液晶絵画って何なんだ?

2008年 8月 22日 16:30 Category : Art

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 「液晶絵画」と聞いただけでは、そこまで強い違和感は感じないかもしれない。辞書によると絵画とは「線や色彩で、物の形・姿を平面上に描き出したもの」とある。そういう意味でいくと、液晶絵画とは「線や色彩で、物の形・姿を液晶上に描き出したもの」ということになるので、普段液晶を見慣れた我々にとっては、腑に落ちないわけではない。

 しかし、今回の展示で敢えて「絵画」という名称を使っていることには大きな意味がある。壁画に始まり、テンペラ画や油彩と長い年月をかけて時代を紡いできた絵画の歴史の中で、液晶なるものが現れたのは、人に例えるとほんの髪の毛の先っぽの枝毛の部分くらい。

 その発祥は、ナム・ジュン・パイクを始めとする、1960年代に誕生したビデオ・アートに端を発する映像表現である。それは、映画による表現とも異なる、実験的な作品であった。当時は、技術の面白さや先端性が、いままで見たことのない視覚表現として用いられてた部分が大きいが、その後テレビやビデオ、モニタやカメラが一般的に普及した現在では、その新しい手法を用いた映像表現は世界各国で行われており、それはアートの一分野として確立しつつある。

 映像 VS 絵画というような二極的な考え方ではなくて、どのジャンルにも属さない新しい映像表現としての「液晶絵画」を感じてみよう。


森村泰昌《フェルメール研究(振り向く絵画)》 2008 年 国立国際美術館蔵 (c)Morimura Yasumasa


 森村泰昌の「フェルメール研究(振り向く絵画)」。今回は、この作品と「フェルメールの部屋」が展示されている。もちろん液晶の中にいるのは本人で、決め顔を作るまでが映像で流れているのだが、振り向き方や光の角度などが綿密に計算され、最後にバシッと振り向いてくれる。口の開き方までバッチリだ。ものすごく似ているような気がするけど、何だか違う気もする、本当の絵はどういうものだったろう、記憶があやふやになり可笑しみがこみあげてくる。


ジュリアン・オピー《イヴニング・ドレスの女》2005 年 国立国際美術館蔵 (c)Julian Opie and SCAI the Bathhouse, Tokyo


 今、水戸芸術館で個展が行われている、ジュリアン・オピーの作品。遠くから見るとペインティングのように見えるが(これは写真なので余計にそう感じるかも知れない)、ある瞬間あの小さな目が瞬きをする。目、鼻、口はほとんど記号的に描かれており、ものすごくデフォルメされた絵のように見えるが、顔の輪郭、髪型、スタイルでその人と分かる。

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