北斎 VS 広重 浮世絵、富士山対決

2009年 4月 28日 12:25 Category : Art

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 葛飾北斎と歌川広重、言わずと知れた当代切っての浮世絵師ふたり。現在、彼らが描いた「富士山」にスポットを当て徹底比較した興味深い展示が行われている。題して「北斎『富嶽三十六景』VS 広重『富士三十六景』 富士山対決展」。会場は、東京・目白のアダチ伝統木版画技術保存財団・常設展示場。

 北斎の「富嶽三十六景」は、誰もが観たことのある、通称「赤富士」と呼ばれる「凱風快晴」が含まれた世界的に有名な風景画シリーズ。1831年頃に刊行されたと言われ、当初はタイトル通り36の富士山を描いた風景画だったが、好評だったため10図追加され、最終的に46図となったという。富士山がこのように積極的に描かれた背景には、江戸の人々の富士山に対する篤い信仰もあった。当時のブームを支える人気のベストセラーシリーズだったわけだ。

 一方、広重の「富士三十六景」が刊行されたのは「富嶽三十六景」大ヒットの約30年後、1859年のこと。実は広重が亡くなったのは前年の1858年のことで、晩年描きためたものを預かっていた版元が、没後に刊行したと言われている。とはいえ、広重が北斎の「富嶽三十六景」を強く意識して描いていたことは間違いない。

 本展では、そんな時代背景を紐解きながら、製作者の視点に立って「富嶽三十六景」46図と「富士三十六景」36図の全82点を9つのキーワードを軸に紹介している。

 たとえば、以下のふたつの風景画を見比べてみてほしい。誰もが観たことのあるダイナミックな波の描写、北斎の「神奈川沖浪裏」。まさに「GREAT WAVE」と称するにふさわしいインパクトで、巨大な波の奥に富士山が見える構図は絶妙なバランスを保っている。

 今回これと比較されるのが、広重の「駿河薩タ之海上(するがさったのかいじょう)」である。こうやって見比べてみると、縦位置・横位置の違いはもちろん、「海の波と富士山」という同じ要素であっても、ふたつの絵の印象が随分違うことがよくわかる。ちなみに広重の晩年の風景画は縦位置で描かれたものが多く、風景画としては世界的にもめずらしいものだ。


葛飾北斎「神奈川沖浪裏」


歌川広重「駿河薩タ之海上」

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