今週末見るべき映画「ユゴ 大統領有故」

2007年 12月 14日 10:50 Category : Art

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 1979年、当時の韓国大統領パク・チョンヒ暗殺という、いまだ全容の解明されていない事件を、いろいろな資料、記録から検証、フィクションとして作られた「ユゴ 大統領有故」(エスピーオー配給)を見た。監督は「ディナーの後に」でデビュー、これが四作目になるイム・サンス。


(c)2005 by MK PICTURES
 シリアスな政治がらみの暗殺劇かと思いきや、その期待は次第に裏切られていく。登場人物はシリアスに演じるが、シリアスに演じれば演じるほど、政府高官たちの人間臭さが浮き彫りになり、ドラマの内容とは微妙なズレが生じてくる。セリフのやりとり、仕草はブラックなユーモアを醸し、笑いさえ誘うのである。

 暗殺の動機は、側近同士のいがみあい、個人的な恨みからの短絡した思いつきのようにみてとれ、綿密な計画とは思わせない。もちろん、かなり前からの計画に違いないのだが、そうとは思えない描き方である。

 射殺するシーンは韓国映画の常套、何シーンかは、おびただしい血が流れる。

 大事件であるはずなのに、ドラマ展開は単純にしてスピーディに、事件当日を再現する。ひょっとしたら、まさにパク・チョンヒはこの映画にように殺されたのではないか、と思わせるリアリティを覚えるのである。

 日本公開の完全版は、冒頭の静止画像や実写フィルムから、暗殺された大統領がパク・チョンヒであることが分かる。韓国ではパク・チョンヒの遺族が名誉毀損で訴訟を起こし、はじめのシーンを削除する条件で公開されたという。削除版では、いっさい、暗殺された大統領がパク・チョンヒとはあきらかにはしていない。映画では、閣下であり、オヤジと呼ばれている。

 ただ、とどめの銃弾を、キム中央情報部長が大統領のこめかみに撃とうとするときに、大統領に向かって、「高木正雄、だれでも死んだらゴミみたいなものだ」と日本語で呼びかける。これで大統領が、パク・チョンヒその人であることが分かる。高木正雄とは、秀才であったパク・チョンヒが、日本の陸軍士官学校に在籍していたときの日本名なのだ。


(c)2005 by MK PICTURES
 1979年10月26日、大統領の側近、中央情報部のキム部長によってパク・チョンヒ大統領は暗殺される。詳細はいまも闇のままである。当時の新聞報道では、大統領の独裁をめぐっての権力争い、とされている。

 では、いったい、なぜ、どのように大統領が暗殺されたのか。フィクションとはいえ、事実は闇の中である。パク・チョンヒ暗殺前後の韓国史をひもとくと、この映画のおもしろさは増すはずである。映画が提示したフィクションを、フィクションと思わせないところに、この映画の力を感じる。

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