今週末見るべき映画「殯の森」

2007年 6月 22日 14:12 Category : Art

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 「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭カメラドールを受賞してから10年。このほどの第60回カンヌ国際映画祭で、見事グランプリを獲得した、河瀬直美監督作品「殯(もがり)の森」(組画配給)。


 静謐なたたずまいの映画である。茶畑の緑が風にそよぎ、深い森にはゆったりとした時間が流れている。妻を亡くした認知症の初老の男。子供の死をきっかけに離婚、介護士として人生をやり直そうとする女性。愛する者の死に立ち会い、それぞれが心の傷を抱えている。認知症のグループホームで、ふたりは出会い、深い森に踏み入ることになる。

 美しい映像が続く。ほとんどが自然の音。後半の森の中では、セリフもほとんどない。森のなかをさまよいながら、命と命が寄り添い、抱き合う。残された命どうしが交錯する。森はなにひとつ変わらず、そこにあり続ける。

 タイトルの「殯(もがり)」とは、”敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間のこと また、その場所の意 語源に「喪あがり」 喪があける意、か。”

 これは、見た人それぞれが、命について、生きる意味について、自らに問いかける映画であるかもしれない。日本の映画は、今、やっと河瀬直美という希有な作家を持った。撮り続ける環境があることを願う。

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