横浜美術館で「金氏徹平:溶け出す都市、空白の森」

2009年 3月 27日 23:00 Category : Art

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 若手アーティスト、金氏徹平(かねうじ・てっぺい)初の大規模な個展が、横浜美術館で開催されている。金氏は京都生まれ、大阪育ちの30歳。キャリア的にも年齢的にもまだ若く、本展は作家にとっても横浜美術館にとっても、画期的な試みだと言えるかもしれない。

 金氏徹平の作品は、身の回りにある木材、雑誌の切り抜き、プラスチック製品などの断片を寄せ集め、思いもかけないものに再構築することによって生まれてくる。それはまるで子どもの頃に熱中したような、意味もない遊びの延長線上にあるかのよう。そのためか観ていると必ずくすっと笑えるポイントがいくつも転がっている。「そうそう、そんな風に見えるよね」といったポイントが観る人の共感を誘い出すのだ。

 彼の作品を語る上で欠かせないキーワードはいくつかあるが、そのひとつが「白」だ。作品《White Discharge》シリーズでは、いろいろな「白」が展開される。それは「余白」であったり、「空白」であったり。特に「建物のようにつみあげたもの」に白い樹脂をかけて、雪のようにいろいろなものを覆いつくす作品は、すべてを匿名的なものに追いやる力強さを持っている。


《White Discharge(建物のようにつみあげたもの ♯4)》2009年 プラスティック製品、木材、鉄製品、ゴム製品、樹脂 87×87×h.201cm Courtesy the Artist Photo:eric

 同じ白でも、体内にある「骨」も白いという事実。内と外との共通点が、その存在意義を問いかける。表か裏か、内か外か? その作品は、放課後の理科室で見たことのある人体模型のよう。よく見ると、拾って来たようなパイプや輪っかが骨格を成していて、どことなくユーモラス。


《Splash and Flake (Bones and Skeletons)》 2009年 プラスティック製品、金属製品、ホットグルー(7点組)の一部

 去年から、自宅の移転の関係でアトリエを持たない状態が続いている金氏。そのため、各地で滞在型の制作活動を行っているという。本展にあたっては、昨年11月から横浜美術館内のアトリエスペースを借りて制作を行ってきた。そのため総作品点数120点あまり、10メートル以上にもおよぶ大きな迫力のある作品から、ほんの小さな作品まで、バリエーションのある数々の作品をまとめて展示することに成功。「大きな場所を与えられたときに、普段の小さな声のまま、その大きな空間をどれだけ響かせることができるか」を考えながら制作に臨んだと話す金氏。その言葉の通り、いつものペースのまま気負わず作品作りをすることができたようだ。


金氏徹平氏

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