.『ジーン・クイル/3ボーンズ・アンド・ア・クイル』B

★名手クイルが残した代表的な意欲作
 白人アルト・サックス奏者にしてチャーリー・パーカー派のジーン・クイルはレコーディングの数が少ないだけに《幻のミュージシャン》的な存在だ。その彼が、ここではジミー・クリーヴランド、フランク・レハク、そしてジム・ダールというトロンボーン奏者3人とご機嫌なアンサンブルを組んで颯爽たるプレイを聴かせてくれる。クイルはこの時点で白人アルト・プレイヤーの中で傑出した存在だった。その強烈な個性が印象に残る。

10.『ジョニー・スミス/ヴァーモントの月』A

★クール派ギタリストによる最高の1枚
 ジョニー・スミスはチャーリー・クリスチャンから影響を受けたギタリストのひとりだが、クールな響きも重ねることで独自のスタイルを築きあげた。その真骨頂を聴かせてくれるのが最高傑作の呼び声が高いこのアルバム。共演者のスタン・ゲッツもクール派のテナー・サックス奏者だし、同じくテナー・サックスを吹くズート・シムズもクール派のレッテルこそ貼られていないもののホットな演奏とは一線を画した響きの持ち主だ。

11.『ジョニー・スミス/マイ・ディア・リトル・スイートハート』E

★スミスが残した隠れた快作
 ジョニー・スミスはシンプルなフレージングに持ち味がある。その魅力を最大限に引き出してみせたのがアーウィン・コスタルが指揮を取ったオーケストラとの共演盤であるこの作品。クール派のスミスだがここでは穏やかな表現が心地よい。多分にオーケストラのサウンドが影響しているが、ゆったりしたプレイを中心にそこそこ超絶的なテクニックを配したパフォーマンスがこのひとの持ち味。それが優雅な響きの中で繰り広げられる。

12.『ソニー・スティット/ペン・オブ・クインシー』A

★クインシーのペンが冴えわたる
 クインシー・ジョーンズがアレンジャーとしてもっとも張り切っていた時代にソニー・スティットを主役に立てて素晴らしいレコーディングを行なった。フル・オーケストラから若干人数は少ない編成ながら、それでもバンド・サウンドは十分に重厚でかつスインギー。J.J. ジョンソン、ハンク・ジョーンズ、フレディ・グリーン、オスカー・ペティフォード、ジョー・ジョーンズなどで構成されたオーケストラの演奏も魅力いっぱい。

13.『ソニー・スティット/ソニー・スティット・プレイズ』B

★アルト・サックス1本で快演を展開
 ソニー・スティットはテナー・サックスを吹いたときよりアルト・サックスを吹いたときのほうが断然魅力的だ。この時期の彼は《チャーリー・パーカーのそっくりさん》といわることを嫌い、しばしばテナー・サックスを持ち替えで吹いていた。ところがこの作品はアルト・サックスに絞り、ギターを加えているものの、ワン・ホーンのクインテットでばりばりとホーンを吹いてみせる。この痛快で颯爽としたプレイは当時の彼ならでは。

14.『ソニー・スティット/ソニー・スティット&ザ・ニューヨーカーズ』A

★スティットがこの上なく充実した演奏を披露
 ほかにもソニー・スティットがルーストで録音した作品はあるが、今回紹介した3枚はいってみれば彼のキャリアを通じての《傑作三部作》と呼べるもの。この作品ではハンク・ジョーンズ〜ウェンデル・マーシャル〜シャドウ・ウィルソンのリズム・セクションを得て、スティットが主要楽器のアルト・サックスをばりばりと吹きまくる。どの演奏からもビバップの香りがぷんぷんと漂ってくるようで、本物ならではの味わいが堪能できる。




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