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今週末見るべき映画「地球でいちばん幸せな場所」

2008年 8月 1日 00:00 Category : Art

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 ベトナムとアメリカの合作映画「地球でいちばん幸せな場所」(エスピーオー配給)を見た。ほのぼのと、ほんとうの幸せとは何なのかを考えさせてくれる佳作であった。



 ベトナム、ホーチミンの郊外。両親を亡くした少女トゥイは10歳。叔父から虐待され、一人で生きていこうとホーチミンに出てくる。絵ハガキや花を売りながら、わずかなお金を稼ぎ始める。

 トゥイは河原で寝起き、花を売り歩いているうちに、親切な大人と出会っていく。ベトナムのハノイとホーチミンを行き来するフライト・アテンダントの女性ランと、動物園の飼育係の男性ハイである。親切にされたトゥイは、おしゃまにも、なんとかランとハイを結びつけようと、幼いながらも策略をめぐらす。

 ベトナム戦争終結から33年、発展を続けるホーチミンの現在の様子が、きめ細かく描かれる。手持ちと思われるカメラが、バイクであふれる町の雑踏、活気ある屋台やディスコ、近代的なホテルや空港を活写する。

 トゥイは瞳が大きく、利発的である。逆境を跳ね返す気合いに満ちている。ほかの子どもたちもそうだが、厳しい現実に対して、たくましく生き延びようとする。花を売るためには、学費のたしにするなどと、いかなる話もでっちあげてしまう。生きていくために自然についた知恵なのだろう。


 三人の人物が、それぞれ、今のベトナムの現実を象徴しているようである。恵まれない境遇の子どもたちは、学校に行けない。フライト・アテンダントなど、エリートの女性は高給を稼いでいる。男性でも格差はあって、羽振りのいい成金もいれば、ハイのように誠実、実直であっても、つましい暮らしをしている者もいる。

 脚本のすみずみに、いまのベトナム、ホーチミンの実情が出てくる。大気汚染で年間2万人が死んでいること、ホーチミンの人口はいまや800万人、最新の携帯電話が590万ドン(約3万8千円)で売っている、などなど。同じアジアでも、意外に知られていないベトナムの現実が、見進めるうちに、少しずつ見えてくる。三人とも必死に生きてはいるが、それぞれに悩みを抱えて、孤独である。観客は、トゥイがどのように、いまいる場所を幸せに変えていくかを見守ることになる。

 原題は「フクロウとスズメ」。ハイの顔がフクロウに似ているとトゥイが言う。また、ランの好きな生き物がスズメ、しかもハノイとホーチミンを行ったり来たりするところからのタイトルと思われる。

 10歳の少女トゥイを演じるのは、ファム・ティ・ファン。厳しい現実に耐え抜く少女役を、無口でも雄弁でもなく、ごく自然にこなしていて、達者。監督のステファン・ゴーガーは、ホーチミン生まれのアメリカ育ちで、本作が長編劇映画デビューである。

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