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今週末見るべき映画「いま ここにある風景」

2008年 7月 11日 11:40 Category : Art

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 10年ほど前に、知り合いの写真家の個展を見た。鋭角、直線的な形のものが、濃淡のあるモノクロで焼き付けられている。シュールな雰囲気で、被写体は何なのかは分からないが、とにかく美しい写真であった。

 場所は、産業廃棄物の処分場。プラスチックのスクラップである。太陽の光を受けての乱反射が、思わぬ効果をあげて、輝いている。ドキュメンタリー映画「いま ここにある風景」(カフェグルーヴ、ムヴィオラ配給)を見て、そんなことを思い出した。


© EDWARD BURTYNSKY
 サブタイトルは、”エドワード・バーティンスキー:マニファクチャード・ランドスケープ「CHINA」より”、とある。カナダの写真家バーティンスキーは、鉱山、採石場、リサイクル現場、油田、製油所、船舶解体工場など、産業とその周辺の風景を撮り続けている。どの写真も、美しい。被写体の実状は恐ろしいことかもしれないが、とにかく美しい。

 映画は、バーティンスキーの撮影現場を追いかけ、彼のナレーションで進行する。世界の工場と言われる中国の風景が、今回の主なテーマである。いま、中国のどこで、どのように「もの」が作られているのか、そして、もの作りの周辺は、どのような景色、ランドスケープなのか。


© EDWARD BURTYNSKY
 文明と豊かさの裏側を、美しい風景として撮り続けるバーティンスキーの視線を、映像で捉えた監督は、傑作ドキュメント「ポウル・ボウルズ シェルタリング・スカイを書いた男」を撮ったカナダ生まれのジェニファー・バイチウォル。日本未公開ながら、「いよいよ尊く」や「写真の真の意味」などのドキュメントの監督である。

 声高でなく、静かに、いまの豊かさの意味を問いかけてくる。環境問題を扱った、優れたドキュメントは多いが、本作の美しい映像からは、少しずつ忍び寄ってくる「恐怖」すら感じる。  豊かな私たちは、豊かになろうとしている私たちは、豊かではない私たちは、はたして、このままでいいのか、と。

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