ジャズ名盤講座第35回「Roost+Roulette編」Roostの魅力を味わう名盤14選!Rouletteの魅力を味わう14選!

2019年 5月 3日 00:00 Category : Art

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ジャズ名盤講座

Rouletteの魅力を味わう名盤14選




大名盤=A 名盤=B 人気盤=C 裏名盤=D 推奨盤=E

1.『ピア・アンジェリ/イタリア』E

★清純派ヴォーカルが印象的
 これはルーレット盤の中でもかなり珍しい1枚。ピア・アンジェリは清純派の女優でもある。それだけに、彼女のヴォーカルも清純そのもの。決してうまいとはいえないが、そこが味といえば味だし、彼女最大の魅力になっている。とくに〈ルナ・ロッサ〉はこのアルバム最高の聴きものにして、アンジェリの名を忘れがたいものにしている名唱だ。カンツォーネが原曲だけにジャジーな要素は薄いが、切ない歌声が心に染み入る。

2.『カウント・ベイシー・オーケストラ/アトミック・ベイシー』A

★2度目の全盛期に吹き込まれた傑作
 カウント・ベイシー・オーケストラの魅力は迫力満点のブラス・アンサンブルと、ベイシーを中心にしたブルージーこの上ない演奏にある。とくにこのアルバムでは前者が強調されているだけに、いつになくダイナミックなサウンドを楽しむことができる。メンバーにも、サド・ジョーンズ、フランク・フォスター、フランク・ウエス、フレディ・グリーン、ソニー・ペインなど充実した顔ぶれが揃っている。まさに全盛期に残された傑作。

3.『カウント・ベイシー&トニー・ベネット/ストライク・アップ・ザ・バンド』B

★ベイシーとベネットが理想の共演を果たす
 カウント・ベイシー・オーケストラはルーレットでスター級のシンガーたちといくつかの共演作も吹き込んでいる。この時期のトニー・ベネットはしばしばベイシー・オーケストラをバックにライヴやレコーディングを行なっており、これもそうしたプロジェクトから生まれた1枚。当時のベネットはジャズ・シンガーとして活躍していた。歌のうまさは絶品で、オーケストラをバックに素晴らしいジャズ・シンガーぶりを披露してみせる。

4.『カウント・ベイシー・オーケストラ/イージン・イット』B

★ベイシー楽団によるフォスター作品集
 ルーレットに残されたカウント・ベイシー・オーケストラの作品はことごとく傑作の誉れが高い。楽団のテナー・サックス奏者で作・編曲家でもあるフランク・フォスターの作品にスポットライトをあてたこのアルバムからもベイシー・オーケストラの魅力が存分に味わえる。フォスターがベイシー楽団のために書いた大ヒット曲〈シャイニー・ストッキングス〉こそ含まれていないものの、タイトル曲はそれに匹敵する彼の名曲。

5.『タイリー・グレン/レッツ・ハヴ・ア・ボール』E

★トミー・フラナガンの参加が見逃せない
 オーケストラのトロンボーン・セクションで職人芸的なプレイを聴かせてくれたのがタイニー・グレン。有名どころではライオネル・ハンプトン楽団やデューク・エリントン楽団でいぶし銀のプレイを聴かせていた。とくに1940年から46年にかけて参加したキャブ・キャロウェイ楽団では看板トロンボーン奏者として活躍し、同時にヴァイブも演奏する器用さも発揮した。これはその彼による数少ないリーダー作にして代表作。

6.『アン・フィリップス/ボーン・トゥ・ビー・ブルー』D

★女性ならではの切なさを表現した好盤
 ルーストには隠れた名シンガー、それも女性シンガーの作品が数多く眠っている。これもそんな1枚。アン・フィリップスは1950年代にいくつかのコーラス・グループで活躍した実力派。その彼女に焦点をあてたこの作品には孤独や寂しさをテーマにした曲が並ぶ。とくにメール・トーメが書いたタイトル曲における表現は秀逸で、フィリップスがいかに優れたシンガーであるかを示している。しかし人気には無縁だったところが残念。

7.『バド・パウエル/リターン・オブ・バド・パウエル』C

★指はもつれるがこれも重要な1枚
 パリに移住していたバド・パウエルがニューヨークのシーンに戻ったのは64年のこと。そのときに吹き込まれたことからアルバム・タイトルはつけられた。当時の彼は、ピアニストとして決していい状態になかった。かつての天才ぶりは影を潜め、閃きに跳んだタッチも認められない。それでもビバップ・スピリットは健在だ。ときに溌剌としたタッチも交えながらの演奏はファンなら聴き逃せない。これもジャズのドキュメントだ。

8.『チコ・ランドール/リラキシン・ウィズ・チコ・ランドール』E

★弾き語りの名手が残したデビュー作
 チコ・ランドールことフランキー・ランドールが10代の後半に吹き込んだデビュー作。彼はフランク・シナトラの後継者とも呼ばれ、60年代には代表作の『アイ・リメンバー・ユー』を含む5作品をRCAで吹き込んでいる。その時代の歌声に比べると、この作品でのチコは若々しい。フレッシュなヴォーカルが魅力だが、合わせて弾き語りの名手としてもかなりの才能を示す。ピアニストとして聴いてもこの作品での彼はかなり魅力的だ。

9.『サラ・ヴォーン&カウント・ベイシー』C


★ルーレットを代表するスター同士の共演盤
『ノー・カウント・サラ』同様、この作品もカウント・ベイシー抜きのベイシー・オーケストラによる吹き込み。それでもベイシー・オーケストラの魅力的なメンバーが全員参加し、いかにもこのオーケストラらしいダイナミックな伴奏を聴かせてくれる。絶好調だったサラにとっても相手に不足はない。縦横無尽のヴォーカルにいっそうの磨きがかかり、ジャズ・ヴォーカルの真髄を聴かせてくれる。これぞルーレットならではの1枚。

10.『サラ・ヴォーン/アフター・アワーズ』B

★寛いだときのサラは凄い!
 サラ・ヴォーンが絶頂期に残した1枚。バックはギターのマンデル・ロウとベースのジョージ・デュヴィヴィエだけ。シンプルな伴奏だけで彼女が奔放なヴォーカルを聴かせる。それにしてもなんと表現力の多彩なことか。1曲目の〈マイ・フェイヴァリット・シングス〉から最後の〈バニティ〉まで、息をつく暇もないとはこのことだ。とくにエリントン・ナンバー〈ソフィスティケイテッド・レディ〉における秀逸な表現と歌唱力は圧巻。

11.『サラ・ヴォーン/ザ・ディヴァイン・ワン』A

★ルーレット時代を代表する名作
 ルーレット時代にサラ・ヴォーンが残した作品には1枚たりとも駄作がない。このアルバムではジミー・ジョーンズのグループにウッドウインズのアンサンブルを配した伴奏が彼女のヴォーカルを盛りあげる。その落ち着いたバックグラウンドがいつにも増してサラの歌唱に変化をもたらした。変幻自在の表現力を駆使してのパフォーマンスはときに穏やかに、そしてときにエモーション豊かに繰り広げられる。まさにこれぞ名盤中の名盤だ。

12.『サラ・ヴォーン&クインシー・ジョーンズ/ユーア・マイン・ユー』E

★人気者同士が5分と5分でわたり合う
 オールマイティのジャズ・シンガーがサラ・ヴォーンである。相手を選ばないというか、どんなミュージシャンだろうがどんな編成だろうが、常に最高のヴォーカルを聴かせてくれたのが彼女である。このアルバムではジャズのアレンジャーとして高い評価を受けていたクインシー・ジョーンズを迎え、彼のオーケストラがバックを務めている。『ウエストサイド物語』からの〈マリア〉など、このひとにしか表現できない歌が聴けるのも楽しい。

13.『ジェリー・サザーン/コーヒー、シガレッツ&メモリーズ』E

★ジャジーな雰囲気がサザーンの魅力を伝える
 独特の憂いを含んだヴォーカルで知られるジェリー・サザーンのルーレットにおける2作目。レニー・ヘイトン指揮のオーケストラをバックに歌う彼女は、弾き語りの名手としても知られているだけに表情に豊かなものが認められる。とくにこの作品ではジャジーな味わいが濃く、彼女を世に出した恩人で先輩のペギー・リーに通じるムードと歌唱が魅力だ。とりわけ〈イエスタデイズ〉のはかなげでいながら力強い表現はサザーンの独壇場。

14.『ジョー・ウィリアムス、ランバート・ヘンドリックス&ロス、カウント・ベイシー/シング・アロング・ウィズ・ベイシー』A

★豪華絢爛な共演アルバム
 ヴォーカリズの大御所、ランバート・ヘンドリックス&ロスにカウント・ベイシー楽団の専属シンガーだったジョー・ウィリアムスを加えた豪華ラインアップによる1枚。ベイシー・オーケストラのゴージャスな響きに乗って、4人のシンガーが丁々発止としたヴォーカルでジャズの名アドリブをヴォーカリーズする。ベイシー楽団のオハコ〈ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド〉や〈リル・ダーリン〉の見事さには脱帽する以外ない。




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